第五十二章 森に眠る神宝
「……お前たち、何者なんだ?」
風が吹く。
ざわり。
歪な季節の森が、大きく揺れた。
ユウトたちは、顔を見合わせる。
すると。
ルゥが、一歩前へ出た。
ふふん。
胸を張る。
「我らか?」
「……。」
「旅人じゃ。」
「いや、そこ普通なんだ。」
ユウトが思わずツッコむ。
ルゥは気にしない。
「それに――」
胸へ手を当てる。
「龍神じゃ。」
ぽん。
「……。」
ルゥ。
「もっと驚いてよいぞ。」
ぽん。
「……小さい。」
「小さい言うでない!!」
ニャオミーが、ぷっと吹き出す。
コハクも苦笑した。
「私たちは……神宝を探して旅をしているの。」
ぽんの目が、大きく見開かれた。
「……神宝を?」
「知ってるの?」
ニャオミーが尋ねる。
ぽんが、ゆっくり頷いた。
「俺たちの一族は……昔から、神宝の欠片を守ってきた。」
全員。
「……!」
「やっぱり……。」
コハクが、小さく呟く。
ルゥも腕を組む。
「では、この森にも……。」
ぽんが、黒ずんだ木々を見る。
「……ある。」
風が吹いた。
ざわり。
木々が苦しそうに揺れる。
「この森のどこかに、神宝の欠片が眠ってる。」
ぽんが、ゆっくり拳を握った。
「でも……。」
その声は、悔しそうだった。
「俺じゃ、どうにもできない。」
「……。」
「邪鬼は増えるし、森はどんどん壊れていく。」
ぽんが俯く。
「俺だって助けたい。」
小さな声だった。
「でも……もう、この森は限界なんだ。」
風が吹く。
木霊たちが、不安そうに身を寄せ合った。
ぽんが、顔を上げる。
そして。
真っ直ぐ、ユウトたちを見る。
「……頼む。」
全員が、ぽんを見た。
「この森を……助けてくれ。」
静寂。
木霊が、きゅっとぽんの服を掴む。
「……もり。」
ぽんが、小さく頷く。
「もし、お前たちが本当に神宝を探しているなら……。」
森の奥を見た。
「会わせたい人がいる。」
「……人?」
ユウトが首を傾げる。
ぽんが、少しだけ笑った。
「人じゃないけど。」
「?」
「この森で、一番神宝に詳しい。」
どしん。
その時だった。
足元が、小さく揺れる。
全員。
「……!?」
どしん。
どしん。
まるで。
何か巨大なものが歩いているような音だった。
ぽんが、森の奥を見つめる。
そして。
小さく呟く。
「……この森の長老。」
どしん。
木々の向こうで、何か大きな影が動いた。
「ダイダラボッチだ。」




