ダンジョン①
「へぇー、オークさんはハルカって人を探してるんだ。」
竜を倒した後、僕たちはお互いのことを話していた。
オークさんはハルカに恩返しをするためにこの森を出ようとしているらしい。
……というか、そのハルカという人物、どう考えても転生者っぽいんだけど。
ちなみに、オークさんの名前が「ミライ」だと知ったけど――
正直、オークの見た目で「ミライ」という名前は違和感がすごい。
だから僕の中では、やっぱり「オークさん」は「オークさん」だ。
「キースハ、コレカラ、ナニスル?」
オークさんの問いに、僕は考え込む。
……そういえば、これから何をするかなんて考えてなかった。ただ、この森を出たい一心でいたから。
でも、まずはあの事件の後の状況を知るべきだろう。
お嬢様が死んだのか、それとも生きているのかそれを確認したい。
となると、領都メイヘンに行けば分かるはず。
まぁ、そのメイヘンの場所が分からないんだけど……
「僕もこの森を出て、人に会いたいかな。行きたい場所があるから。」
「ソウカ。ナラバ、ワタシト、トモニ、イカナイカ?」
僕は少し迷ったあとで頷いた。
こうして、僕の遭難仲間が一人増えたのだった。
共同生活は大変。
――なんて言葉、聞いたことあるよね?
僕もそういう経験があるから、オークさんと一緒に行動するのはちょっと不安だった。
人種が違うというか……いや、種が違う相手との共同生活。
苦労が絶えないんじゃないかって思ってたけどそれは杞憂だった。
オークさんは「不眠」のスキルを持っているし、食事も僕と同じ木の実で問題なし。
正直、木の実だけの食生活は栄養が心配だけど、今のところは何も問題ない。
つまり、オークさんとの生活は全然大変じゃなかった。
むしろ――
グシャッッ!!
ゴブリンの頭が弾ける音がした。
オークさんが勢いよく頭を砕き、僕に向けてサムズアップしてくる。
……そう、戦闘がめちゃくちゃ楽になったのだ。
どんどん強くなる敵に四苦八苦していたけど、オークさんのおかげで大分楽になっている。
ちょっとおかしいところのあるオークさんだけど、戦闘では本当に頼りになる。
……ただし、今まさにゴブリンの頭でお手玉しているあたり、だいぶ「おかしい」のかもしれない。
共同生活一ヶ月目
僕たちは紫色のポータルの前で首をかしげていた。
「オークさん、これ何だと思う?」
「……ワカラナイ。」
オークさんも分からないらしい。
でも、問題ない。
こういう時のためにあるのが、僕の「鑑定」スキルだ。
この一ヶ月間、使いまくったおかげで「鑑定」はついにLv.3になった。
「『鑑定』!」
〈ダンジョンポータル
――ダンジョンへの入口〉
ダンジョン!?
僕は説明欄を思わず二度見する。
ダンジョン
――それは遥か昔から存在する。
――神が作ったとも、悪魔が作ったとも言われる。
――それは人々への試練の場。
――財宝が眠り、スキルを宿す道具――「アーティファクト」が手に入る場所。
授業中、先生に根掘り葉掘り聞いたことを思い出す。
ダンジョンって聞いただけで、興奮する。
「アーティファクト、ホシイ。」
オークさんがポータルをじっと見つめて言った。
僕は自然と頷く。
アーティファクトが手に入れば、この森での戦闘も楽になるはずだ。
「行こうか、オークさん。」
僕たちは軽い気持ちでダンジョンに足を踏み入れた――。




