第六十七章 妖の国に美少女白ギャル登場?
ざっ。
小さな足音がした。
「……!」
コハクが、はっと顔を上げる。
「どうした?」
ユウトが尋ねる。
コハクは、森の奥を見つめていた。
「……今。」
「え?」
「誰か……いた。」
全員が振り向く。
風が吹く。
ざわり。
木々が揺れる。
「誰かって……。」
ニャオミーが辺りを見回す。
コハクが、小さく頷く。
「視線を感じたの。」
ルゥの表情が引き締まった。
「……行くぞ。」
全員で、音がした方へ駆け出す。
だが。
そこには。
誰もいなかった。
静かな森だけが、広がっている。
「……いない。」
ユウトが呟く。
木の上。
茂みの中。
辺りを見回しても、人影はない。
その時。
「……これ。」
たぬぷぅが、小さく声を上げた。
足元には。
一枚の白い花びらが落ちていた。
先ほど、神宝から舞ったものと同じ花びら。
でも。
ここまで流れてくるには、少し遠い。
「……。」
コハクが、花びらを見つめる。
「誰か……いたのね。」
ユウトが、暗い森の奥を見つめた。
「……誰なんだ。」
ルゥも、目を細める。
「わからん。」
小さく息を吐く。
「じゃが……。」
巨大な木々の隙間へ視線を向ける。
「しばらくは、用心した方が良さそうじゃな。」
ユウトも、こくりと頷く。
「……だね。」
風が吹く。
木々が揺れる。
その時だった。
ぐぅぅぅぅぅ……。
全員。
「……。」
しん。
また。
ぐぅぅぅぅぅ……。
「……。」
ニャオミーが、そろりと周りを見回した。
「……今の、お腹?」
「私じゃないよ?」
ニャオミーが首を横へ振る。
「我でもないぞ。」
ルゥも言う。
すると。
「あー……。」
声。
全員。
「!?」
一斉に見上げる。
木の枝の上。
17歳くらい、だろうか。
そこに、一人の少女が座っていた。
白い髪。
高い位置で結ばれたサイドポニーテール。
白い肌。
水色の瞳。
黒い旅装束には、淡い青色の紐がいくつも結ばれている。
裾は短く、動きやすそうなミニ丈のスカート。
背中には、大きな籠を背負っていた。
そして。
お腹を押さえている。
少女は、全員と目が合った。
「……。」
「……。」
「……。」
数秒。
やがて。
少女が、へにゃりと苦笑する。
「やはは〜……。」
一拍。
「……ちっす。」
全員。
「「「「は?」」」」
少女は、困ったように頬を掻いた。
「いやー……。」
「絶対これ聞こえてるわって思って。」
「もういっか、みたいな。」
「出てきた。」
「軽っ!!」
ニャオミーが思わず叫ぶ。
ぴょん。
少女が、木から飛び降りた。
音もなく着地する。
その動きに、ルゥの目が細くなる。
「…おぬし、何者じゃ。」
「うち?そらぴす!」
「以上。」
「情報が少ない!!」
今度はユウトがツッコんだ。
少女は、きょとんとする。
「名前聞かれたから、名前言った。」
「いや、そうなんだけど!」
「何者かって聞いてるの!」
「……旅人?」
語尾が少し上がった。
自信がなさそうだった。
「なんで疑問形なんだよ……。」
ユウトが額を押さえる。
すると。
ルゥが、一歩前へ出た。
「……目的は何じゃ。」
「目的?」
「もしや……神宝を狙っておるのか?」
「……しんぽう?」
全員。
「……え?」
そらぴすが、首を傾げた。
そして。
「あの球のこと?」
「……。」
「神宝っていうんだ。」
全員。
「えぇ……。」
ルゥが、思わず目を瞬かせる。
「知らぬのか……?」
「知らない。」
即答だった。
「じゃあ、なんでここにおる。」
「んー……。」
「なんか、光ってたから?」
「なんか!?」
ニャオミーが叫ぶ。
「うちもさ、」
「前に、こういうの見たことあんだよね。」
全員。
「……!」
「なんか、欠片みたいなの集めたら。」
「なんか、光って。」
「なんか、丸くなって。」
「なんか、変な力もらった。」
ルゥ。
「なんかで済ませるでない!!」
そらぴすが、びくっと肩を跳ねさせた。
「怒られた……。」
ユウトが、はっと顔を上げる。
「……待って。」
「それって……。」
「君も、神宝を再生させたの?」
「……再生?」
そらぴすが考え込む。
「……多分?」
全員。
「多分なんだ……。」
すると。
ぐぅぅぅぅぅ……。
「……。」
また鳴った。
そらぴすが、すっと目を逸らす。
「……。」
「……。」
「……。」
ニャオミーが、じーっと見る。
「……お腹すいてるの?」
「すいてる。」
即答だった。
「いつから……?」
「昨日の昼くらい。」
全員。
「えぇ!?」
「なんで!?」
そらぴすが、不思議そうな顔になる。
「山菜採りしてた。」
「それで?」
「夢中になった。」
「それで?」
「気づいたら夜だった。」
「それで?」
「今日になってた。」
「なんでぇ!?」
ユウトが頭を抱える。
すると。
くいっ。
服の裾が引っ張られる。
たぬぷぅだった。
「……おなか、すいてる?」
「すいてる。」
「……。」
たぬぷぅは、しばらく考える。
そして。
こくり。
「……ごはん、たべる?」
そらぴす。
「食べる。」
即答だった。
ニャオミー「えっと……。」
ユウトが荷物を下ろす。
中から取り出したのは。
干し肉。
干し果物。
それから。
ニャオミーが作ってくれた、余っていた焼き菓子。
「これくらいしかないけど……。」
そらぴす。
「……。」
「……。」
「……。」
固まった。
「え?」
「……今から、それ食べるの?」
「晩ご飯?」
「そうだけど……。」
数秒。
そらぴすが、すぅ……っと息を吸った。
「絶対だめーーー!!」
全員。
「!?」
「ご飯は!」
「ご飯はね」
「一・日・3・食・しかないの!!!!」




