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最強忍者の異世界無双~現代最強の忍者は異世界でもやっぱり最強でした~  作者: 轟龍寺大鋼
ルゼリオ王国動乱編 特級冒険者ワーレン・エッダランドの章

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第368話 「友だからこそ」(ストーリー)

 バグによって暴走した次元干渉装置の強制転送で、反乱勢力の面々はカルカリのクレーターからまとめて姿を消した。

 そのあまりの突然の出来事にサイガたちは呆気にとられ、しばらく事態を理解できずにいた。

「お、終わった・・・ということでいいのか?しかし今の光、見覚えが・・・」

 対戦の最中、突然消えてしまったクザートの居た場所を見つめながら、サイガは忍者刀を収めた。


 敵を包み消し去った光を見たサイガの脳裏に、この世界に転移してきた際の記憶が甦る。

「あの光、まさかあの時の光か?いや、それよりも・・・」

 しかしすぐに意識を切り替え、サイガはリンに向かって走った。

「リン、動いて大丈夫なのか?さっきの様子、明らかに重症だっただろう・・・!!リ、リン・・・?」

 駆け寄り声をかけたところで、それまで乱れた髪に隠れていたリンの顔を見たサイガは、思わず言葉を失った。

 呆然と口を半開きにして、黙って見上げ続ける。


「?どうかしまして?サイガ」

 不可解な反応を見せるサイガにどう対処して良いかわからず、リンも次の動きに移れないでいた。

 そこにメイとナルも降り立つ。

「リン、よかった動けるのね。あんたがあんな風に倒れてるなんて見たことないから、焦っちゃたわ・・・よ・・・」

 先に駆け寄ったメイがリンを見上げると、サイガと同じように言葉を失う。


 しかし反応は正反対といえるほど違っていた。

「あはははははは!あ、あんたなによその顔!ぶっさーーーーーーーっ!あはははははは!」

 まるで爆発したようにリンの顔を指差しメイは笑い出した。


 リンの顔はリースの攻撃の影響で、まるで熟れたトマトのように赤く腫れ上がっていたのだ。

 六姫聖の中で、圧倒的に容姿端麗なナルを除けば、最も整った顔はリンである。

 その整った顔が見る影もなく膨らんでいる様は、長年見慣れてきた友にとって堪え難い衝撃だったのだ。


「はーっ、はっ、はっ、い、息ができない。お腹痛い。死ぬ、笑い死ぬ。ひひひひひ・・・」

 うずくまって笑い続けるメイ。そこにナルも到着した。

「おいどうしたというんだメイ?」

 メイのあまりの反応ぶりに、リンより先に下に視線が向く。

「ひ、ひ、顔・・・」

 息も絶え絶えになりながら、うずくまったままメイはリンを指す。

「は?顔?」

 ナルがゆっくりとリンを見上げる。その時間が効果的に働いた。

「・・・ぶふぉっ!く・・・く・・・!」

 ほぼ不意打ちのような流れで腫れ上がった顔を目にしたナルは一瞬笑いを堪えたが、やはり抗えずに吹き出してしまった。

 美の化身から間抜けな音が漏れた。


「お、おまえぇ、なんだその顔はぁ・・・ふ、ふはっ、はははははははは!」

 メイの隣に腰を落とし、ナルも大声で笑い出した。普段の冷静な面持ちとはうって変わって、子供のような無邪気な笑顔だった。


「ちょっと貴女たち、いい加減になさい!いくらなんでも笑いすぎよ!」

 二人のあまりの遠慮のなさに、それまで黙っていたリンがたまらず声をあげる。

「あ、あはは・・・ごめんごめん。だってさぁ、最初はあんたが死んでるんじゃないかって二人で心配して飛び出してきたのにさ、いざ来てみたら元気に動いてるじゃない。しかもその顔見ちゃったら、気も抜けるっしょ。あははははは!」

「そ、そうだ。はぁ、はぁ・・・これは心配した分の反動だ。安心の証だよ。ぷっくくくくく・・・ふあはははは!」


 二人の豪快な大笑いはそこから三分ほど続き、ついには笑い疲れて揃って仰向けに寝転がってしまった。

「ああ~、もうダメ。一生分笑ったわ」

 涙を拭きつつメイが空に向かって呟く。

「確かにそれぐらいは笑ったな。こんなに笑ったのはいつ以来だ?」

 隣で空を見つめながらナルが尋ねた。

「いつかなぁ・・・学生の頃?卒業の何日か前にあんたが担任から赤点の束を渡された時の反応でメチャクチャ笑ったわね」

「ぐ、嫌な思い出を・・・」

 触れられたくない過去にナルの顔がこわばる。


「そうね。あの時、三人がかりで勉強を叩き込んだせいで、夜に気絶するみたいに寝落ちした貴女が『う~ん、むにゃむにゃ分数なんて凍らせてやる』って寝言を言ったのを聞いた時以来かしら?」

