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八、#事件の真相


 事件の真相に一人気づいた楓のトップヲタクこと、辻村心平。そして辻村の前にいるのは、殺人事件によって命を奪われたはずの国民的アイドル、上杉楓だ。


 「……そのアカウントが、私だって証拠は?」

 「このアカウントが投稿した動画は()()()()()()()()()()稿()()()()()んです。こんな大スクープがあるなら、すぐにでも暴露すればいいのをわざわざ貴方の死後に発表したということは、投稿したのが貴方だと検討ついたのです」


 辻村が話終えると楓は大きくため息をついて壁にもたれ掛かった。


 「…まさかアカウントで気づかれるとは思わなかった。貴方確か辻村さん…だったよね?毎回握手会に来てくれてたから、よく覚えているよ」

 「名前を覚えててくれてたなんて…ヲタク冥利に尽きます」

 

 辻村は推しが自分を認知してくれていたことに感動していたのも束の間、楓はあっさりと本題に入ってしまう。


 「……それで?私をどうするの、辻村さん。警察に突き出す?それとも世間に『国民的アイドル楓は実は生きていた』って暴露する?」

 「…僕は警察官ではないですし、世間に公表するつもりもありません。ただ…真実が知りたいんです」

「真実?」

「えぇ。あの事件で死んだのは誰なのか。そして、貴方はどうして今まで行方をくらましていたのかを」


 辻村がそう切り出すと、楓は伏し目がちになって話し始めた。



 「…しばらく活動を休業しようと思ってたんです。最近メディアにも出るようになって体調やメンタル面にも影響して、次のライブが終わったら活動休止を発表する予定でした。でもそんな矢先、あの事件が起こったんです。」


 すると、楓は辻村に向かって勢い良く抱き着いた。


 「自分でも何が起こってるのか分からなくて!何故か自分が殺されたなんてニュースになって…それで私、ほとぼりが冷めるまで地元に戻ってました。ニュースで心音が自殺して、美園さんも浪川さんに殺されて…もう何がなんだか分からなくて…本当です、信じて下さ」

 「嘘ですね」

 「えっ…?」


 楓が涙目になって切実に胸の内を話すが、辻村はバッサリと切り捨てた。

 

 「貴方は嘘をついてます、そして僕も嘘をつきました。僕はもう真実に気づいたんです。貴方がどうやって三人を死に追いやったか。そして、あの事件で殺されたのが誰なのかを」

 「―――っ!」


 楓は嘘を見抜かれていたことに憤りを感じ、小さく舌打ちをする。その表情は『国民的アイドル楓』ではなく、『上杉楓』という十七歳の女の子であった。


 「僕は貴方の誠実で真面目で明るく、そして裏表のない姿が好きでした。だから、貴方が真実を話してくれると信じてましたが…残念です」


 辻村は全て分かってた上で、楓は真実を告発すると期待して泳がせていたのだった。しかし、そんな期待も裏切られたような気持ちになり、落ち込んだ表情をする。


 「貴方は国民的アイドルとして、華やかな芸能界で順風満帆な人生を送っていました。しかし、その世界にも貴方にとって目障りな存在がいたんですね。メンバーの根尾心音、ストーカーの浪川健志、マネージャーの美園梢。貴方は彼等が裏で行っていた悪行を知っていた、そしていつそのことを暴露しようか伺っていた時、そのチャンスが訪れました。それがあの事件です」


 辻村は小説やドラマに出てくる探偵のように、部屋の中を歩きながら淡々と真相を話していく。楓は辻村の推理をただ黙ったまま聞いていた。


 「そして事件からしばらくして、ネット民達を焚き付けて犯人探しと称して邪魔な人間達を間接的に消そうと計画したんです。根尾心音と美園梢の暴露ネタをあらかじめ集めておき、順に秘密を暴露すれば、あとはネット民達が勝手に炎上してくれるだけでいいのです。でも、浪川健志の場合は少し手を加えましたね」

 

 辻村は鞄の中からパソコンを取り出し、画面を楓に見せた。そして、ある動画を再生した。


 『…お願いがあります。私達を邪魔するものを排除して欲しいの。そうしたら…私達、ずっと一緒に居られるんです…』


 「―――っ!?」


 楓は驚いた。何しろ、浪川にしか送っていない動画が今目の前で流れているからだ。


 「警察官の友人に頼んで、浪川の家にあったパソコンのデータを借りたものです。貴方は浪川の歪んだ感情を利用して、美園梢と浪川健志を同時に抹殺することが出来る」

 「―――っ!!」


 楓は完璧だと思った計画をあっさりと見抜かれてしまい、言葉が詰まる。


 「さて、では一番の謎であるあの死体は誰なのか…そのヒントがこの写真です」


 辻村はタブレットに変えて画面をポチポチと操作すると、ある画面を楓に見せた。すると、楓は真っ青な顔をした。

 それはとある小学校の全校生徒が集まった集合写真で、そこから一部分を拡大したものだった。画面に写るのは、小学生の頃の楓と…もう一人楓そっくりな女の子がいた。


 「貴方の地元に行って調べました。そこで貴方の小学校時代、校長をしていた方にお会いして話を聞くことが出来ました。貴方の隣にいる少女の名は『上杉奏(うえすぎかなで)』……貴方の双子の妹さんです」

 「っ!!」

  

 国民的アイドル、上杉楓に双子の妹がいた。それは、業界どころか誰一人として知らない新事実であった…。




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