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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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I wish them a merry Christmas

 冬になった。桜子ちゃんの好感度数値は61%で、数値的には悪くないけど、エンディングを迎えられるほど高くはない。

 出来れば卒業式までに、80%くらい欲しいのだけれど、ちょっと難しいかもしれない。

 秋にはコレといった、好感度を上げる学校行事は無い。学校行事として体育祭はあるけど、あれはプレイヤーにミニゲームを楽しんでもらうイベントで、女の子達と交流する要素はほぼ無い。

 残るは、クリスマスくらい。

 バレンタインは、もう好かれてる女の子から、チョコが貰えるイベント。何のためのイベントかと聞かれたら、好感度確認のイベント。プレイヤーは、私みたいに数値で見える訳じゃないからね。

 という訳で、クリスマスに決着させるつもりで、好感度を上げなきゃならない。最低でも70%、冬休みや正月イベントとかを加味しても、それくらいは欲しい所。

********

 は〜〜〜〜………、なんでそうなるかなぁ。

 朝倉くんは当然、クリスマスには桜子ちゃんを誘うだろうと思ってたら、『佐伯さん、クリスマスの日に、調査をお願いしてもいいかな』だもの。

 こんな時に調査してどうすんの。ここが本番であって、準備はその前に済ませておくべきでしょうが。

 いや、断れない私も悪いよ? でもオッケーした段階では、何か策を講じて、デート相手をすり替えてやろうと思ってたんだよ。

 後から、直接桜子ちゃんを誘わせた方が早いって気付いて、自分のバカさに呆れちゃった。

 まあ、策は講じますけどもね。

 朝倉くんには、桜子ちゃんを落としてもらわなきゃ困る。ここから、他のヒロインが攻略対象から外れないとも限らないし。

********

 クリスマスの当日。

 結構、早く駅前に着いてしまった。

 朝倉くんは、どうせ時間ピッタリにしか来ないのに、早く来てしまった。

 ゲーム世界でも、冬は普通に寒いんだから、私も時間ピッタリで良かったじゃん。

 協力を頼んでる、ミキちゃんと桜子ちゃんに連絡するにしても、こんなに早く来なくたって良かった。

 早く来て良かった事なんて、フリフリドレス姿でデートする、さやマヤカップルを見れた事くらい。

 暖かそうだったなあ、下ろしたての毛布みたいな、フワフワドレス。私ももうちょっと、暖かいの着てくれば良かった。

カーン……カーン……カーン……

 やっと鳴った時報の鐘。いや、私が勝手に早く来ただけなんだけど、なんでか不満が湧いてくる。

「ごめん、待たせちゃったかな」

「私が早く来すぎただけ……ですが、こういう時は、男性が早く来るものでございますよ」

「ごめんごめん、次は早く来るから」

 うむ、次からは是非そうしてくれ。私にじゃなくて、桜子ちゃんにだけど。

「それじゃあ、行こうか」

「はい、お伴いたします」

 クリスマスだけあって、街はどこもかしこもカップルだらけ。

 街路樹には電飾が巻き付けられてるし、そこかしこから小田和正とかマライアキャリーの歌声が聴こえてくる。

 ショーウインドウには、サンタさんやトナカイの人形。チラシ配りや、客引きのサンドイッチマンまでサンタ帽を被ってる。

 本当、なんでこんな日に調査依頼なんかしたのよ。

 普通に桜子ちゃんを誘って、普通にデートしたら良かったじゃん。今の好感度なら、断られたりしないでしょうよ。

「クリスマスの町って、なんかいいよね。みんな幸せそうで、見てるとこっちまで幸せな気持ちになるね」

「そうですね、情報屋としても、幸せそうな人は大好物です」

 願うならば、このカップルの群れに、朝倉くんとヒロインちゃんも加わってほしい。


 渋い喫茶店でお茶をして、冷えた身体を温めた。

 朝倉くんもなんだかんだ、気が利くようになってきたみたい。

 イケメンで優しくて、その上そこそこ気が利く朝倉くんでも、桜子ちゃんを攻略するのは難しいんだから、この世界は理不尽だ。

「そろそろ行こうか」

「そうですね。行きましょう」

 この後のデートプランもあるんだろうけど、それは実行されない。

 店を出た所で、偶然を装ったミキちゃんに捕まって、私は無理矢理連れて行かれる。

 更に偶然、桜子ちゃんが通りかかって、この後予定が無いのなら、一緒に行きましょうと誘う。

 という、三文芝居を演じる手筈になっている。

カランカラン………

 ベル付きドアを押して、表に出ると__

「あ、佐伯先輩!」

 予定通り、ミキちゃんがやってきた。


「いーやーでーすーーー!!! 佐伯先輩は、ボクとデートするんですーーー!!!」

 散々に駄々をこねまくってもらって、元々の予定を崩してでも、マヤちゃんとデートしてきゃならない状況を作らせる。

 マヤちゃん、結構演技派だ。

 三文芝居になるかと思ったら、そこそこ形になってる。結構才能あるんじゃない? 卒業したら、女優さんになってもいいんじゃない?

 そこに『偶然』現れる、桜子ちゃん。

「あ、朝倉君。ふふふ、デート相手を取られちゃったなら、私と行く?」

 桜子ちゃんも、お芝居上手いな。

 ギャルゲー世界の標準装備なのか、たまたま才能のある2人なのか、とにかくやるじゃないの。

「も……申し訳ありません。こういう状況でございますから、私はここでお暇させていただきます」

 私も結構、お芝居上手いと思うんですけど、そもそも『情報屋佐伯佳奈』の時点でガッツリ演技してるから、慣れてるっちゃ慣れてるけども。 

「うん、いってらっしゃい」

「佐伯さん、朝倉君を取っちゃってゴメンね」

「いいえー___

 マヤちゃんに引っ張られて、朝倉くんから見えない所までやってきた。

「先輩。ボク、上手く出来てましたか?」

「ええ、それはもう。ミキさんは、女優の才能がありますよ」

「ありがとうございます。それじゃ、これからお礼に付き合ってもらいますね」

 ミキちゃんは、私の手を引いて、浮かれる街に連れ出した。

 桜子ちゃんも朝倉くんも、上手くやってくれよ。私が出来る事は、多分もうないから。 

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