↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

肆

澄み渡った青い空、悠々と様々な形の白い雲が浮かんでいる。

そんな快晴の空とは裏腹に地上では怒鳴り声が響く。


「なんで携帯が繋がらねえんだ、くそが!」


大声をあげるガタイの良い男性。強面で如何にもなガラの悪い服、その半分以上が血に染まっていた。


「まあまあ、流石にそろそろ救助も来るやろし」


普通なら目を逸らしたくなるようなその男性を世紀末さんが宥める。

トンネルから戻ってきた世紀末さんの案で生き残った人達で集まって話し合おうということになった。

こんな状況でリーダーシップを発揮できる世紀末さんは俺の中で勝手に頼れる存在にしてしまっているのだが、モヒカン頭とヤクザが話しているその光景はかなり怖いものがある。


「それは期待できないかもしれませんよ。」


その二人の会話に割って入るのは、気品というかどこか大人びた雰囲気のある男性。

世紀末さんがトンネルから戻って来たときに背負っていた生存者。


怪我が重いのか仰向けのまま手を組みつつ続ける。


「トンネルには基本的に監視カメラが付いていて異変などがあればすぐに人が駆けつけるはずですが事故からかなりの時間が経っている現在その気配すらないですから。」


「携帯も繋がらない、救助も来ない…どうするか。」


世紀末さんは腕を組み頭を捻り考えている。


「おっさんたちの固い頭やと良い案でないかあ、ここは一つ若い子に意見を聞いてみるか。」


と、悪戯な笑みを浮かながら俺に唐突に話を振ってきた。

みんなの視線が集まる。


「え、あの…」


言葉が詰まる…


ヤクザさんの目が恐い。

世紀末さんの笑顔が怖い。

女子高生は俯いているだけ…

スーツ姿の男性は真顔。

紳士さんは下から見上げてくる…


━そういえば、俺はこの人たちのことを何も知らない。


「…自己紹介なんてどうでしょうか?」


「そういえば、確かにまだだったな。」


世紀末さんが頷く。


「できた子ですね、大人の私達よりずっとしっかりしている。」


紳士さんは仰向けのままニコニコと笑顔で頷く。


「そうですね、いい素質を持っている。歯車の…」


スーツさんの言っていることは分からないが、まあ同意は得られたようだ。


「自己紹介か、事故だけに…」


ヤクザさん…


「━…」


女子高生は俯いたままだが問題はないだろう。


自分が言ってしまったため、流れ的に俺から自己紹介するべきなのだろう。

自己紹介なんてそうそう緊張するものでもない、だが初対面の年上が多いこの場ではいくらか身が縮こまってしまう。

深く息を吸い込み気持ちを落ち着かせる。


「名前は【雑賀 遼】(さいか りょう)です。高校2年の17歳です。」


端的にしすぎた感は否めないが、自己紹介なんてこんなもので良いだろう。


「さいか? 珍しい苗字やな。漢字はどう書くんや?」


世紀末さんが掘り下げてくる。

しかしこの苗字に生まれて17年。その質問には慣れている。


「雑貨の「雑」に、賀正の「賀」でさいかです。」


何度も繰り返したこのやり取りは実にスムーズに進む。


「趣味は?」


ヤクザさんも掘り下げてくる。声が低く若干怒っているように聞こえる分性質が悪い。こういうのがドスの聞いた声ってやつなのだろうか?


「散策とか好きなんで、今日も街でブラブラしようと…」


「一人旅か!昔は俺もようやったのう、金なくなったらカツアゲとかしてなあ!」


同意を求められても困る、あと話が変わっている…のは言ったらいけないことなんだよね。うん、俺知ってる。


とりあえず苦笑いで対応しておく。


「雑賀 遼君か、じゃあ遼君だね!よろしく遼君!」


やけにフレンドリーに話しかけてくる紳士さんは仰向けのまま手を上げてきた。

怖いけど握手するしかないんだろうな…


「遼君か、俺とは一回り弱も年が違うんやな。まあ、よろしく。」


スーツさんはまともだった。ふつーだった。平々凡々。

他の人が濃過ぎることもあってか肩透かしを食らったように…


女子高生は顔を隠すように俯き、ペコリとだけ頭を下げてくれた。


「んじゃ、次は俺が自己紹介するかな。」


世紀末さんが引き継ぎ、自己紹介を始めた━


━━

世紀末さん

【高山 大】(たかやま だい) 30歳 愛称:大ちゃん(さん)

ラブホテルの従業員。

一人暮らしだが猫と暮らしている。 猫の名前は【魁皇】(かいおう)

最近は老後の心配をしているらしい。

趣味:造型 ネットゲーム 読書 オナニー

━━

ヤクザさん

【米良 雅樹】(めら まさき) 32歳 愛称:米良さん

塗装会社の社長。 シングルファーザー。

小学五年生の息子と暮らしている。

息子の友達から怖がられていることが悩みの種。

ヤクザではないとのこと。 ヤクザと友達なだけ。

趣味:喧嘩 株 悪事 あと喧嘩

━━

スーツさん

【鈴木 三郎】(すずき さぶろう) 28歳 愛称:歯車 (さん)

社蓄。しがないサラリーマン。

最近マンションの一室を購入。ローンは30年。

三郎なのに一人息子。 ちなみに父親は【直樹】(なおき)

座右の銘【歯車】

趣味:少年漫画 テニス 仕事

━━

紳士さん

【狐塚 南貴】(こづか なんき) 27歳 愛称:なんき(さん)

エリート営業マン。 ベネズエラの国籍を持つ。

友達が多いことが自慢。 どこかの国の王子様とも友達。

仕事が忙し過ぎていつも死にそう。

趣味:スポーツ 車 飲み会

━━

女子高生

【柏谷 千波】(かしわや ちなみ) 16歳 愛称:千波ちゃん

高校2年生。 女子高のテニス部。 彼氏は今は居ない。

好みの男性は年上。 どちらかというとサド。

父親はいないらしく俺と同じ母子家庭。

母親は看護師。将来の夢は母親と同じ看護師。

趣味:テニス(硬式&軟式) 読書 ショッピング

━━





━━━そして滞りなく、皆の自己紹介が終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。