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竜④

竜の巨体が地面に横たわっていた。しかし、首が斬られた傷口からはまだ煙のような蒸気が立ち上っていた。

次の瞬間—-―、傷口の奥が鈍く光る。


ズズッ……ミシッ……


肉が蠢く。骨が軋む。肉が膨張して徐々に頭部を形作る。


「おい、おい。嘘だろ!?」

僕たちは驚愕する。

首を切り落とした。なのになぜ…


頭部が完全に再生されていない状態で竜は翼を広げ上空へ行く。

僕たちは空を飛ぶすべはない。なにもできない状態でただ上を見上げるだけ。


「イマナラ、ニゲル、デキル。」


オークさんは言うが僕は聞く耳を持たない。

竜をあそこまで追い詰めたのに。

オークさんがあんなに戦ったのに。

ただ逃げるだけだなんて…

悔しい。




「僕をあそこまで投げてくれ!」

オークは首を振る。


「ムボウ。シナナイ。マタ、タオセナイ。」

オークの諭すような声にハッとする。

首を切り落としても死ななかった竜だ。どうせ、無理になる。


僕が竜の弱点を考えているとき、オークは突然歌い出した。それは、今までのカタコトではなく流ちょうで心地の良い歌だった。



龍の逆鱗 首の根元に

触れれば怒り 嵐が舞う

オークの勇者 刃を掲げて

嵐を超えて 勝利を掴む



歌い終え、オークは照れるように喋る。

「オークニ、ツタワル、ウタ。」


首の根元か…

首を切り落としたときも首の根元には攻撃していない。弱点はそこかもしれない。

僕はオークに再度言う。


「僕を飛ばしてくれ。」

しばし逡巡したオークだったが、覚悟を決めた様子で大きく頷いた。



たしかに僕の体重は軽い。

だがこんなに投げれるもんなのかと、恐怖を抱きながら猛スピードで空を飛ぶ。

下を見たら余計に怖い。これ50mはいってるんじゃないか?

そんなことはさておき、僕は竜を見据える。

今だ完全に回復していないのか動いてはいない。

チャンスは一度きり。

僕は大きく深呼吸し覚悟を決めた。


「二段ジャンプ」で微調整をして、竜に相対する。

眼前に立ちはだかる竜の喉元——そこには、鱗がわずかに逆立つ箇所があった。


「——そこだ!」


僕はなけなしの魔力を振り絞り勢いよく槍を投げる。



「GGGyaaaaaaaa!!!!」


首を切り落とした時でさえも、鳴かなかった竜が絶叫をあげる。

翼を動かす力が無いのか重力が無慈悲に竜を引きずり落とす。


ドンッッ!!


巨体が地面に叩きつけられた瞬間、土煙と衝撃波が周囲に広がる。木々が弾け飛び、地面は波打つ。

そうして竜は討たれたのだった。



ちなみに僕は落下の衝撃で死にそうなところをオークさんに助けてもらった。

少々閉まらない終わり方だったが、勝ちは勝ちである。

僕たちは勝利に喜ぶのであった。



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