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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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39/42

夏の納涼バトルイベント(1)

 3年の夏休み。

 ゲーム攻略的に考えたら、最後の長期休みにして、好感度アップの大チャンス。

 1、2年の時は、放っといてもチョロインの好感度が上がってたから、積極的に介入しなかったんだよなぁ。………ヒロインちゃんと遊ぶのが楽しくて、そっちに手が回らなかったとも言う。

 という訳で、好感度がようやく50%に乗った桜子ちゃんと、朝倉くんのデートを尾行している訳だけど、これがなかなか大変。

 いや、尾行自体は大変じゃない、こっちは一人だし、気配を殺して物陰に隠れるのは得意だから。

 じゃあ何が大変なのかと言うと、ここが心霊スポット・旧清桜トンネルだって事。

 ここには色々噂があって、戦時中、ここに逃げ込んだ人達が悲惨な最期に遂げたとか、肝試しに入った若者が、神隠しにあったとか。

 まあ、ほぼデマなんだけど。そもそも、戦後に出来たトンネルだし、古びてはいるけどまだ現役で、農家の軽トラくらいは通るし。

 でも、不気味は不気味。放置されてサビサビになった車があったり、いかにも『出そう』 隠れやすくてありがたくはあるけど、嫌な感じはする。

 というか肝試しって、もっと大人数でワイワイやるもんじゃない? 少なくとも、男女2人で来るもんではない。あの喫茶店を選んだセンスはどこ行ったんだ朝倉くん。

 ほら、2人とも黙っちゃってるじゃん、来るにしても、もっと関係性を深めてからにしなよ。

カツーン……カツーン……

 ん? トンネルの向こうから、誰かが歩いてくる音が響いてくる。

 この世界の事だから、ヒロインちゃんかな。いや、ゲーム世界だから、普通に怪異もあり得ちゃうな。

 カツーン……トット……カツーン……

 2人? 向こうも2人か。ヒロイン2人かな、後藤兄妹かもしれない。とにかく、怪異じゃなければなんでもいい。

「あっ」

「おう」

 出た、後藤兄妹だ。朝倉くんに気付いて、手をあげて挨拶してる兄・ケンジロウと、その背中にしがみついてる妹・ミキちゃん。

 桜子ちゃんは、2人の事を知らない。朝倉くんに、誰なんだと言わんばかりの視線を投げかけてる。

「俺の友達の後藤ケンジロウ君と、その妹のミキちゃん。清桜の後輩だよ」

「2年B組の後藤ミキって言います」

 ミキちゃん、挨拶するならケンジロウから離れろよ。まあ、怖いもの見たさで心霊スポットに行きたい、でも怖いからお兄ちゃんを連れてきた、というのが丸分かりで可愛らしいけど。

「藤原桜子です。朝倉君とは、クラスメイトなの」

「と……という事は! 佐伯先輩ともお知り合いですか!?」

「え……ええ、そうだけど」

 トンネルの中でミキちゃんが騒いだもんだから、音が反響しまくって、ちょっと耳に来る。

 桜子ちゃんも、若干引き気味。ミキちゃん本人に対して、嫌悪感を持っている感じではないけど、音圧とテンションにやられたっぽい。

 ともあれ、人数が増えた分賑やかになって、空気はかなり良くなった。

 これで、楽しいデートになって、好感度も上がればいいんだけどな。残念ながら、吊り橋効果は期待出来なくなったけども。


 ぬるっ………


「っっっ!!!!」

 首の後ろに、何か冷たい物が当たって、思わず叫び声をあげそうになったけど、なんとか堪える。

 これはアレだ。天井からイモリが落ちてきたとか、そういうやつだ。きっとそうだ。

 その証拠に、首筋を触れば………アレ、何も無い。濡れてすらいない。

 え、じゃあ何? 後ろからは音もしなかったし、人のイタズラではないはず。

 とりあえず、見て確かめ…………………

「ギャァァァァーーーーー!!!」

 青い人魂が、いくつもゆらゆらと浮かんでいるのを見て、恐怖のあまり絶叫した。

 現れるなら、向こうに現れてよ。わざわざ隠れてるモブ娘を狙わないでよ、マジでなんなの。 

「何!」とか「誰!?」とか、向こうの4人が驚愕してる。

 大声出したし、車の陰から出しちゃったし、完全にバレた。いや、それどころじゃない、目の前に幽霊が居るんだよ、助けて。

「あ……アレ!」

 人魂の方を指差して、助けを乞う。

「イヤーーーーッ!!!」

 真っ先に反応したのは、マヤちゃん。ケンジロウに抱きついて、絶叫してる。

 『出た』んだから、そりゃ驚く。残り3人もそうかと思ったら、朝倉くんも後藤ケンジロウは臨戦態勢。マヤちゃんを引っ剥がしてから、女子2人を後ろに庇って、身構えてる。

「佐伯さん! こっち来て!」

 朝倉くんに呼ばれて、慌てて男子2人の後ろに隠れる。

 人魂達は、一箇所に集まって、大きくなる。しばらく待ってると、青白い火球は、骸骨武者に変わった。

 赤い鎧を纏った、戦国武者の亡霊。

 そうとしか表現しようの無い存在が、私達の目の前に立っていた。

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