城塞都市カルカッソン
僕とオークさんは、城塞都市カルカッソンに到着した。
守衛たちの話によれば、ここのダンジョンは稼ぎがいいらしい。
「ダンジョンで一攫千金を狙うなら、カルカッソンが手っ取り早い」と、彼らは自信満々に教えてくれた。
他にも、この都市で評判の良い宿や食事処、商店の場所まで細かく教えてもらう。
だが、僕には一つだけ懸念があった。
オークさんが都市に入れるかどうか。
領都メイヘンなら、絶対に無理だろう。
そもそもオークが門に来た時点で、殺されて終わる。
そんな僕の不安に、守衛たちは「大丈夫だ」と笑った。
「カルカッソンなら問題ないさ。というか魔大陸は多種族大陸からの支援で成り立っている。この大陸では人種間での差別はないね。」
実際、その言葉通りだった。
道中で食料を買ったときも、服を新調したときも、周囲の反応は驚くほど穏やかだった。
むしろ、商人たちはオークさんに興味津々だったぐらいだ。
「次の者、前へ!」
検問官の声に、僕たちは慌てて列を進む。
「ふむ…豚人族とは珍しい。して、君は小人族かね?」
検問官の視線が僕たちをじろりと見据える。
僕ではなく、やはりオークと子どもの組み合わせに注目しているようだ。
「いえ、僕はれっきとした人族ですよ。」
僕が答えると、検問官は片眉を上げて「ほう」と小さく頷いた。
「それは失敬。して、カルカッソンへの目的は?」
「ダンジョンです。」
その答えに、検問官は納得したように頷く。
どうやらこの答えは珍しくもなんともないようだ。
「そうか。それでは、入城税として一人10万エーン、計20万エーンを徴収する。」
…知ってたけど、高すぎる。
守衛たちから聞いていたとはいえ、都市に入るだけでこの金額はボッタクリだろう。
渋々、財布から金銭を渡すと、検問官は無表情のまま頷いた。
「確かに頂戴した。それでは、ようこそカルカッソンへ。」
僕は名残惜しそうに少なくなったお金を見ながら、門をくぐった。
石畳を踏みしめる感覚。
並ぶ住宅街。
行き交う人々。
活気のある商人たちの呼び声。
列をなす馬車の音。
――これだ。
僕は一年ぶりに、"文明"を感じていたのだった。




