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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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自認ではデートではない

 日曜日、朝倉くんに頼まれた作戦会議の日。

 学校以外で、主人公とサシで会うのは初めてで、意外と緊張する。

 外で会うだけなら、バトルイベントもあったし、マヤちゃんの家でお茶会もしたから、外で会う事自体は初めてじゃない。でも、主人公の意識はヒロインに向くのが普通だから、モブの私はモブで居られて気楽だった。

 外で、サシで、映画館に行くなんて、まるでデートじゃないか。

 うーん、私に構ってないで、桜子ちゃんを誘えと言うべきだったかな。

 とはいえ、あのままじゃ攻略法も思いつかなかっただろうし……悩ましい。

カーン……カーン……カーン……

 お、時報の鐘、という事は………。

「佐伯さん、ごめん待った?」

「いえ、私も今来たところですので」

 やっぱり、待ち合わせに時間ピッタリに来た。

 現実世界なら、女の子を持たせちゃダメと説教の一つでもする所だけど、朝倉くんはゲームの主人公として、このタイミングでしか来られないんだから仕方ない。

「上映時間まで少しあるし、腹ごしらえでもしようか。何か食べたいのある?」

「お任せいたします。人気者の朝倉くんの方が、きっと飲食店にはお詳しい事でしょう」

「人気者の佐伯さんに人気者って言われると、なんか照れちゃうね」

 朝倉くんは、苦笑いのような照れ笑いのような顔をしていた。

 人気者、かあ。そんな事無いと言いたい所だけど、私に惚れたヒロインが、攻略対象から外れる事態を起こしておいて、否定するのは憚られるな。

「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないですか、情報屋冥利に尽きますよ」

 朝倉くんは、さわやかにはにかんで笑うと、店内が飴色に輝く、オーセンティックな喫茶店に案内してくれた。

 ロマンスグレーで口髭のマスター、カウンター上にはサイフォン、本棚にはドカベンとゴルゴ13と鬼平犯科帳。ギャルゲーらしからぬ激渋カフェ、カフェというより喫茶って呼び方が似合う店だ。

 桜子ちゃんを連れてくるなら、コメット珈琲みたいな店より、こういう店の方が合ってるだろうな。朝倉くん、なかなか分かってるじゃないの。

「佐伯さん、サンドイッチでいいかな? ここのサンドイッチ、美味しいんだよ」

「ええ、それで構いません」

 まあ、軽食と言ったらそのくらいか。ナポリタンとかオムライスとか頼まれても困るし、何よりシェア出来るのが良い

 私がヒロインなら『あーん』とかしてあげたんだろうなぁ。はいはい、モブにそんな真似は出来ませんよ。

 映画は、ロマンチックな恋愛物。王女様と一般庶民の恋、相手が王女だとは思ってない男の、粗暴だけど男らしい姿にだんだん惹かれていく王女様という、ローマの休日的なアレ。

 デートで観るなら、まさにこういうのって映画だ。女の子なら全員好きなやつ、もちろん私も桜子ちゃんも。

 ちょっと夢中になりすぎて、下見で来てる事を忘れかけたくらい。

********

「今日は、どうだったかな。楽しかった?」

「はい、とても楽しかったですよ。きっと藤原さんも、楽しんでくださるでしょう」

 朝倉くんの顔が、ぱっと明るくなった。

 朝倉くん、やっぱり桜子ちゃんが好きなんだな、次のデートを想像して、嬉しくなったんだろうなりその笑顔に、信頼する情報屋にお墨付き貰えたって要素も入ってたらいいな。

「良かった……、もしよかったら、時々付き合ってくれるかな」

「はい、もちろん。ただし、あくまで時々ですからね。私にばかり、構っていてはいけませんよ」

「うん、分かった。時々、ね」

 朝倉くん、ちゃんと桜子ちゃんを落とすんだぞ。私に構ってる暇は無いし、卒業までの時間もそんなに無いんだから。

「それでは、私はこれで失礼いたします。ご武運、お祈りしておりますよ」

 朝倉くんに一礼して、その場を去る。

 私は桜子ちゃん攻略法を思いつかなかったけど、朝倉は何かを掴んでるといいな。頑張ってくれよ、主人公。


「相変わらず釣れないなあ、佐伯さん……」

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