おともだちになりました
「ま、待ってください、アルフレッドさま!」
背を向けたアルフレッドさまを呼び止めると、困ったような笑みを浮かべてこちらを振り返った。
「エスタリーゼ嬢、今後は気を付けて、こんなことはないようにね。」
「っはい!」
ではなくて・・
「あ、あの・・!あのっまた!また誘ってくださいませ!その・・お友達として!!」
「っエスタリーゼっ!!」
お父さまの大きな手に口と体ごと塞がれる。
アルフレッドさまは、呆然としていたけれど、そのうちにふ、と微笑んで言った。
「ぼくとともだちに・・なってくれるの?」
「っ!!」
お父さまに口を塞がれているので返事ができなくて、私はこくこくと頷き返した。
「・・リッシュ殿、その手を離してあげて・・?」
お父さまの手が、躊躇いがちに離される。
アルフレッドさまは、今一度私に歩み寄って来られて、私の顔を覗き込んだ。
「いいの?あれが、本当のぼくかもしれないよ?」
「・・いいです。それでも。これは私の意思です。ね?おともだちになりましょう?」
私は、スッと手を差し出して、驚いた顔をしているその右手を左手で掴んで自分の右手と重ねた。
ぶんぶんと振って、微笑んで言う。
「はい!これでおともだちですよ。もう撤回はできませんからね?」
アルフレッドさまは、泣き笑うような苦しげな笑みを浮かべた。
それは、きっと嬉しいとか困るとか、色んな気持ちの表れだったんだと思うけれど、そんな顔をして笑うお姿がなんだか愛おしいと思った。
「また誘うよ・・今度は・・ぼくもきみに会いに行ってもいい?」
「ええ、もちろん!おともだちですからね!」
「・・ありがとう。」
「いいえ!」
そんな一見朗らかでしあわせそうな場面を、心穏やかならぬ思いでエスタリーゼの専属執事セバスチャン・スクイーズと、リッシュ・ベルッチは見つめていた。
もしかしたら我がお嬢さま(我が娘)は人タラシなのかもしれない・・。
嗚呼・・どうしてくれようか、と心の中で思われていることなど、エスタリーゼは知る由もなかった。




