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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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攻略本に初心者向けって書かれるタイプ(2)

「えっと……佐伯佳奈さん?」

「いかにも、私が佐伯佳奈でございますが………」

 朝倉くんに、このみちゃんとどうすれば会えるか聞かれた翌日、まさかまさか、このみちゃんが私の所にやってきた。。

 普通、情報屋の下に来るのは主人公、つまり朝倉くんだけのはずで、ヒロインと情報屋が絡むのは、大きな学校行事イベントくらいのはず。

 思ってもみなかったイベントが起こったので、いつもの調子が出ず、ちょっとぎこちない感じになってしまった。

「佐伯さんが、朝倉君にわたしの事を紹介してくれたって本当?」

「ええ、本当ですよ」

 このみちゃんは、おずおずと聞いてきた。

私は、どうにか取り繕って、情報屋らしい飄々とした態度で答える。

「あ……ありがとう。お蔭で、朝倉君とお喋り出来て……すごく楽しかった」

 このみちゃんは、朝倉くんとのひとときを思い出したらしく、頬をポッと染めて、恥じらう仕草をしている。

 誰がどう見たって、恋する乙女の顔である。そう思って、頭上の好感度数値を見れば、なんと84%。

 おおぅ……この娘大丈夫か。いくらなんでもチョロすぎないか。多分もう、朝倉くんと二人でお参りに行ったら、スタッフロールが流れるぞ。

「佐伯さんは……その……朝倉君と、本当に友達なだけなの?」

「友達………、まあ、友達と言えば友達ですね。どうしてそんな事を?」

 友達と言ってもいいのか。情報屋と顧客という関係で、それ以外の関係はほぼ無いから、友達とも違うような。

 とは言え、高校でそのくらいの関係があれば、友達と言えるような気もする。

「あの……、佐伯さんも、もしかしたら朝倉くんの事が好きなんじゃないかって……」

「えっ………」

 思わず、言葉に詰まる。

 正直、好きと言えば好きだ。恋愛的に。

 だけど、私は攻略対象じゃないモブ。恋愛しても無駄な事が分かっているから、情報屋ポジションに我が身を捩じ込んだ訳で。

「ふふふっ、でも、わたしに朝倉くんを紹介してくれたって事は、きっと本当に友達なだけなんだよね」

 こちらの困惑をこのみちゃんは、全く恋愛感情が無い故の困惑だと捉えたらしく、優しい笑顔で、こちらを安心させるような声色で言ってきた。

 その反応は、はっきり言って誤解なのだけど、誤解をしてくれていたほうが都合がいい。

「左様でございます、朝倉くんとはお友達。ま、あれだけ容姿が整っていらっしゃるので、格好良いなくらいは思いますがね」

 私が言い終わると、このみちゃんは安心とおかしさでうふふと笑い、手を胸の前で合わせた。

「うん、朝倉君かっこいいよね!」

 ここで満面の笑顔になったこのみちゃん、目の前の私がライバルじゃないと分かった安心感と、推しを褒められた嬉しさとで、ニッコニコである。

 そして、頭上の好感度数値が、また上がって85%。本当に大丈夫かこの娘、今は朝倉くんと会ってもいないんだぞ。

「そうだ、佐伯さん、もし良かったら連絡先を交換しない?」

「良いですよ、喜んで」

 正直、このみちゃんのステータスを調べた時に載ってたから、住所も電話番号も知ってるのだけど、そうやって得た情報は流石に使えないから、連絡先が手に入るのはありがたい。

「じゃあ、交換したし、改めてよろしくね、佐伯さん」

「こちらこそ、今後ともよしなに」

 朝倉くんと、くっつけはしないから、女の子達と仲良くなるのもアリかもしれない。

 出来ることなら、今度お茶でも………は無理か。学校から離れたら、このみちゃんも描画範囲外で消えちゃうんだろうなぁ。

「今度、お昼でもご一緒しましょうか」

「うん! 楽しみにしてるね」

 となると、交流するなら校内となるわけで、お昼にでもご一緒させていただこう。

 放課後は、朝倉くんとデートして青春してればいい。

 校内でも、あんまりこっちがベタベタしてると、朝倉くんの出番が無くなってしまうから、匙加減を間違えてはいけないけど。

************

 あの娘が、佐伯さんだったんだ。

 図書館に来て、本を見るでもなく、借りるでもなく、わたしを見つめて帰っていった、あの娘。

 あの時は、なんの用で来たのか分からなかったけど、きっと、朝倉君とわたしが会えるように、確認してたんだと思う。

 佐伯さんのおかげで、朝倉くんと仲良くなれたし、佐伯さんとも友達になれた。

 佐伯さんは、わたしのキューピット。そのキューピットとお友達だなんて、なんだか不思議で面白い。

 たしかに、ちょっと変わった人だけど、とっても親切でフレンドリーで優しい人。

 わたしを幸せにしてくれるだけじゃなくて、佐伯さん自身にも、素敵な恋が訪れますように。

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