 思い出話にリンが参加してきた。

「そうそう。あれ聞いた時、私たちみんな笑い転げたんだから。あんまりにも寝言がバカみたいだったからさぁ」

「う、うるさい!あの時は卒業がかかっていたから、必死に勉強したせいでほとんど寝ていなくて朦朧としてたんだ」

 思わず身を起こして反論するナル。

 そしてここで、ようやく冷静になってリンの顔を見て気づいた。髪が短くなっているということに。


「おいリン、髪はどうした!?」

 絶叫気味に声をあげるナル。それにつられてメイも身体を跳ね起こした。顔が真剣だ。

「うん、ちょっとね、戦闘中に不覚をとって失くしてしまったの。でも、これもこれでなかなかよ。戦うのに邪魔になら・・・」

「ダメだ」

「ダメよ」

 ナルとメイの顔が一気に引き締まり、声が怒気を孕んだ。あまりの変わりぶりと迫力にサイガはわずかに身を引く。

「女の髪をなんだと思ってるんだ。すぐに城に戻るぞ。シャノンの魔法があれば育毛を活性化できるから、それで元の長さに戻す!」

 立ち上がりリンの手を引くナル。メイも続いて立ち上がった。


「お、お前ら、顔でさんざん笑っておいて、髪で態度が変わりすぎだろう」

 二人の変わりぶりにサイガが思わず口を挟むが、同時に振り向いた鬼の形相の二人に「髪は別!」と一喝された。

「す、すいません・・・」

 サイガは縮み上がった。


 ◆


 戦いを終え、急ぎ城に戻ったリンたちを迎えたのは、絹を裂くようなシフォンの笑い声と悲鳴だった。

「あははははは、なにそれ(ひっど)い顔~。って、きゃあああああああ!髪、髪、どうしたのよ!?」

 まるでメイとナルのおさらいのようなシフォンの反応に、サイガは強い既視感を覚える。

「もうそれやったから、ちょっと黙ってて。それよりもシャノン、早く回復魔法お願い」

 驚く主のシフォンをおざなりにあしらい、メイはシャノンの名を呼ぶ。


「おいおい、友達とはいえ主従関係を捨てすぎだろう」

 あまりにも雑な対応にサイガは思わず口を挟む。

「いいのよ。シフォンはああいうのが始まっちゃうと長いから、先に抑えとかないと色々めんどくさいの。で、どう?髪、治せそう?」

 長い付き合いからくる理解度の駆けつけてきたシャノンに尋ねる。

「育毛を促進するのは特に難しくないけど、元に長さにするにはかなりのタンパク質を必要とするわ。一気にやるとかなり衰弱・・・」

「かまわない、やってくれ!」

 シャノンが言い終わる前にナルが独断で言い切った。

「ちょっとナル、何を勝手に・・・」

「リン、お前は育毛を促す間、食事を摂り続けろ。手入れは私たちがやってやる」

「わ、わかったから、ちょっと落ち着いてちょうだい。ね・・・」

 美に対してのナルの勢いに、リンがたじろいだ。チラリとシフォンを見て助けを求める。


「もう、しょうがないわね。それじゃあせっかくだから、六姫聖みんなで食事にしましょう。急な戦闘で消耗してるでしょう?チェイス厨房に指示を出して」

「はい」

 シフォンの鶴の一声が下り、それによって城中の食材を用いた六姫聖の大食事会が開催された。

 特別に謁見の間に大テーブルが設けられ、料理が運ばれてくる間にシャノンが回復魔法を腫れ上がったリンの顔に施した。

 やはりシャノンの魔法の効果は抜群で、顔は見る間に美しい形を取り戻していく。

「はい、まず顔はこれで完了ね。髪は食事が届いてからにしましょう。貴女のが一番時間がかかるでしょうから」

 すっかり元に戻ったリンに顔には傷一つ残っていなかった。


 やがて料理が運ばれ各々の好物がテーブルを埋め尽くすと、メイは揚げ物、チェイスが激辛料理に飛び付くように箸を進めた。

「ねぇチェイス、貴女、リンのことを報せた時、先に私とナルとサイガにだけ見せたでしょ?」

「・・・ああ、君たちの関係と怒りを利用して焚き付けさせてもらった。だが、悪いとは思っていない。それが最善、最速だと考えた」

「別に怒ってないし、それを即決できるのがチェイス・ハーディンの長所でしょ。そこは信頼してるわ」

「ああ、ありがとう。その期待には応えてみせるよ」

 そう言うと、チェイスはデスソースのスープを一気に飲み干した


 程なくして食事が終わるとリンの髪の再生が始まり、夜になる頃にはすっかり元のリンに戻っていた。

 それを見てメイ、ナル、シフォンは穏やかに微笑んだ。

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