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アルジキミヒト ―巨大企業に追われた発明家のオレが【主人公】の力を借りてヤンデレ系雪女とバグった物語を巡るカオスな異世界変身冒険譚―  作者: ユッキング加賀
第7章、サイバー太郎編『Dive in the mission――さあ、任務を遂行しよう』

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第36巻、Mission: Diver Topologism/潜入、ダイバートポロジムへ

前回のあらすじ3行。

「01000100 01100001 01111001 01100100 01110010 01100101 01100001 01101101……白昼夢」

「01001110 01101001 01100111 01101000 01110100 01101101 01100001 01110010 01100101……凶夢」

「01010010 01100101 01110110 01100101 01110010 01110011 01100101 00100000 01000100 01110010 01100101 01100001 01101101……逆夢」

「みんな、ただいまぁ~!『変身解除(キャストアウト)』」


 サイバーポリス最下層よりドロンと帰宅したオレは、嵐忍者ハヤテから元のヴィジュアル系ファッションに身を包んでいた。

(それにしても、何でキャストサーチで再び嵐忍者ハヤテが……。ドライバーのバグか?まあいいや)


「おかえり、アルくん。ジャンクご飯にする?シャワーにする?それとも……わ・た・し?――痛ったぁ!?」

テンプレっぽい往年の夫婦的挨拶が癪だったので、猫耳フードの可憐な頭に優しくチョップしてやった。


 ――というか、何が『アンダー区の最下層には闇市がある。レアものが手に入るかもしれない』だ。

ここNeo satelliteの店長である駆導竜星とキャッチセールス界のキングこと自称店長ジェイク・マキシムがそこ出身だからと知っているクチして教えてくれたはいいものの、殆ど前世紀的なジャンク品と腐った缶詰ぐらいしか見どころがなかった。

……最悪、新アイテム用に使う強化ガラスは入手出来たが。


「あぁ~~、その壊れたアンドロイドとホームレスみたいなガキは何だ?託児界のキングであるこの王(おれ)でも扱いに困る」

キングさん((あだ名))にはコイツらの面倒は見切れないらしい。

「ジェイク、そういや竜星が見えないが?」

「竜星なら、今は裏手の格納庫でスペースシップの製造中だ。オーダーメイドの売り物とは別に、自分用が欲しいんだと言って時々弄っているのだ」

『自身とボイドを助けた変態忍者はどこに消えたのだ……?』

床に降ろしたサイバー太郎だったが右腕が無いことに未だ違和感があるのか、自身の左手で綺麗な断面を不安そうに撫でている。

「オレ……アルジ・キミヒトが変身していたんだ、001。その……変態忍者とやらに」

001を名乗っていた頃のように、【? ?】といった目を黒い液晶に表示していた。

(最下層で出会った時も型番ではなく『サイバー太郎』とか言っていたな。――もしや記憶喪失か?)


……あっ、そうだ。さっきの忍者のこともあるし、念のためキャストドライバーの電源をオンオフしてみるか。


【電源オフ】

「しゃいばぁたおぅ!――」


【電源オン】

「――おともだちっ!」


・

・

・


『…………ボイド?い、いま…「おともだち」って……』

「うん、やっと通じた!――おれのイチバンのおともだちっ!!」

それを聞いたサイバー太郎は俯くと、途端に青い頭髪と灰色の肩アーマーを笑わせていた。


「サイバー太郎さん……」

「オレ達の知らない間に、アイツに何があったんだ」

(001……いや、サイバー太郎。まさか、『心』が芽生えたんじゃ……)

