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ファルトゥスの護衛官(仮)  作者: 北上輝月
Episode;03/The Descending ‘schbertflugel’(舞い降りる〈剣翼〉)
23/43

§.02 The Dominator of the Thicket

 ダダダ、と歯切れ良い重厚な音が鳴り響く。12.7ミリの銃弾がまっすぐ飛び、標的へ見事命中した。綺麗なヘッドショットを決めた。

「ブローニングM2は完璧だな」

「はい。命中率98%、かなり高いです」

 サクヤが淡々と答える。鋼鉄の相棒も、まだまだやれると意気込んでいるようだ。

「次は……何だっけか。ブッシュマスターか、それともバルカンか」

 サクヤが、手の中の携帯端末をスクロールする。俺が【投影】できる兵器を威力順・目的順にリストアップしたものだ。これを作るのに1週間かかったのは懐かしい話。

「次は……はい、バルカンですね。その次がブッシュマスター、そしてアヴェンジャーです」

「その次は?」

「GAU-8の次はファランクス、ゴールキーパー、FLASHです。この場で使えるものだと、これが上限です」

「OK、じゃあアヴェンジャーで終了だ。次、バルカンを投影する」

「了解です」

 そう言って、サクヤは後方--フィリアに警告した。

「フィリアさん、とんでもなく大きな音がします。耳、塞いでおいてください」

「大きな音って何……?」

 怪訝そうなフィリアだが、注意に従って、耳を塞ぐ。直後。


 Vuwaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa。


 空間を引き裂くような、ガトリング砲の暴力が演習場を満たした。とんでもないノックバックが俺を襲う。魔術でマウントを作っていなかったら、と思うと航空機関砲の威力は恐ろしい。

「……ふう。過剰火力だな」

「ですが、十分な腕です。弾着地点のずれは少ないですよ」

「そりゃよかった」

 そこへ、後方からとんでもない怒号が聞こえてきた。

「ちょっと、今の何よ!とんでもなくっていうレベルじゃないわ!」

 衝撃波をもろに食らったのだろう、前髪がぐちゃぐちゃ、足元はふらふら、おまけに制服がめちゃくちゃだ。形を保っているだけマシ、という事態。

「今のはバルカン。20ミリ口径の6連装ガトリングで、困ったときはこれ、っていうレベルの万能ガトリングだ」

「そういうことじゃないわ……。いえ、あなたに詳細な説明を期待したあたしがばかだったのね。衝撃波が出るなら出るで、ちゃんと言ってよ!」

「それはすまない。次は少しマシだが、その次はもっとひどいぞ」

 ひどく落ち込んだような表情で、彼女は続ける。

「そう……。じゃあ、ここで一番安全な場所教えて。そこから見てるわ」

「あっちの隅っこ」

 俺が指さしたのは、俺と対角にある位置。距離だけでいえば一番遠いが、正直音は背後より弱いというだけであまり変わらないと思うが。

「【投影】、ブッシュマスターⅡ」

 20ミリ6連装ガトリングが消えて、30ミリ単装チェーンガンが出てきた。

「フィリア!音と衝撃波に気をつけろ!」

 魔術によるマウントは作成済み。耐衝撃性も十分。

「ファイア」


ドガン!……ダダダダダダ……。


 チェーンガン特有の、軽快なモーター音が響く。先ほどよりは弱いが、それでも十分な衝撃波だ。伊達に、30ミリ口径じゃない。


「今のは何?」

 こっちに近づいたフィリアが尋ねた。なんだ、銃器に興味あるのか?あげないぞ。

「30ミリ口径の単装チェーンガン、ブッシュマスターⅡだ。これも、対空砲にRWSに艦載砲と万能なやつだな。困ったときはこいつだ」

「困ったときはこいつ、って多すぎじゃない?」

「それが機銃ってもんだ」

 正直、説明になってない。実際、フィリアも理解していない様子。


「気を取り直して最後だ。アヴェンジャーいくぞ」

「フィリアさん。今度こそ、とんでもない衝撃波が来ます。できるだけ身を低くして、身体を丸めてください。下手すれば気絶します」

 その表現にビビったようで、

「気絶……」

 と完全に怯えていた。


 一方で、俺も準備を進める。アヴェンジャーは強すぎるから、立って撃つと、いくら魔術バフがあっても、俺も吹き飛ぶ。アヴェンジャーをマウントに載せ、床に固定する。俺も伏せて、衝撃波を受ける断面積を最小にした。

「サクヤ、それにフィリア!準備はいいか!?」

「大丈夫です」「いいわ!」2人分の返事を聞き、俺は命じた。

「ファイア」

 瞬間。


 Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa。


 バルカンが空間を引き裂くのなら、こっちは空間をたたき割るような音だ。とにかく、えげつない音量と衝撃波が3人を襲う。

「……ふう。お前ら、大丈夫か?」

「大丈夫じゃ……ない……」

 今にも吐きそうな、グロッキーな表情のフィリア。もう死に体だ。

「今日はこれで終わりだ。フィリア、帰るぞ。大丈夫か?歩けるか?」

「無理……」

 結局、フィリアが軽く回復するまで待ち続けることになったのだった。


「あなたたち、いつもあんな音を聞いてるの……?」

 と尋ねるフィリア。すかさず、

「いや、いつもはもっと小さい音だ。なにせ、5.56ミリ銃弾しか使わないからな。今使ったのは30ミリ。全然違うだろ?」

「とりあえず、イリヤの頭がおかしいのは分かったわ」

「ひどい言われようだなオイ」

 フィリアはひどい。女の子に「頭がおかしい」と言われて、へこまない男の子は少ないだろうな。

火力こそ正義

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