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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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百合の花の咲く頃

 後藤兄妹を見送って、調査を再開。

 当初の目的地、駅前に足を進める。

 何回も待ち合わせに使った駅前だし、ヒロインを連れ回した事もあるけど、まだまだ知らない店だらけ。

 昔ながらの店は、市民全員、どういう店なのか知ってる前提で、屋号さえ掲げて無かったりする。私みたいな新参者からすると、何のお店だが、分かったもんじゃない。

 だからと言って、新進気鋭の店が分かりやすいかと言うと、そういう訳でもなかったり。

 外観に凝りすぎて、もはやなんの店だか分かんないとか、半分、仲間内で集まるための場所として作られてて、部外者が来づらいようにしてあるだとか。

 いっそ、例のロリィタショップくらい、一目で分かるようにしといてくれれば楽なんだけどね。

 なんて思ってる間に、駅前に着いてしまった。

 目に入るのは、やっぱりロリィタショップ。白とピンクの分かりやすい外観が、却って落ち着く。みんなこのくらい分かりやすくしてくれれば、調べる手間が省けるのにな。

 お? 店内に居るのは、さやかちゃんだ。

 空手家でありながら、カワイイ物が大好き、でも、そんな自分を隠してた。そのさやかちゃんに、私とこのみちゃんが、半ば無理矢理ロリィタを着せて、その辺のアレコレを吹っ切らせた。

 それ以来、さやかちゃんは、定期的にこのお店に行ってるみたい。

 というか、朝倉くんとのデートの度に、通学鞄にファンシーなチャームとかが増えてるあたり、結構な頻度で通ってるのが伺える。

 声をかけようかな? 邪魔するのも悪いような気もする。ま、折角出会ったんだから、ステータスくらいは見とくか。

(ステータスオープン!)

 さやかちゃんの情報が、最新のものに更新される。

 カワイイ物好きを隠してるって所が、隠してたって過去形になってる。

 いいじゃないの、素直になるって良い事だ。なんて思ってたら、何故かマヤちゃんの情報も更新されていた。 

 あれ、もしかして一緒に居るの? マヤちゃんは、さやかちゃんLOVEだから、女の子同士でデートに来てるのかな。

 にしては、外からだとマヤちゃんの姿は見当たらない。商品の回転が早い服屋ならともかく、こういう店だと生地の日焼けを嫌って、窓が小さいから、シンプル見えないだけかな。

 ちょっと、それとなしに通り過ぎるフリしながら、近づいて……とするまでもなかった。

 だって、更衣室のカーテンが開いて、フリフリドレスのマヤちゃんが出てきたから。

 さやかちゃん、や……やりやがった………。マヤちゃんにロリィタを着せやがった……。マヤちゃんは、ロリ扱いが苦手だから、こういう服は着たがらないはずなのに。

 さやかちゃんは、マヤちゃん本人そのものをカワイイ物として認識してるし、そのカワイイにカワイイ着せたら最強! みたいな発想になったんだろうな。

 で、さやかちゃんLOVEなマヤちゃんは、言われるがままに着ちゃったと。まあそんな感じでしょうよ。

 しかし、ロリィタ姿のマヤちゃん、めちゃくちゃカワイイな。初見時に思った通り、1/1スケールのフランス人形だ。このまま、ギャラリーに飾れるレベル。

 あんまりカワイイから、めちゃくちゃ凝視してたら、さやかちゃんがこっちに気づいた。流石は空手家のカン、いや、これだけガン見してたら普通気づくか。 

 さやかちゃんは、笑顔で手招きしている。このタイミングで招かれたら、入るしかないよね。マヤちゃんは、恥ずかしがるかもしれないけど、これは不可抗力だから、私は何も悪くない。


「いらっしゃいませ〜」

 という店員さんのきゅるるんボイスを食らいながら、店内へと入る。

 ロリィタを着慣れた店員さんに、ロリィタに着慣れないはずなのに、やたら似合ってるマヤちゃん。

 うーむ、やはり持つ者は強いな。私みたいな持たざる者では、逆立ちしたってこうはならない。

「佐伯さん、これとかさ、マヤさんに似合うと思わない?」

 挨拶も省略して、さやかちゃんがデッカイ宝石(風のアクリル)がついた指輪を見せてくる。

 私を呼んだのは、マヤちゃんを飾る相談をしたかったのね。

「マヤさんになら、なんだって似合うでしょうけども、実際に付けてみた方が早いでしょう。店員さん、構いませんか?」

 確認を取ると、店員さんは「もちろんです〜」と、ワントーン上がったきゅるるんボイスで返事をした。店員さん、完全に買ってくれると思ってるよねこれ。

 さやかちゃん、アナタこの店で相当散財したね? 店員さんの反応、完全に上客に接する時のそれよ?

「あれ、人差し指に入らない。すいません、他のサイズは無いですか」

 小柄なマヤちゃんの指に入らないって、どういうサイズなの、もしかして、子供用のアクセサリー?

「すいませ〜ん、そのカラーはそのサイズだけなんです〜」

 うーん、だったら他の色でもいいんじゃないかな。変わるのは、石(アクリル)の色だけだし___

「あっ、薬指なら入るよ」

 さやかちゃん? 何してんのさやかちゃん!? 薬指、よりによって左手の薬指!?

 さやかちゃんも女の子。なら、その意味を知らない訳じゃないでしょ!?

 マヤちゃんだって、店員さんだって、知らない訳が無いでしょ!?

 マヤちゃん、頬を赤く染めてないで、ツッコミをしなさいよ。眼をキラキラさせて、嬉しそうに微笑んでる場合じゃないの。

 店員さんも「あらあら」じゃないの。きゅるるんボイスで「あらあら」じゃないの。こういう時に、大人が言ってくれないと困るの。

「あ……あの、橘さん? その……薬指の指輪は………」

 ツッコミをするべきか、しないべきか。

 状況的にはするべきだけど、マヤちゃんの表情を見るとしない方が良い気がしてくる。

 この尊い空間に、半モブが入れる隙間は無いんじゃないか。

「うーん、他の色の方がいいかな?」

「これで……構いません。いえ、これがいいです……」

 マヤちゃんは、左の薬指に光る指輪を、愛おしそうに見つめながらそう言った。

 それと同時に、消滅する頭上の好感度表示。

 あ、今完全に、主人公・朝倉翔太がマヤちゃんの恋愛対象から消えたんだと、私は妙に冷静な頭で理解した。

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