人は日々進化する生き物なのだといつかの本で見知った気がするが、アンドロイドにもそれが適用されるだろうか。


「そのアンドロイド、右腕を直すとなれば人手が要るだろう。お出迎え界のキングが竜星を連れてきてやろう」

「いやいや…趣味に没頭してるところ邪魔したくないし、無理に連れてくる必要は……」

「――――そうだろう、いいだろう!特別に王が遣われてやろう!アクセラレーション!!」


………………。


「あぁ〜〜〜、行っちまった」

「賑やかな人だったよね、アルくん」

確かに人手が増すのはありがたいのだが、そのために独りの時間を邪魔してしまうのは申し訳ない。


――――「ねぇねぇ、これなぁ〜に?」

店の隅にある作業台から子どもの声がする。

「ボイド……だったな、お前。悪いけど、その『サンダーコネクター』はおもちゃじゃないんだ」

パンサースミスから強奪し、新強化アイテムの心臓部として採用した企業の盗難品である輝石ハイパーフラグライト。

この3日間で開発は最終段階を目前としており、絶縁用の強化ガラスも入手出来たので半円状に加工したのち嵌め込むだけだった。

「ふーん」

仕方ない、子どもが飽きっぽいことはヘンゼルとグレーテルの世界で学んでいた。

この手の相手はしゃがんで目線を合わせて……。

「それよりサイバー太郎……ボイドのお友達の腕、直してやる。…その抱えている腕、預かってもいいかな?」

「……良いよ、はい!」

「どうも〜」

少しは信用されただろうか。……などと思いながら受け取った腕の断面を観察してみようとした。

「へぇ〜。アルくんって子どもの相手、出来る方なんだ」

「うっせ。……それがどうかしたのかっての」

「いやさ、将来的にわたしが産んだら面倒見てくれるか心配だったから……」

――思わず噴き出した。

「キ〜ネ〜シ〜ス〜。もう、向こうのカウンター席で座ってろ!」

「はぁ〜い!」

(この前のシャワーの一件から先走り過ぎんだろ、アイツ)


……それはそれとして、キネシスが窓際まで掃けてくれたので中断されてしまった作業を再開することにした。

(切断面の他に溶接した跡……?最下層、でか?設備も整っていないだろうに、中々綺麗に出来ているな。外側からじゃ分からなかった)

「ボイド、この腕の内側に溶接した形跡があるんだけど、あそこに腕利きの修理屋でも居たのか?」

「おれが直した」

…………またまたぁ〜。子ども特有の冗談とかか?

『ボイドの言っていることは本当だ、アルジ・キミヒト』

見た目が001時代と変わらないのに、発せられた呼び方がキミヒト・アルジから変わってしまったことに違和感を覚える。

………………マジ?

