表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
19/106

第十五章 ニャオミー先生の旅講座?

王都を出て半日。


街道は緩やかな丘を越え、森沿いの道へ続いていた。


空は青い。


風も気持ちいい。


そして。


「おなかすいた」


たぬぷぅが言った。


「早いな!?」


ユウトが突っ込む。


「朝食べただろ!」


「三時間前」


「十分最近だわ!」


するとニャオミーが笑った。


「じゃあ少し休憩しようか」


「さんせい」


たぬぷぅが即答する。



街道脇の木陰。


五人は腰を下ろした。


たぬぷぅは早速おやつ袋を広げ始める。


「待て」


ニャオミーが止めた。


「旅では一度に食べちゃダメ」


「なんで?」


「後で困るから」


たぬぷぅが固まる。


重大案件だった。


「旅はね」


ニャオミーが説明する。


「次の町まで何日かかるか計算して食べ物を使うの」


ユウトが頷く。


「あと水も大事」


ニャオミーは近くの小川を見る。


「飲み水は常に確保しておくこと」


「ほう」


「野営するなら風下は避けること」


「へぇ」


「あと荷物は重いものを下へ――」


そこまで言って。


ニャオミーがぴたりと止まった。


「あ」


しまった。


そんな顔だった。


コハクがじっと見る。


「……妙に詳しいわね」


「そ、そう?」


「普通の旅人より詳しい気がするけど」


「き、気のせいだよ!」


露骨だった。


ものすごく露骨だった。



ルゥが腕を組む。


「確かに詳しいのう」


「だよな」


ユウトも頷く。


「教官みたいだった」


「き、気のせいだって!」


ニャオミーは慌てる。


耳がぴこぴこ動いていた。


怪しい。


ものすごく怪しい。



その時だった。


ぐぅぅぅぅ。


静かな街道に音が響く。


全員が振り向いた。


音の主は。


ニャオミーだった。


「……」


「……」


数秒の沈黙。


ニャオミーの顔が赤くなる。


「わ、忘れて!」


「お前もか」


ユウトが笑う。


「たぬぷぅのおやつ管理してる場合じゃないじゃん」


「うぅ……」


ニャオミーは耳まで真っ赤になった。



やがて休憩を終え、


五人は再び街道を歩き始める。


その途中。


遠くに小さな村が見えてきた。


煙が上がっている。


畑もある。


普通の村だ。


……そう見えた。


だが。


「ん?」


コハクが足を止める。


金色の瞳が細くなる。


「どうした?」


ユウトが尋ねる。


コハクは村を見つめたまま答えた。


「……静かね」


風が吹く。


村からは人の声が聞こえない。


家畜の鳴き声も。


子供たちの笑い声も。


何も。


「確かに……」


ルゥも眉をひそめた。


嫌な予感だけが、


静かに胸の奥へ広がっていく。


五人は顔を見合わせた。


そして。


村へ向かって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