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授業

主人公キース



あれから1ヶ月が経った。

お目付け役のルックは非常に気さくで色々教えてもらっている。


まずは屋敷の設備。

朝昼晩の3回の美味しい食事(おかわり可能)に使用人一人一人に個室の部屋があり、鍛錬場も見習いが終えれば使えるとのこと。トイレや風呂も水の魔石を使っており、衛生面も充実している。

最高の環境だ。


次に仕事のこと。

僕の仕事は朝の洗濯物洗いと夜の風呂掃除で中々に体力がいる。

ルックには「3歳にはできないぞ。奥様は何を考えているんだ?」と言ってもいたが、できるので問題ない。それにはルックも驚いていた。

昼は空き時間があり、魔力枯渇を2回行っている。


最後にこの世界の常識を教えてもらった。

ルックとは話が時々噛み合わず、その都度常識を教えてもらった。

この国の名前はサルバ王国といい、国の真ん中に王都があり南にヘルース帝国、東に海、北にデーテム王国、西に赤龍山脈が接する国なのだそうだ。

それぞれの方角に大きな4つの貴族があり、それらをまとめて4大貴族というそう。デーテム王国と隣接するガイブ辺境伯は4大貴族の一角で下手な侯爵より権力があるらしい。

すごい所に拾われたんだ、僕は。

このガイブ辺境伯の領主はとても強いらしく、10年前にデーテム王国が攻めてきた時に敵の軍隊を全滅させ、王都を消した。そのため、デーテム王国は攻める余裕がないそうだ。

怖すぎるぜ!




そんなことを教えてもらいつつ、きちんと仕事をこなし見習いになって一ヶ月後、早朝に執事長に呼ばれた。


「見習い期間、お疲れ様でした。この屋敷に慣れましたか?」


「はい、大丈夫です。」


そう返すと、執事長は大きく頷きこれからのことを話してくれた。


「マリア嬢様は12歳になると王都の学園に行かれます。そのためには勉強に基礎体力をつけなければなりません。あなたも、従者として学園へ行かせる予定です。そのため、今日からマリア嬢様と共に授業を受けてもらいます。」


なるほど。

学園とは楽しそうな感じがする。

しかも、授業とは常識が分からない僕にとって有意義だ。


「分かりました。」


「具体的には、午前9時から授業を受け、午後3時まで体力作りや稽古をしてもらいます。マリア嬢様はそこから自由時間なので、あなたも休んでかまいません。

また、領都にお忍びで行く時ががございますので、その時もよろしくお願いします。

10日に1日休みで月給は10万エーンとなります。」


3時からの休みに、1日休み、ホワイト企業だ。

どこかの村とは違うぜ。

あとエーンとは何?

お金なのはわかるけど「円」のことか?


「あぁ、すみません。貨幣について分からないですね。それらの事は先生に聞いてください。私より詳しく教えてくれます。

では先生のところへ行きましょう。」




そうして執事長に連れられ、ある部屋にきた。その部屋には、緑色の髪にメガネをかけた頭の良さそうな女の人がいた。


「初めまして。私はマティナと言います。気軽に先生とでも呼んでください。」


「初めまして。キースと言います。よろしくお願いします。」


僕たちの挨拶に満足したのか執事長は部屋から出ていった。


「座ってください。

あなたの話は聞いています。この授業では、算術、歴史、マナーについて教えていきます。お嬢様が6歳になったら魔力の使い方も教えます。

算術、歴史、マナーはどの程度できますか?」


「えーと、歴史は全く分かりません。マナーも最低限です。算術は四則演算ならできます。」


「歴史は教えていくので大丈夫ですよ。マナーもそれぐらい出来ていたら、今のところ充分です。算術はすごいですね。一応こちらの問題を解いてください。」


なになに?

6+7=

13-8=

6×9=

45÷5=

……

簡単じゃねーか。ちゃちゃっと解いていく。


「全問正解!?しかも速い!?

なるほど算術は大丈夫そうですね。」


えー、今ので良いのか?

この世界大丈夫なのだろうか。


「では、お嬢様が来るまで少し時間があるので、何か質問はありませんか?」


「はい。お金に関して何も分からないので教えてください。」


よし、お金について聞ける。

エーンって円のことだよな。


「通貨名はエーンで、勇者がつけたと言われています。10エーンが銅銭、100エーンが銅貨、とこのように銀銭、銀貨、金銭、金貨も10倍づつ増えていきます。100エーンでパンが買えたり、果物が買えます。平均月給は10万エーンです」


ふむふむ。

僕の月給、平均と同じって高くね?

日本よりも若干、価値が高いが同じだと思っているがかまわない気がする。

それよりも、


「勇者って誰ですか?」


「勇者は1000年前の人ですが、すごく強く、賢かったと言われています。

その強さはドラゴンを一撃で屠り、その賢さは魔力を使わない物理学という新しい考え方を説いたそうです。

また、ヘルース帝国のさらに南に勇者が建国した、カーガワ国があります。私も一度行ったことがあり、「ウドン」という料理は美味しかったです。」


異世界人確定!

カーガワって「香川」だよな?うどんって言っているし。

しかし、千年前か。千年前の日本に香川なんてないから、時間の流れが違う可能性があるな。

一度行ってみたいな。


そうしてマティナ先生にあれこれと質問しては答えてもらった。

コンコン


「どうぞ。」


「おはようございます。マティナ先生、今日の授業は何ですか?

あれ、キース?見習いは終わったの?」


「はい、マリア様。今日から一緒に授業を受けます。」


「良かったわ。一緒に頑張ろうね。」


「お嬢様、今日は歴史ですよ。

あとキースさん、マリア様ではなくお嬢様と呼ぶように。」


あ、そうだったのか。

確かにほとんどの従者はお嬢様って呼ぶ気がする。


「分かりました、先生。」


「ふふ、キースったらもう怒られてる」


お嬢様に笑われてしまった。

授業を楽しく受けられそうで良かった。




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