竜③
オークが喋った?
「あの-、あなたはオークですか?」
僕は混乱して変な質問をする。
「イカニモ。」
ですよねー。
その豚頭も口からはみ出る牙もどこからどう見てもオークである。少々肌の色が黒いがそんな物はさじだ。
というか気まずい。何を話してよいか分からないし、何が彼?の逆鱗に触れるか分からない。
僕がそんな風に思っていると、オークは話題を変えるように話し始めた。
「アノリュウ、カイフク、スル。ワタシ、タオス、ムリ。
デモ、オマエ、ヤリ、タオス、デキル。」
あの竜は回復するから、オークは倒せない。でも僕の「魔槍」なら倒せると。
「ワタシ、オトリ。オマエ、タオス。」
そう言ってオークは竜に向かっていく。
僕は無理だと言いかけたが思いとどまる。今逃げたところでどうせ見つかりし、助けてくれたオークを裏切るのはなんか嫌だ。
「分かった。」
僕はそう返事を返した。
竜とオークの戦いはまさに激闘であった。
オークは木が密集しているところに誘導し、地の利を生かして戦う。
対する竜はその体躯を、その尻尾を、その翼を、その爪を、全身を使って攻撃を行う。
僕は木の上からその戦いを見て、絶句する。
(オークさん、明らかにさっきよ強いでしょ。)
先ほどの戦いと比べてオークさんはより強く、より速くなっている。竜も負けじと本気を出しており僕のことは眼中にないようだ。
これならいけるかもしれない。
(よし今だ!)
僕は木を勢いよく蹴る。木によって竜の動きが制限されている今が絶好のチャンス。
「魔槍」を伸ばす。自分の魔力操作によって作られた「魔槍」はある程度の変化は可能。まぁ、消費魔力は高くなるが…
さらに「二段ジャンプ」でさらに加速し、「強撃」で威力を高める。
「いっっけーー!!」
僕は槍を振るう。
スパッ――
音がした瞬間、首はすでに胴体から離れていた。空中で弧を描きながら、ゆっくりと回転する。首からは血が吹き出し、宙に散る。ドスン、と重低音を鳴らし地面に落下する。
一瞬自分でも何が起こったのか分からなかったが、徐々に嬉しさがこみ上げてきた。
よし! 竜を倒した。勝てないと思っていた竜を僕が倒したんだ!
僕はこの喜びを共有するため、オークさんに近づこうとするが…
「ウシロ!」
その言葉に恐る恐る振り返る。さっき首を落としたはずだ。きっと気のせいだろう。そう思っていても、嫌な想像が頭をよぎる。
そこには最悪な想像が現実になっていた。




