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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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鉄壁ヒロインと自動ドアヒロイン

「佐伯さん」

「あいあい、情報屋の出番ですね。何の御用で」

 ステータスオープンの能力を手に入れた翌日、早速、朝倉くんがやってきた。

 皆まで言わずとも分かる、ヒロインちゃん達の情報が欲しいのだろう?

 チート能力を手に入れた……女神様に会ってもない、アンロックされましたのお知らせも無いのに、どういう訳か、チート能力を手に入れた私に死角は無いのだ。ドンと来い。

「えっと……、藤原さんに何かプレゼントをしたいんだけど、何がいいかな」

 なんと都合のいい事か。つい昨日、仕入れたばかりの情報だ。

 教えてしんぜよう。ちょっとだけ、私のさくハイ知識を混ぜて。

「桜子ちゃんなら、和菓子がお好きなようですよ。玉泉堂の羊羹などいかがでしょう」

 玉泉堂は、この街にある和菓子屋だ。ガールズサイド作品でも、たびたび名前が出てくる店で、天保創業のたいそう名店らしい。

 どこにあるのか知らないけど、この世界の人なら知ってるはず。

「和菓子……、そうなんだ……和菓子か………」

 朝倉くんは、意外の感に打たれた様子である。まあ、お嬢様と言えばケーキにお紅茶ってイメージはあるし、私も昨日知ったばかりだ。

「なんですか、良いとこのお嬢さんだから、洋菓子ばかり食べてると思ってました?」

「うっ……、正直、思ってた」

 私の問いに、朝倉くんは申し訳なさそうにしながら、目線を逸らした。

 他人に対して、間違った偏見を持つというのは、あまり良くない事だし、意中の女性相手となれば尚更だろう。

「まあ、私もそうでしたけどね」

 朝倉くんが、あんまりシュンとしているものだから場を和ませたく、冗談を言うトーンで、思いっきりドヤ顔をして、腕組みまでしながら言ってみせる。

 朝倉くんは、申し訳なさそうな態度をやめ、唖然としながら目をパチクリとさせている。

 多分、心の中では盛大にズッコケている事だろう。

「佐伯さんも、知らなかったんじゃん……」

「みんなが知らない事を、調べてお伝えする。それが情報屋という物です、最初から、何もかも知っている訳ではございませんよ」

 本当は、チート能力で知ったのだけど、能力で知ったのだって調べたと言えなくもない。だから一応、嘘は言ってない。

「そ……それもそうか。ま、まあいいや、藤原さんの好きなものが分かったし、買ってみるよ。ありがとう」

「どういたしまして、それでは健闘を祈ります」

 私が言い終われば、朝倉くんは去っていくものだろうと思っていたら、その気配が無い。

 顔を見ると、何か言いたげにしている。これは、こっちから聞いてあげるべきだろう。

「まだ、何か御用が?」

「うん……、その……他の人の情報も欲しいんだけど」

「ほほう、モテる男は違いますねぇ。して、具体的にはどなたの情報を?」

 敢えて、からかうような口調で聞いてみる。

 すると朝倉くんは、急に顔を赤くして慌てだした。今までだって恋バナをしてたのに、何を慌てているのやら。振る舞いは真面目主人公という所か。

「も……モテるとかそういう話じゃなくて、文芸部の小鳥遊さんとお喋りしたいなって思ってさ」

 小鳥遊このみ。ヒロイン候補の中で、朝倉くんに対する好感度が、一番高い女の子だ。

 攻略を狙われてた訳でもないのに、たまたま話かけられて、朝倉くんに惚れちゃったスーパーチョロインである。

 そして、朝倉くんとしては平等に接した内の一人なので、彼はこのみちゃんの事が記憶にない。顔も分からない。

「その……、僕の事が好きだって言うなら、お喋りくらいはしてあげたいなって」

 ふむふむ、要するに好意を向けられているのに、何も返さないのは良くないと、そういう事らしい。

 私としては正直、難攻不落の藤原桜子に挑む姿の方が面白いけど、情報を求められたら出し惜しみする理由は無い。

「分かりました、お教えしましょう。小鳥遊このみさんは、緑の髪を三つ編みにして眼鏡をかけた、小柄で物静かな子です。休み時間や放課後に、図書館に行けば会えるでしょう。もし不安なら、司書さんに尋ねてみてはどうでしょう」

「緑の髪……分かった、行ってみるよ。ありがとう、佐伯さん」

「いえいえ、好きでやっている事ですから。お喋りしてあげたら、小鳥遊さんもきっと喜びますよ……あ、くれぐれも距離感だけは間違えないように」

 朝倉くんは、主人公らしく善人で見目も良いが、距離感だけはおかしい。

 別段仲良くもない桜子ちゃんに、一緒に帰ろうと言って、当然のようにソデにされたあたり、その辺の勘所は鈍いように見えるから、一応、釘を刺しておこう。

「う……、分かった、気をつけるよ。ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」

 今度こそ、朝倉くんは去っていく。あの反応を見るに、桜子ちゃんに対する距離感を誤っていた事は、反省したらしい。

 まあ、このみちゃんに関しては、多少グイグイ行くほうが良いかもしれないけど、そうアドバイスしたら、朝倉くんは暴走しそうな気がするから、言わないでおこう。

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