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噂はあてにならないのでは・・?

「なるほど・・そういった経緯で、つまるところは大公さまではなく・・より大物であるアルフレッド王子を引っかけてきたというわけですね。」


引っかけるだなんて人聞きの悪いことを言わないでほしい。


友達になっただけだ。

ちょっと捻くれた年上の男の子と。


なのに、セバスチャンはものすごく深いため息をついて言う。


「・・なんでよりにもよって・・。」


もご、と口の中で言い濁すセバスチャンに頭の中でちふが言葉を紡ぐ。


『こないだも言ったけどアルフレッドはジルのおともだちだからね〜。』


ああ、そういえばそんなことも書いていたわね・・?

なんだったかしら・・そうそう、大公さまと共謀して私を陥れるとかなんとか・・。


・・・だったわ。

うっかり忘れていたわ・・。

これはいけないわね・・、あ・・でも!!


「でも、それならちょうどよかったじゃない!」


パチンと手を打ってセバスチャンを見やった。


「アルフレッドさまに大公さまのことを紹介してもらえばいいわ!」


『・・・』

「・・・」


「ちょっと、どうして2人とも黙っちゃうの?いいアイデアでしょ?アルフレッドさまのおともだちっていうんなら、噂に聞くほどジルさまもそれほど恐ろしい方ではないのかもしれないわ!」


うんうん。

噂は当てにならない、ってやつね。


「何言ってんですか、お嬢さま。」


『いやマジで。もしかしてエスタんって、アルフレッドがマジでいい奴とか思ってんの?』


ものすごく馬鹿にした声音で目の前と頭の中の2人が言う。


「思ってんだよ・・エスタリーゼってのはそういう奴なんだ・・。」


はぁ・・とため息を乗せて呟くセバスチャンに応えるように、頭の中でパチン、と切り替える音がした。


「いや・・だから設定と違いすぎてさ・・。エスタんおバカなの?」


『おばかじゃないわ。』


「じゃあアホだね。アルフレッドは戦場の悪鬼の単なるおともだちってのじゃないの。そういう意味じゃなくてさぁ!王家の権力を貸し与えて王家に楯突く者を秘密裏に処分させてるのよ?つまり暗殺者みたいにジルを使ってるってわけ。」


「エスタリーゼのことをアホっつーな。ちょっとびっくりするぐらい世間知らずの箱入り娘なだけだ。」


2人ともものすごく辛口だと思う。

だって、そんなこと誰も教えてくれなかったし・・知らなくても仕方がないことではないのだろうか。


というか・・


アルフレッドさまの昨日の様子を思い出してみると、その話にはどうしても不可解な点がある。


最後にアルフレッドさまが言っていた(本当のぼく)という部分のことだ。


あの寂しげで苦しげな笑顔は恐ろしげな言葉を紡いだ時に見せた悪魔の化身のような笑みとは全く正反対だった。


まるでジキルとハイド、ね。


・・?なんだったっけそれ。。


とにかくまるで2人のアルフレッドさまがいらっしゃるようだった。

私とちふのように・・。


『だから、・・だからきっと、アルフレッドさまは恐ろしい王子の自分を装ってらっしゃるのだと思うの。』


「・・まだ言うか。セバスチャン、エスタんって意外と頑固?」


「そうですね・・頑固です。意外とではなく。」


失礼しちゃうわ!

でも・・私は私の信じているものを信じる。

それだけよ!!!


「まぁ・・ほんとにアルフレッドがうちに来るとは思えないし。」


「それはそうですね・・。まぁ・・王子が男爵家を訪れるなんて話・・聞いたことありませんし。」


・・そうなの?


しょんぼりしてしまう・・。

だって・・約束したのに。


『おともだちになったのよ・・。』


「いやいや、そんな悲しげに言われても。分かってる?エスタん、あいつすっごい怖いヤツなんだよ?お友達になっちゃだめなの。」


『怖い方なんかじゃないわ!きっと寂しいだけで・・ちょっと拗ねてるだけなの!』


「あのアルフレッドをそんなむくれた子供みたいな扱いするのはエスタんだけだと思うよ・・。」


「・・何を言っているのか聞かなくても想像がつきます。」


ええ・・。

心外だわ・・。


「ま、アルフレッドのことは忘れましょ!ジルのこともこれで後回しになっちゃうから・・計画変更してとりあえずスチュワートから攻めよ!」


「・・もうこれ以上タラシ込むのはご遠慮願いたいんですが。」


『タラシ・・そんなのしないわ!』


「まぁ、アルフレッドが何を考えてるのか分かんない以上、エスタんが間違ってるとも言い切れないか。セバスチャン、お腹減った〜。」


「お嬢さまに代われ。お前に給仕してやるつもりは一切ない。」


パチン


「せばす・・アルフレッドさまはおともだちなのよ。今度はうちに遊びに来てくれるって・・約束もしたわ。」


キュッとスカートを握りしめてセバスチャンを見つめた。


セバスチャンは、はぁ、とここ最近すっかり増えたため息をまた零して言った。


「・・美味しい紅茶とお菓子をご用意しておかなければならないですね。」


セバスチャン・・!!

何だかんだ言いながら私のことを信じてくれる。

ちふと大違いだ。


「うん!」


きっと来られるわ。

だって約束したんだもの。


私はそう信じていたけれど、お父さまもセバスチャンも、結局ちふと同じで・・


ちっとも信じていなかったのだと、後々分かるのだった。

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