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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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それぞれの苦悩

「佐伯さん、どうかした?」

「なんでもございません………」

 いつもの屋上、私、このみちゃん、ミキちゃんの三人でお昼ご飯。

 私は今、マヤちゃんの件で頭を抱えている。

 だから、なんでもない訳が無く、めちゃくちゃありますという気持ちを押し隠しながらも、なんでもないと答えた。

 マヤちゃんが、攻略対象から外れちゃったそもそもの原因は、後藤ケンジロウとのバトルイベントに、さやかちゃんを介入させた、私のせいだ。

 そのイベントで、凶悪なヤンキーを格好良く成敗したさやかちゃんの姿に、マヤちゃんは惚れちゃったんだから。

 それが無ければ、百合デートイベントは起こらなかったし、ロリィタショップに入る事は無く、指輪を贈られる事も無かった。

 幸い、さやかちゃんの好感度数値は消えず、相変わらずの100%だけども、マヤちゃんと完全にくっつく事になったら、さやかちゃんの好感度表示も消えちゃうかもしれない。

 さくハイはハーレム物じゃないにせよ、選択肢が減るのは良くない。

 まだ朝倉くんと出会ってないヒロインはたくさん居るけど、2年生の9月から攻略を始めるのは、結構しんどい。というか、しんどかった、少なくとも、私がプレイした、さくハイガールズサイドでは。

 そういう状況だから、私もヒロインと仲良くしていいのか、いや、多分交流しないほうが良い気がしてくる。

 特にミキちゃん。私の事を尊敬するあまり、朝倉くんへの好感度が上がりにくいというのは、さやかちゃんが好きすぎて、攻略対象から外れちゃったマヤちゃんと似てる。

 そんなミキちゃんと仲良くして、攻略対象から外れた日には、私はもうどんな顔をしたらいいのか、分かったもんじゃない。

「佐伯先輩、大丈夫ですか? もしかして、具合悪いんですか?」

 ミキちゃんが、こっちに身を乗り出して心配そうな目を向けている。

「いえ、なんともございません。少々思案せねばならない事が詰まってはおりますが、こちらの事でございますから、どうぞご心配なさらず」

 でも、こんなに慕ってくれる後輩を、これからは邪険に扱うのは、ミキちゃんが可哀想だし、私もつらい。

 だからと言って、攻略対象を減らして良いのかと言われると、それは絶対ダメ。ギャルゲー世界でやっていいことではない。

 結局私は、どうしようもないジレンマの中で、悶々とする事しかできない。

********

「ね、小鳥遊さん」

「橘さん? どうしたの」

 部活を終わらせて、部室から出ようとしたら、橘さんがやってきた。

 橘さんが、文芸部の部室に来るなんて、これが初めてだよね? なにか、悪い事が起こったとか、無いよね?

「最近さ、佐伯さんの様子、変だと思わない?」

 橘さんも気づいてたんだ。

 確かに、佐伯さんは最近ちょっと変。なんか、避けられてる感じがするし、ミキちゃんが遊びに誘っても、乗り気じゃない態度を取られるって言ってた。

「どうしよう……、もしかして、私たち、佐伯さんに迷惑かけてたのかな」

「いや、そんな事はないと思うよ。だって、あの佐伯さんだよ? 迷惑なら迷惑ってハッキリ言うよ」

「いいえ! 佐伯先輩は、あの兄を改心させた御方です! バランス感覚は人一倍、きっと、何かを隠しているんです!」

 わたし達が話していると、文芸部の後輩で、佐伯さんとも仲が良いミキちゃんも話に入ってきた。

 先輩を尊敬するのは良い事だけど、最近ちょっと行き過ぎてる気がする。でも、佐伯さんは喜んでるみたいだったし、それが原因じゃなさそうだよね。

「確かに、それもそうだね。佐伯さんが隠してる事……か………」

 橘さんが、急に暗い顔をし始めた。

 橘さんが思い当たった事、もしかしたら、わたしと同じ事かも。

 佐伯さんは、わたし達の事は応援してくれるけど、自分の事は後回し。自分は幸せにならなくていいとか、そこまで思ってそうな振る舞いまでする。

 そんな佐伯さんが、わたし達を避ける理由ってなんだろう。

 もう、自分の助けは必要無いから、一緒に居る必要は無いって思ってる?

 そういえば、わたし、佐伯さんの事何も知らない。好き嫌いも、佐伯さんの事は、人の恋愛を手助けするのが好きって事以外、何も知らない。

 唯一知ってるそんな趣味も、本当の話なのかも知らない。

 みんな、同じ考えに行き着いたみたいで、部室の中の空気が重くなる。

 佐伯さんの隠し事。情報屋としての秘密じゃない、佐伯さんの個人的な秘密。

 その秘密を、無闇に聞いたり、勝手に踏み込んだりしたら、ますます避けられそう。 

 なら、どうしたらいいんだろう。せっかく出来た友達を、失いたくないのに。

 嫌な沈黙の中、二人と目があった。

 佐伯さんを元気付けるための方法、みんな同じことを考えたみたいで、無言で頷きあった。

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