「おれ、うそ、付かないよ」

「凄えんだな、未来の子どもって」

洞窟の壁にイタズラ描きして笑ってた双子とはエラい違いだ。


「…帰ってきたんだな、アルジ。……その子どもとアンドロイドは、誰なんだ?」

「あ……ジェイクが呼んだのか。ごめんな、竜星。この2人はボイドとサイバー太郎、最下層で黒いアンドロイドから襲われているところを助けて連れ帰ってきちまったんだ」

いつもの青いエプロン姿で現れた店長らしい方の店長……駆導竜星は自分の顎に人差し指を当てると、何やら考え事をする表情に切り替わった。


――――ふと、店長の視線がオレの預かっていた腕に向いた。

「……事情はともかく、そのサイバー太郎とやらの修理をしよう。――作業台の椅子に座らせて、肘置きの上に断面を乗せるんだ」

さすが、竜星は呑み込みが早い。


「いっせーの、せっ!……いや言わないんかい」

「すまない、急で合わせられなかった」

チームワークに少々難がありそうだが、これでサイバー太郎の修理作業が始められそうだ。

「……ところでジェイクはどうしたんだ?」

「ああ、コーヒーの飲み過ぎでまた腹を壊している。……いつものことだ」

相変わらずかよ、キングさん。

「そういえば黒いアンドロイドに襲われたと聞いたんだが、何か心当たりはあるのか?」

「分かんねえ。訳アリなのは確かなんだが、そいつの色違いだったんだよ。……ダポロジの刺客なのかもな」


『…………ダポロジとは、何だ?』

やっぱ、記憶消えてるみたいだな……。

「ダイバートポロジムの略な、オレが考えた」

【? ?】

「その目するの気に入ったのか、サイバー太郎」

『昔から知っていたような気がするが、メモリに履歴がない』

001時代の記憶はもう、諦めるしか無さそうだ。


「始めよう、アルジ。……ただ、今後のことを考えるなら戦闘面のアップデートは必要かもしれないな」

竜星はそう言うとはんだごてを手渡してきた。

「店先で買い占めたパーツの余り、ドン引きするほどあるが使ってみないか?」

「面白いな。――サイバー太郎、一旦電源を落としてもいいか?」

『了承した』

返事の直後、目の液晶点灯が消えた。

「おれも、やる」

ボイドが名乗りを上げたが、案の定というか竜星は不安そうな表情を見せた。

「いや、ボイドなら大丈夫だ。サイバー太郎のお墨付きだ。腕をやられる前の修理はこの子がやったんだとよ」

「……ふっ。――ボイド、俺と腕の改造を手伝ってくれないか?」

「うん!」

一気に打ち解けてしまったらしい2人。

「それなら、オレはサイバー太郎のデータ解析とアップデートに必要な機能改修をしてみる」

「……頼んだ、2人とも」


オレと竜星、そしてボイドによるサイバー太郎の修復&改造作業が開始された。


――――――――――ダイバートポロジム本社、最上階―――――――――――


『ベリル社長。……契約通り、ダイバートポロジム本社格納フロアに”SB1-TR003”1000体の配備を完了した』

 ダイバートポロジム。

我が社に不足していたアンドロイドの精巧な製造技術とノウハウ、確かに頂戴した。


『ありがとう、アーザフ支部長。――これで、サイバーポリスはより完全な街になる』

 エネルジオプティマス。

無限の動力源「光子力(フォトン)」といい……我が社にとって、これ以上のビジネスパートナーは他にいないだろう。


色彩に満ちたガラス張りの景色。

それを横目に、互いに視線を交わすメガコーポ同士によるB to B(企業間取引)。

サイバーポリスの頂で、夜よりも深い思惑の闇が渦巻いていた。


―――――――――――"一方、Neo satelliteの作業台"――――――――――――


 三人寄れば文殊の知恵と、何かの小説で読んだ気がする。


「かんたん、かんたん!」

作業開始直前に、オレのキャストパスにあるアプリ『ドレスアッパー』でキッズサイズに調整した緑の作業服と難燃手袋・溶接帽・面・安全靴をボイドに揃えてやっていた。


「……その歳でTIG溶接か。ふっ、将来有望だな」

天井から局所排気フードを伸ばすと、ボイドは同じような装備をした竜星が圧し合わせている腕の切断痕へトーチ先端のタングステン電極をあてがう。

同時に不活性のアルゴンガスを噴射することで酸化から保護(シールド)しつつ、電極で発生させた高温のアーク光を当てる事でじっくり丁寧に腕を繋げていく。

「その歳っていうか、ボイドって何歳なんだ?」

少し離れた位置からデータ解析中のオレだったが、コーヒーで眠気を飛ばしつつ目覚ましがてら質問してみることに。

「おれ、じゅっさいだよ!」

――あっぶね、オレのモバイルPCに黒い飛沫を飛ばすところだった。

「凄えなボイド。同じ頃のオレですら、独りでゴミ拾いして食い繋いでたのによ……」

「えへへ……」

こんな和気藹々としながらでも、ボイドの手付きはプロそのものなのでチラ見する度に息を吞んでしまう。

……そろそろ集中しなくては。―――「何だこれ」


『DT-CCS // AUTHORIZATION FAILURE

 HOSTILE STATUS CONFIRMED

 CORPORATE CONTINUITY MEASURE INITIATED』


黒い画面に表示された如何にも怪しい緑の異物。

「物騒だな、消すか。…………いや待て、逆に不味いか。人工知能との複雑な繋がり方からして、コイツを処したらサイバー太郎の人格を巻き添えにしちまうのか……」

しかもDT-CCS――Diver(ダイバー) Topolo(トポロ)gism(ジム) Corporate(企業) Continu(継続)ity(性) Safeguard(保護機構)っていうか、要するに『対反逆用消去プログラム』ってことじゃねーか!


