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最強忍者の異世界無双~現代最強の忍者は異世界でもやっぱり最強でした~  作者: 轟龍寺大鋼
ルゼリオ王国動乱編 特級冒険者レディム・ルーグストンの章

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第404話 「血で血を洗う激戦。一瞬一瞬の攻防劇」(バトル)

「ナル、私はコイツを相手にするから、メイを助けてあげて!」

 ビルを叩き伏せたリンがナルにメイの救出を促す。

 一時的に動きを封じたとはいえ、一度拳を交えたリンはビルがこの程度で落ちることはないと確信していた。そのため、その場にとどまることを選び親友に救いを託したのだ。


「アハハハ、良くわかってんじゃないか!そうだよ、この程度の攻撃じゃアタシは死にやしない!まだまだ楽しもうか!」

 地に伏したままビルが笑った。

「やっぱり通じていない・・・なんて頑丈な」

 予想通りとはいえ、平然とした様子のビルにリンはあらためて神域を痛感させられる。


 両拳を地面に突き立てると、リンとマスヨスの重さをものともせずにビルは腕立て伏せの要領で身体を持ち上げた。

「てぇえええりゃあ!」

 気合一発。一気に身体を押し上げると、ビルは飛び上がるように立ち上がった。その表皮には多少のアザがあるだけだった。

 リンは立ち上がった衝撃に押し負けて数歩下がっていた。


「やってくれたねぇアンタ!でも、さすがに飽きちまったからさ、そろそろ終わらせようか!」

 首を鳴らしながら、ビルはリンに歩を進める。

 神域の圧迫感に、リンの額に汗が滲む。

「あばよ!」

 鉄の拳を固め、ビルが殴りかかった。

「くっ、ダグマ!」

 鉄拳に対抗し、鎖を巻いた拳をリンは突き出す。


 拳が激突し、鈍い金属音が響く。

「かぁっ、しぶといね!それなら、拳も腕もグチャグチャに潰してやるよ!ぜぇりゃああああ!」

 拳を突き出し押し合ったまま、ビルは前進した。抗うはずのリンが居ないかのように悠然とした歩みだった。

「な、なんて・・・力・・・わ、私が全く歯が立たない・・・また強くなってる」

「さっきより神の力が馴染んできてるのさ。まだまだ強くなるよ!うおおおおお!」

「ああああ!だ、駄目、押し負ける・・・」

「ぶっ潰れろぉ!おおおおおおお!」

 決着をつけるため、ビルがさらに踏み込んで力を込める。聖鎖ダグマがリンの拳にめり込む。


「せっかく治したんだ。壊されちゃあ、かないやせんぜ」

「誰だ!?」

 勝利を確信するビルの雄叫びを断ち切るように、リュウカンが割って入った。

 突き出されたビルの右前腕を軽く手で叩くと、抜骨術を発動させる。

 筋肉と骨が主の意思に逆らった動きを始め、肘が曲がり自らを殴った。


「ぎゃ!」

 不可思議な現象によって不意を突かれたビルは、思わずのけ反った。一瞬で我と体勢を取り戻すものの、顔は恥で赤く染まる。

「ちっ、情けない声出しちゃったよ。なんだい今の技は?身体が勝手に動かされて気味悪い」

「抜骨術ってケチな技でさぁ。この世界の魔法とかにゃあ全くもって歯が立たねぇ。だが、相手が生身なら本人の意思とは関係なく動きは自在ですぜ」

 両手の指を踊らせながらリュウカンは語る。


 馴染みの無い技術に、ビルは大いに戸惑った。

 ビルにとって戦いに用いる技術といえば、殴る、蹴る、投げる、絞める。そして縁遠いが防御と回避。この中に限られるものだった。

 そこに突然現れた肉体を外から操作する技術。しかもそれは、強引に従えるのではなく優しく接するだけで効果を発揮する。

 一から十まで常識外の出来事だったのだ。


「ふふふ、気味悪がるのは同感ですわ。私も始めて受けたときには抵抗するので精一杯でしたもの。そして、だからこそ解りますわ。貴女が今、どれだけ戸惑っているのかも」

 リンはかつての体験を思い返していた。あのクロストでの熱い死闘の夜を。


「姐さん、敵の守りはあっしが崩しやす。姐さんは身体の空いたところを目一杯攻めてくだせぇ!」

 リュウカンがビルに向かって飛び出した。踏み出した一歩目をきっかけに、幅跳びの要領で一気に前に跳躍する。

