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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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【幕間】ネームドの左目、モブの右目

「佐伯さん、髪型変えた?」

 朝倉くんが、いつものように話しかけてきたかと思ったら、不意にそんな事を言ってきた。

 いや、変えるも何も、変えようが無いんですけど。

 私の髪型は、どうやっても変わらない。目隠れモブのおかっぱ頭から、どんなに変えようとしても、この世界が許してくれない。

 切っても、留めても、硬めても、数分で元通り。だから変えようがない。

「いえ、何も変えておりませんよ」

「そうなんだ……」

 朝倉くんは、明らかに納得してない顔の声色で呟いた。

 何が納得出来ないんだろう。変えようがない髪型が、変わるはずが無いのに。

「なんですか、その腑に落ちないという顔は」

 問われた朝倉くんは、言おうか言うまいか、少し悩んだ様子を見せてから、言葉を選びながら話し始めた。

「いやさ……、前は佐伯さんの目が、髪で隠れて見えなかったんだけど、今は見えてるから、髪型を変えたのかなって思んだ」

「左様ですか。ま、私としては、何も変えておりませんので」

 何も変えてないのに、変えられもしないのに、髪型が変わったように見える?

 なんだろう、朝倉くんの、私に対する感情の変化的な? 心持ちが変わったから、見え方が変わった的な。

 いや、もしかしたら実際変わってるのか? この世界が、私を情報屋キャラとして認め始めたから、モブ要素が減ったとか。

 ああ、今ものすごく、鏡が見たい。

 モブ娘の私は髪型も変わらないし、お化粧しても意味ないから、鏡を見る習慣が無くなっちゃったんだよね。

「そうかぁ……、変な事聞いてゴメン」

「いえいえ、お気になさらず。あ、そうそう、相手によっては失礼になりますので、その点だけはお気をつけて」

「佐伯さんには、敵わないなあ」

 朝倉くんは、照れ笑いのような苦笑いのような表情で、自分の席に戻っていった。

 気になる、自分の髪がどうなってるのか、ものすごく気になる。

 確認したいけど、今ここでお手洗いに走って鏡を確認するのは、情報屋・佐伯佳奈のキャラが崩れるような気がする。

 何事にも動じない、飄々として、的確に情報をくれる、そういうキャラで居なければ。……ヒロインちゃん達に振り回されて、既にキャラ崩壊してる気がしないでもないけども。 

 確認するのは、家に帰ってからにしよう。

********

「お……おお………?」

 見える、確かに左目が見える。すだれ越しって感じだけど、確かに見える。今まで、両目とも完全に隠れていたのに、目が視認出来るようになってる。

 視界は前と同じ、というか前から障害物を全く感じないレベルで、クリアな視界が確保されていた。

 そういう、この世界が『お前はモブだ』と私に突きつけるためだけに存在した前髪に、どういう訳か隙間が出来ている。

 その隙間を、無理矢理閉じてみる。この前髪を取り払うために買ったアレコレで、隙間を閉じてみると、数分で元通り。挙動自体は前と変わらないけど、今は、髪で隠した目が現れる。

 こっ……これはもしかして、モブじゃなくなりつつあるのでは!? 

 私の、情報屋というキャラ付けが、この世界に認められたのか、攻略対象じゃないけど、ネームドキャラくらいの立ち位置を得られた、という事?

 え、もしかしたらもしかしたら、ヒロイン昇格の可能性………は、考えないでおこう。ミジメな気持ちになるだけだ。

 あ〜〜〜〜んな可愛いヒロインが何人も居るのに、こんな準モブにアタックする主人公なんて居ないよ。

 誠実な朝倉くんでも、どこぞのクズ系主人公でも、こっちに来るのはむしろ変。制作会社のTONAMieだって、それを許しはしないだろう。 

 だからまあ、あくまで期待するのは、描画範囲外に出たヒロインを、普通に視認できる程度の格上げまでにしておこう。

 朝倉くんとくっつけるヒロインは、最終的に一人しか居ない。その候補に、私は入れないけど、選ばれなかったヒロインと、私が仲良くなったって、罰は当たらないだろう。

 私がするべき事、それは、モブからの完全脱却を目指して、みんなの恋のキューピットを果たす事、そして、ヒロインちゃん達を、みんな幸せにすること。

 さてさて、次のヒロインの恋を叶えるために、攻略方法を考えてあげましょうか。

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