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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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ようやく始まるヒロイン攻略

「佐伯さん」

 そろそろ来るだろうなと思っていた朝倉くんが、案の定やってきた。

 ハイハイ、マヤちゃんの事ですね。皆まで言わずとも分かってる。

 同じクラスの、伊集院マヤが不在のタイミングで来たんだから、なんの要件で来たかは、丸わかりだよ。

「あいあい、なんの御用でございましょう」

「えっと、伊集院さんともっと仲良くなりたくって、その……伊集院さんの事、何か教えてくれないかな」

 案の定である。

 主人公側の行動を、傍から見た事って無かったけど、こんなにテンプレ通りの行動をするのか。

 まあ、プレイヤーは普通、素直に攻略するから、そういうもんなんだろう。情報屋としては、分かりやすくて助かる限りだけど。

「そうですね……、お紅茶がお好きで、お茶会もお好きなようです。茶葉は特にアールグレイ。リスやウサギなどの小動物、観葉植物、チェスなどがお好きなようです」

 ステータス画面に書いてあった事を、そのまんま伝えてあげると、朝倉くんは、微妙の困った顔をした。

 マヤちゃんの家はお金持ちだから、朝倉くんが贈れる物では、紅茶も観葉植物も、太刀打ち出来ないだろう。

 小動物を贈るのは、だいぶ不味い。生き物の命を、恋人未満、下手したら友達未満の相手に贈るなんて、軽卒が過ぎる。

 そもそも、マヤちゃんの家には、ペットがたくさん居る。犬二頭に猫三頭、ハムスターが五匹、ウサギが三羽に、インコが三羽、熱帯魚の水槽が一つ。

 そして、朝倉くんにチェスの知識があるかと言うと……無いから、こんな顔をしているんだろうな。

「それと、マヤさんは小柄な事を気にしているようですから、イジりは以ての外ですよ」

「しないよ、そんな事!」

「ロリィタショップや、ファンシーショップもなりませんよ。きっと、子供扱いされたとお怒りになる事でしょう」

「わ……分かった、気をつけるよ………」

 あ、もしデートになったら、連れて行く気だったな。

 まあ、さやかちゃんが喜んでくれたから、『女の子はこういうのが好き』と思って、他の子にも同じ対応をするのは、ままある話だ。

 実際、私含む女の子は、可愛い物好きが多いからね。マヤちゃんとか、可愛いよね。

「う〜ん………、と、とにかく情報ありがとう。それじゃあ……また」

「はい、今後ともご贔屓に」

 朝倉くんは、腕組みして悩みながら、教室を出て行った。

 さて、前に朝倉くんと入れ替わりで、メインヒロインの桜子ちゃんが現れた時と同じなら、マヤちゃんが来るはず……もう来た、早い。分かりやすくて助かる、ほんとギャルゲーってやつは。

「佳奈さん、ちょっといい?」

「はいはい、どのような御用命でございましょう」

 私が返事を返すと、マヤちゃんは私の言葉遣いが面白かったらしくクスクスと笑う。

「佳奈さん、今度の日曜日。マヤのお家で、お茶会を開くの。良かったら、遊びに来ない?」

 おお、またしても青春イベントが私に。

 本意ではないけど、仲良くしてもらえるのは嬉しいし、誘いは嬉しい。

 それを金曜日に言うのは、だいぶ急だけど、どうせ予定は無いし、どんと来いという所だ。

「おや、誘って頂けますか。私としては、もちろん参加させていただきたいですが……、その様子だと、私以外にも声をかけている、もしくはかける予定ですね?」

 ステータスオープンで、マヤちゃんが友達を招いて、お茶会を開くのを夢見てたのは知っている。

 友達なら、少なくともさやかちゃんには声をかけるだろうし、私が知らない所で作った友達も居るかもしれない。

「ええ、さやかさんには、もう声をかけたわ。それから、佳奈さんのお友達だっていう、小鳥遊このみさんも招待したいの。佳奈さん、小鳥遊さんに声をかけてくれないかしら?」

 このみちゃんと、マヤちゃんは、まだ面識が無いのだけど、そんな相手を家に呼ぶとは、めちゃくちゃ人懐っこいのか、シンプルにコミュ力が高いのか。

 後藤ケンジロウとのケンカの時から思ってたけど、この娘、メンタルが強い。IJIのご令嬢をやってると、それくらいタフに仕上がるんだろうか。

「承知しました、このみちゃんにはわたくしからお伝えしておきます」

「ありがとう佳奈さん……あ、それとね……」

 ずいぶんと、勿体を付けた言い方だ。

 朝倉くんにも声をかけてほしい、とか、そんな感じかな。

「翔太さんも……呼ぶべきかしら?」

 ああそっち。お茶会をやる上で、男子くんを呼ぶか呼ばないか。そういう事をお悩みで。

 朝倉くんを呼ぶべきかといわれたら、常識的には呼ぶべきじゃないと思う。

 女の子の中に、一人だけ男の子を呼ぶのは、朝倉くんとしても居心地が悪いだろう。

 他に男の子を呼ぶにしても、朝倉くん以外の非モブは後藤ケンジロウだけ。流石に呼べない。

 でもなぁ……、これギャルゲーだしなぁ………。

 とはいえ、朝倉くんを参加させられる、合理的理由も思いつかない。仕方ない、ここは諦めるしかないか。

「男子が一人だけというのは、居心地が悪そうですし、流石にご友人を増やしてからお招きした方がよろしいかと。今回は、女の子だけにしておきましょうか」

「そうよね。ありがとう、そうするわ」

 マヤちゃんは残念そうだったが、私の言葉に素直に頷いた。

 マヤちゃんの朝倉くんへの好感度は上がってきてるけど、ギリギリ好意的、という程度。

 現状では、数少ない知り合いではあろうけども、ここは我慢しておくれ。

 ドギマギする朝倉くんを見た、さやかちゃんが幻滅して好感度ダウン、なんて流れは、避けたい所ではある。

 マヤちゃんも、朝倉くんに冷たい目を向けるさやかちゃんは、見たくないだろう。

「まあ、仲良くしてはいけないという話ではございませんし、折を見てお誘いしましょう」

「うん、そうする」

 マヤちゃんは、にっこりと笑う。

 私達を誘ったお茶会と、今後に実施されるであろう、朝倉くん含めた男子達も呼ぶお茶会、両方に想いを馳せて、もう楽しくなっちゃった顔だ。

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