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私の中にいる変態

『ところで本日の目標はどこにいるのでしょーっか!?』


大公さまね。

やっぱり、王様や王子様のところではないのかしら。


本日の主役だし、そこらへんをウロウロされているとは思えないけれど。


『まぁ、いたら女の子が群がってるだろうから、すぐ分かるだろうけどっ!』


それもそうね・・。

ふぅ・・それよりも・・本当に苦しいわ。


ちょっとでいいからコルセットを緩めたいわ・・。

でも自分でなんかできるわけもないし・・、おトイレに行きましょう。


出すもの出したら・・ちょっとはラクになるかもしれないし・・。


「セバスチャン、お手洗いに行くわ。」


「そうですか、ついていきます。」


「え?!い、いいわよ、お手洗いよ?」


「どこであってもおひとりにすることはできません。せめてお手洗いの入り口までは付き添います。」


うえっ?!


で、でもそんな・・お手洗いについてきてもらうとか・・それはちょっと淑女としてどうなの・・?


「きっ騎士の方もいらっしゃるだろうし、大丈夫よ!」


「・・それはそうですが、まんがいちということもあります。」


「いいってば!ここで待ってて!」


セバスチャンはしゅん、と叱られた子犬のような眼差しを向けて呟いた。


「・・俺にずっとそばにいろって言ったくせに・・。」


ぬあっ!


「そ、それを今・・言うのはずるいわ・・。」


「俺にずっと離れるなと誓わせたくせに・・。」


なな・・なんてこと!

でも、誓わせたわ。

間違いないわ・・。


『はぁっ、仔犬なセバスチャンもかわゆす〜!』


「・・分かったわ。つ、いてきていいわ。」


もう押し負けたとしか思えないけど、仕方ない。


でも、絶対にお手洗いの前では待たせないわ。

それだけは阻止してみせるわ!!


『よっこらしょ』と私がぎこちなく動き出したタイミングで頭の中でちふが言う。


そんなお年寄りのような言い方はしないでほしい。


しかし・・王城の中、まだほんの入り口なのだけれど、すごく豪奢なところね。


やっぱり・・王城だものね。

こうやって見ても、やっぱり私が居ていいところだとはとてもじゃないけれど思えないわ。


大理石のただ広い通路の中央部にふかっとしたじゅうたんが敷かれている。


その両端には、適度な間隔を保って騎士が立たされていた。


『生騎士かっこよすぎじゃない?』


・・ちふは、どうやらそういった下世話な目線でしか男性を見れないようだ。


いやらしい・・。


パチン


「ねぇ、セバスチャンって結構筋肉ついてたけど腹筋割れてるの?」


「・・・・お前、ちふか。」


無表情のままで突然変なことを言い出した私の言葉にも狼狽えずに給仕している執事ですという態度を変えずにセバスチャンが言う。


私も突然何も言わずに交代されたわけだけど、この2週間の間もこんな感じだったので、もう驚くとかはない。


「騎士とかだと鍛え方が違いそうじゃない?やっぱアッチは腹筋バキバキなのかなぁ・・。」


『・・そういうことを・・』

「そういうことをエスタリーゼの口で言うんじゃねぇ。」


それ!

ほんとそれ!!

私が痴女みたいじゃない?!


「えー普通、気になるでしょ。っていうか、女子のお茶会とかもそういう話ばっかじゃないの?普通。おたくのエスタんが純真すぎるだけで。15歳ってもう生理もきてるでしょ?」


『んなっ!!なんてことを!!!なんてことを!!!代わりなさいちふっ!!!』


「えーいやよ。ちょっとこの両の眼で騎士様方の裸体を透視してから・・。」


『やめてぇぇぇぇ!!!!』

「やめろ。お前は・・変態か。」


「やぁねぇ、変態じゃないわよ。青少年ならぬ性処女の主張っての?たはっ、上手いこと言っちゃったねこりゃ。」


『うう・・せばすぅ・・せばすぅ・・!』

「大丈夫だエスタ。こいつは女だけど多分中身はおっさんだ。お前とは別次元の生物だ。」


私の心を察してセバスチャンが優しく言う。

少しだけ救われた気持ちになれるよ・・。


「ってーいうか、このコルセットっての?マジで無理。ねぇ、ちょっと緩めてくれない?」


「・・・は?」

『は???』


「は?じゃなくて2人してユニゾンしてないでさ、これキツすぎだって!エスタんもおしっこしてキツさを紛らわそうとしてたくらいだし、ちょっと緩めてよ、セバスチャンの大事なエスタん死んじゃうよ?」


『ちょっ!何言ってるのちふっ!!!』


セバスチャンも呆然あんぐりとしている。


おしっこしてキツさを紛らわそうとしてたとか・・言う・・?


とんでもないことを暴露されてしまい、顔に火がつきそうだ。


「・・エスタ・・、いや、こ、コルセットの紐をっその・・緩めるとかっはっ、その・・おっ男としてっ!!」


セバスチャンも真っ赤だ。

それもそうだろう。

コルセットの紐を緩める=ドレスを脱ぐ=裸になるということだし。


つまり・・そういうことだし。


「えーもう、セバスチャンの意気地なしっ!いいわよ、そこらへんのタイプの騎士様に声かけるからっ!」


『え、いやいや何言ってるのちふ!!ダメよそんなのふしだらよ!!』


というか、それに騎士様がのってくれなかったらそれはそれでまた別な意味で傷つくじゃないの。


それはつまり傷しかつかないじゃないの!!


『代わって!代わってくれたら、私が我慢すればいいだけだしっ!!』


「あ、それもそうね。じゃ、交代!」

「分かった!俺も男だ・・!そこの脇道の陰で・・」


ぐいっ

パチン


切り替わりのスイッチ音が鳴るのと、セバスチャンに腕を引かれたのは同時だった。


「いやぁっ!!」


ぶん、と取られた腕を振り払う、と同時に息苦しさによろめいた。


手を振り払われたセバスチャンが驚いた顔をしている。


私は涙ぐんで、もう、色んな意味で、色んな理由から涙ぐんで怒鳴った。


「セバスチャンの・・ばかぁ!!!」


ダッと駆け出して茫然自失となったセバスチャンを置き去りにしたままで廊下の角を曲がった。


完全にちふと私に振り回されているセバスチャンに・・ひどい仕打ちだと思わなくもないけれど・・コルセットの苦痛から逃れるために用を足そうとしていたことを知られた恥ずかしさとか、もう色んなことが胸と頭の中をぐるぐると回っている。


はふはふと息をあげ、壁に手を添えた。


あれ・・ここには騎士様はいないのね・・?


『ねぇ、さっきさ・・』


ああ、なんだか視界がぼやけて・・き、た。

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