王子さまはきっと
・・・ということは・・?
『ねぇ、男の前で肌着姿はさすがにヤバいんじゃないの?』
私は真っ赤に次いで真っ青になり自分の身を守るように抱え込んでしゃがむと叫んだ。
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
なんか、こんなのばっかじゃないですか?
もういやぁ!!!
***
コルセットを緩めていたことを・・忘れていたのです。
いえ、覚えていたんですけどね?
そう、目が覚めて、あー息できるぅって素晴らしいわ〜とそう思った時までは。
でもアルフレッドの名乗りを聞いて、慌てて自分も名乗らねば!と思った時にはもう・・すぽんと・・すっぽーんと・・である。
呼んでくれたメイドさんたちに着付け直してもらって、ひと心地ついた私は、もう恥ずかしさも虚しさもとりあえず見ないふりをして平静を装ってアルフレッドと向かい合わせに座り、お茶を飲んでいた。
私は、どうやら一般人立ち入り禁止の王家の方しか通ってはならない通路に迷い込んでいたらしい。
セバスチャンが追って来れなかったのも当然である。
ということは・・しかられるだろうな・・。
「エスタリーゼは男爵家だよね?こんなパーティーに来るのは珍しいんじゃないの?」
「はい・・そうですね・・はじめてです。」
もう、本来の目的から遠去かりすぎてます・・。
「はじめてか!何歳?ぼくは17歳なんだけど。」
「私は15歳です。」
「15歳か!ふぅん、にしては幼い・・というか。ねぇ、また来る?」
「・・いえ、恐らくもう来れないかと・・そもそも私の家にこのようなパーティーへの参加は・・。」
「・・そんなの・・・気にしなくていいと思うけど、ああ、でも、だったらぼくが招待するよ!腐っても王子だから権力だけはあるんだ。」
『あーこりゃエスタん目ぇつけられちゃったね。執着王子の血が騒いじゃってるみたいよ?』
執着王子・・だなんて・・ひどい言い方を・・!
「あ、アルフレッドさまは、お寂しいだけよ!!」
「・・え?」
あっ!
『あー・・まぁたやっちゃったか・・。しーらねっ。』
「ちょっと!まっ・・。」
アルフレッドさまは、冷たい視線で私を見つめて首を傾げた。
「・・今、なんて?」
「・・ちがっ・・その・・きりあ・・」
アルフレッドさまがスッと片手を上げると、部屋の中に控えていたメイドたちが音もなく部屋を出ていく。
待って待って!!ふたりきりにしないでぇぇぇ!!!
「ぼくが・・寂しいって・・?」
「・・それはっ・・」
「寂しいから・・きみにこだわってるっていうの・・?」
「・・・っ」
アルフレッドさまは向かい合わせに座っていたソファーから立ち上がり、仁王立ちになって腕を組んだ。
「ぼく、王子なんだけど。忘れちゃってたかな?」
「・・覚えてますわ。」
「へぇ?じゃあ侮辱罪で男爵家を7代まで極刑に処そうかな?」
・・っ
『こっわ、なんてこと言うのこいつ!』
「きみはぼくが飽きるまでここで飼ってあげるよ。大丈夫、そんなにすぐに壊しはしない。ぼくはお気に入りのおもちゃは大切にする方なんだ。」
・・こ、怖いわ。その笑顔が余計に怖いわ・・。
『ヤバいよヤバいよ!ヤンデレタグすっごい生きてるよ!!』
「・・そんなに怯えて・・ふふ、可愛いな。ゾクゾクする。」
・・っどうしましょう?!
『逃げな!逃げなエスタん!それしかないって!』
でも・・そんな・・
さっき、私を助けてくださって、ドレスが脱げ落ちた私に背を向けて下さったアルフレッドさまはとても紳士だったわ。
あれが本当で・・今は・・今こそが無理をなさっている装ったお姿なのだとしたら・・。
そうよ・・根っからの悪者はいないのだと、物語にも書いてあったわ!!
「私は、自分の目を信じますっっ!!!」
『えええ、エスタん〜〜〜!!!』
「・・。」
『アルフレッド無言じゃん!無言は肯定か馬鹿にしてる時のやつだよ?これ絶対後者ね!!』
「いいんです。もし、アルフレッドさまが悪者なら、それに騙された私が馬鹿なだけです。でも、アルフレッドさまは絶対に悪者なんかじゃありません!私は、私を助けてくださって、私にお水を差し出して微笑んでくださったアルフレッドさまこそが本物だと信じます!!!」
「・・・そう。」
「はいっ!」
コンコン
大きな扉がノックされる音がして、私はハッとそちらを向いた。
「・・なんだ。」
「ベルッチ家のリッシュ・ベルッチさまがお見えです。」
え、お父さま?!
「・・入れ。」
キィ・・
開かれたドアの向こうから青ざめたお父さまとセバスチャンの姿が現れた。
「お父さま!」
「っ・・アルフレッド王子・・この度は我が娘が多大なるご迷惑を・・。」
「いいえ、ぼくは何も。」
「娘を介抱してくださったのが王子でなければ今頃どうなっていたか・・。」
「よかったです、何事もなきを得て・・。では、ぼくはこれで・・。」
「は。御前失礼いたします。」
え?
もう行っちゃうの??




