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馬肉になりたくないんです! ~転生、異世界で強制競走馬生活ですか?!~  作者: ゆうらり薄暮


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31.最終話 夢の続きへ



 あれからどれくらい経ったんだろう。


 馬は暦を数えないから正確な年数はよく分からない。


 ただ、朝起きて草を食べて日向でうとうとしてまた夜になる。


 たまに銀髪の美女と星の目をした元主が私たちを見にきてくれるのが楽しみの一つ。

 あっ草頭の元相棒くんもくるよ、もっとたまにね!

 お父さんに会いに行ってるみたいで様子を教えてくれる時もあるから情報源として重宝してるよ。


 そんな日々がちゃんと「続いている」


 それだけは確かだ。


 私は今、走っていない。


 競馬場にも出ない。

 歓声も鞭ももう遠い。


 代わりに――


 目の前でよちよちと脚を動かす小さな命がいる。


 子馬だ。


 ……私の。


 旦那様の血を継いだ真っ白な毛色。

 脚はまだ頼りなくてでも立ち上がるたびにやたらと意地がある。


 あぁ、これ。


 完全に血だな。


 私は、鼻先でそっと子馬の背を撫でた。


「無理しないでね」


 分かってないのは承知だけどつい言ってしまう。

 生まれたばかりだしお喋りはこれからだ。


 隣から気配がした。


 白い。


 相変わらず、とんでもなく白い。


 ――旦那様だ。


 世界最強。

 無敗三冠。

 芦毛の怪物の末裔。


 そして、私の夫。


 なお、言葉はちゃんとわかるようになった。

 というか覚えてくれた。


「ᚨᛟᛁ……ᛗᛖ……」


 なんか言ってる。


 たぶん、「目が青いね」とか「きれいだね」とかそのへん。

 今でもたまに元の言葉を使うからわからない時はあるんだよね。


 最初は本当に大変だった。


 通じない。

 訛ってる。

 私が何言っても首傾げる。


 正直。


 あの旦那様じゃなきゃ、種付けなんて付き合ってらんねぇ。


 本音だ。


 でも。


 逃げない。

 乱暴しない。

 距離を守る。


 何より、走る時と同じ顔で隣に立っていた。


 それだけで十分だった。


 子馬が転びそうになって慌てて脚を動かす。


 私は、つい前に出る。


「ほら、そっちは段差あるって」


 通じないけど身体で止める。


 白いのが反対側に回る。


 挟む。


 守る。


 ――あぁ。


 こういうのは、言葉いらないんだな。


 私は、ふっと鼻を鳴らした。


 馬がどれくらい生きられるかなんて正直、よく知らないし。


 競走馬だった頃よりずっと先が見えない。


 でも。


 今。


 草は美味いし日向はあったかいし子馬は元気だし隣には、相変わらず白すぎる旦那様がいる。

 ちなみに普通は一緒にいられないらしいから特例だと思います。

 お母さんたちだけで集まるのが普通だったもんね。


 走らなくなってからのほうがずっと長い人生(馬生?)になっても。


 それでも。


 私は、ちゃんとここにいる。


 勝たなくても。

 役に立たなくても。

 誰かの期待を背負わなくても。


 今の私は――



 拝啓、お父さん、お母さん。

 

 お元気ですか?

 あなたたちの娘は約束のその先まで来てしまいました。


 走るのをやめてもちゃんと生きてるよ。

 幸せだよ。


 あっそうだ。

 灰色のと茶色いのも近くにきたの!

 たまに会えるようになって嬉しい!

 お父さんにもお母さんにもまた会わせてくれるって銀髪美女が言ってた!

 楽しみだなぁ。


 ……また脱走したら今度は旦那様に怒られるかしら。


 

 

読んでくださり、ありがとうございました。

完結後も閑話や後日談を予定しておりますのでぜひブクマしてお待ちいただければと思います。

もし少しでも楽しんでいただけましたら⭐︎やブクマで応援していただけると嬉しいです。


☆☆☆☆☆→★★★★★ (*_ _)人


本日より新作の『転生最強竜の花婿探し(※ただしイケメンに限る)』も投稿を開始しております。

完結まで毎日投稿予定です。


リンク先

https://ncode.syosetu.com/n9205lq/


読んでいただけましたら作者がとても喜びますので、ぜひよろしくお願い致します。

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