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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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夏の納涼バトルイベント(2)

 その瞬間、私は全てを理解した。

 あ、これ、バトルイベントじゃん。

 主人公が居て、ヒロインが居て、そこに敵キャラが出てきたのなら、バトルイベントじゃん。

 そう理解したら、怖がる必要は無い。でも、ミキちゃんと桜子ちゃんに、それを説明する訳にもいかない。

 説明出来れば、怖がる2人を落ち着かせられるかもしれないけど、出来ないのが心苦しい。

『恨めしや………、憎らしや……、眠りを妨げる者共、討ち取ってくれようぞ………」

 おお、生うらめしやだ。生幽霊の生うらめしやだ。あれ、幽霊が生? 死んでるから生はおかしいかな、どうでもいいか。 

 私達は逃げた方がいいかな。いや、男子2人が格好良くオバケを倒す所を女の子に見せなきゃ、バトルイベントの意味が無い。ここは、踏みとどまらないといけない。

「なんだテメェ! 成仏も出来ねえ優柔不断野郎がよ!」

 亡霊武者に対して、啖呵を切るヤンキー。よく考えなくてもおかしいけど、女子2人はちょっと安心したっぽい。

「俺達が、あなたに恨まれる謂れはありません。どうか、お帰りください!」

 朝倉くんは、対話で除霊しようとしてる。でも、これはバトルイベントだから、戦わないと終わらないよ。

『恨めしや………』

 亡霊武者が、刀を抜く。その刀身は鉄じゃなくて、メラメラとした妖気的な何かで出来てる。ギャルゲーのイベントとはいえ、真剣で斬りかかられたら危ないんじゃないかと思ってたから、少し安心した。

『ヌゥン!』

 亡霊武者が、袈裟懸けに斬りかかってくる。2人は、飛び退いて避けた。

 あれ、朝倉くんがいつの間にか、野球部のユニフォームになってるし、バットまで持ってる。

 時々あるんだよな、この世界。無いはずの物が突然現れたりする、ゲームの世界のご都合ムーブ。

 後藤ケンジロウはムエタイ衣装になってないあたり、主人公の特権なのかもしれない。

「てやぁ!」

 朝倉くんは、何故か出てきた硬式ボールを、ノックの要領で亡霊武者に打ちこむ。

『グッ……』

 金属バットの高音の後、胴に当たって鈍い音がしたけど、亡霊武者にはほとんど効いてない様子。

「シィッ!!」

 そこに追撃、後藤ケンジロウのハイキック。当たったかと思ったら、亡霊武者の兜が、中の骸骨もろとも飛び上がり、フワフワと浮かび上がる。

『恨めしい……』

 亡霊の頭だし、飛んでも不思議ではないけれど、ちょっとホラー味が強すぎない? やっぱりこの時代のTONAMie、めちゃくちゃ尖ってたんだなぁ。

「せいっ!」

 ちょっと朝倉くん、空中の頭に向けて打球を打ち込まないで。気持ちは分かるけど、ホラーが一気に筋肉番付になったじゃん。

『グワッ!』

 そんでアンタも食らわないで。もうちょっとこうさ、ヒラリと避けるとか、実体が無いからすり抜けるとか、あるでしょうよ。

「オラァ!」

 後藤くんも、落ちてきた頭をシュートしないの、サッカーボールじゃないの。そもそもアナタ、ムエタイ選手でしょうが。

『グワアアアァァ!!』

 亡霊さんも、普通に効かないでもらえます? 負けるにしても、亡霊らしい、格好の付いた負け方してください。 

 亡霊武者は、朝倉くんと後藤ケンジロウの攻撃を受けて、黒い煙になって消えた。その消え方は解釈一致ですけども。

「佐伯さん、大丈夫!?」

 普通の服装に戻った朝倉くんが、駆け寄ってくる。

 最初に私? と思ったけど、最初に襲われた(?)のは私だから、心配されるのは当然っちゃ当然か。

「おかげさまで、なんともございません。それよりお二人は、お怪我などはございませんか?」

「俺は大丈夫。後藤くんは?」

「なんともねえよ、心配してくれてありがとな」

 バトルイベントは、これで終わりかな。

 てことは桜子ちゃんの好感度数値は………、54%。ギリギリ恋愛感情を持つか持たないか、というレベルか。結構上がったな。

 これなら、卒業式までになんとか間に合うかも。間に合ってくれるといいな。

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