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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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攻略本に初心者向けって書かれるタイプ(1)

「はぁ………」

 朝倉君は、今日も来ない。

 前に、わたしが図書館に居る時、たまたま本を借りにきた朝倉君と、少しお喋りをした。朝倉君はとても優しくて、話しやすい人だった。

 それからというもの、私は図書館に居る時ずっと、朝倉君がまた来るんじゃないかって期待していた。

 端的に言うと、わたしは朝倉君に恋をしてしまったのだ。

 誰にでも、こんなわたしにでも優しい、朝倉君の優しさに惹かれてしまった。

 けれど、朝倉君は今日も来ない。

 運動部で、スポーツ万能の朝倉君は、外で運動してる事が多いから、図書館に来る事は少ないのかもしれない。

 普段は来ない朝倉君が来てくれたら……、と思っていたら、昨日は普段来ない女の子が来た。

 わたしをしばらく見つめて、何を借りるでもなく帰っていった。何をしにきたんだろう、見つめてくれるのが朝倉君だったら良かったのに。

 そんな事を思っていると、ドアが開く音がした。誰だろう? またあの女の子かな? と思って、ドアの方を見ると、そこに居たのは想い続けていた朝倉君だった。

(会いに来てくれた!)と一瞬だけ思って、慌てて考えを振り切った。

 朝倉君に対する気持ちは、こっちが一方的に持っているだけだし、誰にでも優しいから、わたしにも優しいだけだ。期待したら後で辛い。

 案の定、朝倉君は司書さんの方へ向かっている。図書館を利用する用事があって来ただけらしい。

 期待しないで良かった。そう心の中で呟いて、読書に戻ろうとしたら、司書さんがなぜかこっちを指さして、朝倉君がこっちにやって来る。

「あの……、隣、いいかな」

「は、はい!」

 話かけられるとは思ってなくて、それどころか、隣に座っていいかとまで聞かれて、思わず、素っ頓狂な声が出しながら、本をバタンと閉じた。

 図書館で出していい音量じゃない。他に利用者の居ないタイミングで、本当に良かった。

「もしかして、隣は迷惑だった……?」

「いえっ、そんなことはっ!!」

 少し申し訳なさそうに言った朝倉君に、突き出した両手をバタバタさせながら、全力で否定する。

 わたしがびっくりして、大きな声を出したから、嫌がってるのかと思われたのかもしれないけど、むしろ嬉しいから、ずっと隣に居てほしい。 

「小鳥遊さん……だよね?」

「はっ……はい!」

 私の名前を知ってくれていた嬉しさと、急に話しかけられた恥ずかしさで、思わず顔が熱くなる。

 クラスも違うし、こっちから、名前を言ったことは無いのに。

「知ってくれてたんですね……名前」

 顔も耳も熱くて、心臓の鼓動も早くなり、背中には汗が流れるのが分かった。

 なんでもない言葉を出すだけでも、半ばやぶれかぶれの状態だ。

 私は必死だが、朝倉君は、ちょっと照れたような、困ったような顔をして、頭を掻いたりしている。

「実は……、この前まで、小鳥遊さんの名前は知らなかったんだ」

 歯を見せてはにかむ朝倉君。その顔が可愛らしくて、私まで笑顔になる。

「友達に教えて貰ったんだ。その友達に、小鳥遊このみさんって人が、俺と仲良くなりたいみたいだって」

「そうなんですね……。ふふっ」

 さっきまで、あんなに緊張していたのに、

彼が笑うから、私も笑顔になってしまった。

 でも、そのお友達は、どうして私が朝倉君を好きな事を知ってるんだろう。誰にも言ったこと無いんだけど。私って、そんなに分かりやすいのかな?

「あの、朝倉君って_____

***********

「あっ! もうこんな時間!」

 楽しい時間は、あっという間。気付けば、辺りは夕暮れ。オレンジ色に染まった空と、合唱を始めたカラスを見て、現実が戻ってきた。

「本当だ。小鳥遊さん、良かったら、またお喋りしない?」

「はい、是非」

 朝倉君からのお誘いに、肯定を返す。

 ちゃんとお喋りしたのは今日だけだけど、私が一方的想ってるだけじゃなくて、お友達くらいにはなれたはず。

 朝倉君が、『また』と誘ってくれたって事は、きっと向こうも友達だと認識してくれてるはず。

「それじゃあまた、明日」

 手を振りながら、先に去っていく朝倉君。明日また会えるのか、明日も会えるのかな、明日も会いたい。というより、明日も図書館に行けばいいのか。

 お喋りするだけでも嬉しいけど、『またここで』って言うのは、デートの約束のようで、余計に嬉しい。

「あ、ちょっと待って、朝倉君」

「ん? どうしたの」

 朝倉君とお喋り出来て、とっても楽しかった。そのお膳立てをしてくれたっていう、その人に感謝を伝えたい。

「私の事を、朝倉君に教えてくれたお友達って、誰ですか? お礼が言いたいんです」

 朝倉君は、親切だし、友達も多いから、きっと仲の良い男子が教えてくれたんだと思う。

 教室の隅で、男子が集まってワイワイと話している中で、わたしの話題が出て『翔太、会いに行ってやれよ』なんて話している場面が、ありありと想像できてしまう。

「ああ、それなら俺と同じクラスの佐伯佳奈さんが教えてくれたんだ。ちょっと変わった人だけど、すごく親切なんだよ」

(えっ、女の子?)

 てっきり、男の子同士の話なのかと思っていたのに、女の子の名前が出てきたから、驚いて、声が詰まってしまった。まさか、カナって名前の男の子? 朝倉君が『さん』付けしてたから女の子だよね? 

「そ、そうなんですね……。ありがとうございました」

「うん、それじゃあ、またね」

 困惑した私を見て、朝倉君も首を傾げながら、改めて去っていく。

 朝倉君とお喋り出来るなら、自分のアピールをするものだと思っていたけど、他の娘との仲を取り持ってくれるなんて、どんな人なんだろう。

 あ、ちょっと変わった人って言ってたのは、そういう事なのかな?

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