「え!正面から来るのか!?」

 ビルの身長はリンに匹敵する。そのため、リュウカンは頭二つ分ほど背が低く、体格も圧倒的に劣る。

 そんな小柄な男が小細工を弄することなく攻撃を仕掛けてきたため、ビルは一瞬戸惑った。


 戸惑いつつもビルは上級冒険者、自然に迎撃のケンカキックが放たれた。リュウカンの顔よりも大きな足裏が迫る。

「ほらよ」

 足裏が顔を打つ直前、リュウカンの右手の甲がビルの蹴り足のふくらはぎを叩いた。

「いっ()ぁ!」

 叫んだビルは蹴り止めて足を下ろすと、身をたわませて苦悶の表情を浮かべた。

 ビルの足は抜骨術によってこむら返りを起こし、激痛に襲われていたのだ。


「驚きやしたか?この程度の痛みでも、急に食らっちまったら、どんな腕自慢でも身体が反応しちまうんでさぁ」

「くぅぅ、てめぇ・・・バカにした真似をしやがって!だったら触らせないで叩き潰してやるよ!」

 こむら返りの痛みから立ち直ったビルが拳を握った。そこに紅い気が陽炎のように揺らめく。

「紅掌連打!だらぁ!」

 一度はリンを追い詰めた紅い気の衝撃波。その連撃をリュウカンに向けて放った。


 だが今度は、リンが二人の間に割って入って攻撃を遮った。

 マスヨスを間に振り下ろすと、紅い気を全て防いだのだ。

「それは私が受けますわよ!」

「さっきの錨か!あれは痛かったよ!」

 脳天と背中に受け続けたマスヨスの重さは、まだ身体が覚えている。その痛みがビルの闘志を燃え上がらせる。

 拳に紅い気を纏わせたまま、深い踏み込みの突き上げを打ち込んだ。


「ぬがぁああああ!」

 紅い気の鉄の拳がマスヨスを叩くと、その威力だけで浮き上がらせた。

「な・・・マスヨスが浮いた!?」

「ぐがぁ!」

 浮き上がったところに、ビルは強烈な横蹴りを放つ。

 密度の高い金属同士がぶつかり合う鈍い音がした。

 下から上へ、上から横へマスヨスが動かされる。


「ご、強引に押し退けやがった・・・うわっ!」

 蹴り飛ばされたマスヨスが、リュウカンに迫った。視界全体が錨で埋め尽くされる。

「だぁぁぁぁぁあ!」

 飛ぶマスヨスに追い付き、本体であるシャンクと下部のアームを掴むと、ビルはリュウカンに向かって押し付けてきた。盾代わりに使って抜骨術を封じたのだ。

「こぉのぉまぁまあああああ、圧し潰すぅううううう!」

 力強く前進するビル。その突進力はまさにブルドーザーそのものだった。


「こ、このぉ、持ち主が目の前にいるのに好き勝手させませんわよ!うぉおおおおお!」

 ビルに対抗してリンもマスヨスに力を込める。

 両足を踏ん張り腰と重心を落とすと、柄を握り直して突進を食い止める。

 ここで力と力が拮抗し動きが止まった。均衡したのだ。


「すいやせん姐さん!少しこらえててくだせぇ、すぐに全身をバラバラしてやりまさぁ!」

 リュウカンがマスヨスを踏み越えた。そこから跳躍しビルの幅の広い肩に乗ると、顔に向かって抜骨術を打ち込んだ。

 頭骨、顎関節、下顎骨の結合が解かれ、目と鼻から血が吹き出す。

「げ、かふっ・・・ぬぐうううう!ぎ、ぎがな゛い゛よぉおおおお!」

「ちぃっ、やっぱ姐さとタメ張るやつぁ、これを堪えるかぁ!」

 顔の骨を崩されるも、ビルは顔面の筋肉だけで踏みとどまる。


 しかしリュウカンは手を止めない。肩から背面に回ると、肩甲骨の繋がりを外す。肩が抜け、腕が脱力して垂れ下がる。

「がああ、ち、力が抜ける・・・」

 ビルの手がマスヨスから離れた。

「今だ!姐さん、押し返しなせぇ」

「うぉおおおおおおおお!どりゃああああ!」

 リンがマスヨスを全力で振った。


 腕が下がり無防備となった顔と身体に聖錨の巨体が叩きつけられ、またしても鈍い金属音が鳴り押し負けた顔面が変形する。

「えべぇっ!」

「ぬぅおおおおおお・・・吹っ飛べぇええええ!」

 込められる力を全て込めてリンはマスヨスを振り抜く。

 さらに強くマスヨスが押し込まれ、ビルは後方に飛ばされた。

 一回、二回、三回。三度地面を叩きながら転がると、神の力を取り込んだ悪鬼の末裔は仰向けに倒れた。

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