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第十八章 追手

子供たちを村へ送り届けた翌日。


ユウトたちは再び街道を進んでいた。


村人たちは何度も頭を下げてくれた。


特に兄妹の両親は泣きながら感謝していた。


「いやぁ……良かったな」


ユウトが笑う。


「うむ」


ルゥも満足そうだった。


たぬぷぅは村でもらった団子を食べている。


すでに三本目だった。


昼過ぎ。


五人は街道沿いの小さな町へ到着した。


旅人向けの宿場町らしい。


露店が並び、


商人たちが行き交っている。


「今日はここで泊まる?」


ニャオミーが尋ねる。


「そうじゃな」


ルゥが頷く。


「我はもう歩きたくない」


「龍神のくせに体力ないな」


「失礼じゃな」



そんなやり取りをしながら歩いていた時だった。


ふと。


ニャオミーの足が止まる。


「……え」


小さな声だった。


誰も気づかないほどの。



広場の向こう。


掲示板の近く。


そこにいた。


黒い装束を纏った男たち。


三人。


全員が同じ紋章を身につけている。


銀色の月と尾を組み合わせたような印。




ニャオミーの顔から血の気が引いた。


(なんで……)


心臓が大きく跳ねる。


(なんでここにいるの……)




その紋章を知っていた。


忘れるはずがない。


何度も見てきた。


逃げ出した日も。


追われた日も。


ずっと。




「ニャオミー?」


ユウトが声をかける。


びくりと肩が跳ねた。


「な、なに?」


「顔色悪いぞ」


「だ、大丈夫!」


全然大丈夫じゃなかった。


声が裏返っている。




コハクが怪訝そうに眉をひそめる。


「本当に?」


「うん!」


ニャオミーは慌てて笑う。


無理やり作った笑顔だった。




その時。


黒装束の一人がこちらを向いた。


ニャオミーの身体が凍り付く。


だが。


男はそのまま通り過ぎていった。


まだ気づかれていない。


たぶん。


きっと。




「……宿行こう!」


突然ニャオミーが言った。


「え?」


「今日は早く休もう!」


「珍しいな」


ユウトが首を傾げる。


だがニャオミーはそれ以上何も言わなかった。




その夜。


宿。


皆が寝静まった頃。


ニャオミーは一人、

窓の外を見ていた。


月明かりが差し込む。


手が震えている。




見間違いじゃなかった。


あの紋章だった。


あの人たちだった。




「なんで……」


小さく呟く。


ここまで来れば大丈夫だと思っていた。


もう見つからないと思っていた。




その時だった。


宿の向かい側。


屋根の上。


黒い影が立っていた。


月明かりに照らされる銀の紋章。




男は静かにこちらを見ていた。


逃がさないとでも言うように。




ニャオミーの顔が青ざめる。


喉が震える。


呼吸が浅くなる。




そして。


かすれた声が漏れた。


「……見つかった」

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