「竜星~。サイバー太郎の人格を消そうとするプログラムが出てきたから、適当にリプログラミングしちゃうぞ」

「作り直すのか……?……!――――アルジ、ボイド。面白いものを思い付いたぞ。聞いてほしいんだ」

竜星店長は一瞬だけ顎に人差し指を当てると、急にオレ達へ楽し気な表情を向けてきた。

「どうしたの、りゅーせー」

「是非聞こうじゃないの、駆導店長。……例のアップデートってやつか?」

「その通りだ。状況に応じて最適な能力を発揮出来るよう、換装化(コンバート)機能を搭載する」


   「――――――――――――――――――――――――――――」

    『ボイド、寝ているんだな。……これを掛ければ寒くないだろう』

        「――――――――――――――――――」


――――――――――――――――AM02:21――――――――――――――――


 何時間作業し続けたのだろうか。目がしょぼしょぼする。


 キネシスがカウンター席で紙コップのアイスコーヒーを放置したまま寝ていたので、店内ソファーに掛かっていたクリーム色のブランケットをそっと掛けてやった。

「………アルくん、すきぃ…………肉じゃが……」

(キネシスのヤツ、以前幽霊だから睡眠要らないとか言ってなかったっけか。寝顔が可愛いからいいが)


「王は……ヌードル…界のキン……グ…………グガァッ………………」

床に突っ伏していようとブレないとはやるな、寝言界のキング。


「無事に完了したな、強化を兼ねた修理が」

竜星は水を得た魚のように生き生きとしていたものの――。

「おれ、もうつかれた……」

ボイド、10歳でよくこんな時間まで付いてきたと思う。

「で、出来たぁぁ…………!あっ、寝落ちしそうでやばい」

ソファーの背もたれに背中を沈めたオレだったが、正直ぐったりしている。

(プログラムの書き換えを終えた後、サンダーコネクターの強化ガラス取り付け作業まで仕上げたオレを誰かに褒めてもらいたい)


……だが、サイバー太郎に人格を削除するようなものを仕込んでいる企業だ。

仮眠ぐらいは取りたかったのだが、休んでいる暇は無い。

――――――――「いや、ごめん。やっぱ1時間だけ寝かせてくれ……」


「『DT-CCS:X Cross(横断) Enhance(強)ment (化)Edition(仕様)』」


『システムログ

 DT-CCS v8.4

 Corporate Continuity Safeguard


 Integrity Check........PASS(整合性チェック........合格)

 Hostile Purge Module...REMOVED(敵対的パージ・モジュール……除去済み)

 Loyalty Lock...........REMOVED(忠誠的制限...........削除済み)

 Enhancement Framework……INSTALLED(拡張フレームワーク……インストール済み)

 Morph Engine...........ONLINE(変形機能……稼働可能)


 SYSTEM READY. (システム準備完了。) 』


―――――――――――”AM03:34。一層、エレベーター前”――――――――


 決意の朝を迎え入れる前のサイバーポリスには霧が立ち込め、街のネオンをボヤけさせていた。


「『アタックチェンジ――浦島太郎』――――カメェーーン!」

――暗闇を照らす二筋のビームライトと、車道のアスファルトに響くエンジン音。

オレがキャストドライバーで召喚したウミガメのような顔がある変なバイクだが、もはや定番の足と化していた。


「キネシス、サイバー太郎。…………行くぞ!」

カメーンに寄せたデザインのヘルメットを被ったオレは、早速カメーンに跨ると意思確認とばかりに戦友の方へ振り向いた。


「ふふ、行こうっ!」

そう言って、背中に密着しながら腕をぎゅっと回してくる同じヘルメットの相棒。

いつもの柔らかな笑顔で応えてくれるキネシスのおかげで、復讐を胸に向かおうとする今のオレでも余計な気を張らずに済んでいる。


『Dive in the Mission,Diver Topologism』(始めよう、ダイバートポロジム侵入任務だ)

指先を左の手の甲に当てると、全身のエネルギーラインをオレンジから青く変色させていた。

『Enhance:Flash Formula』

鮮やかにも熱く覚悟を滾らせるサイバー太郎。修復された右腕には変色と同時にブレードが出現した。

(オレ達による魔改造は成功したらしいな)

もちろん、換装方法もインストール済なので説明不要だ。



 3つの光はダイバートポロジムの白い本社ビルを目指し、ダイバートポロジムの最上層であるタイムズスクエアの車道を駆け抜ける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


信号機が浮遊するビル群の中を縫うような空路を走るホバーカー達。


赤いチェリーのネオンが燦々とするバー。


バイクが速過ぎてハッキリ見えなかったが、コーラを飲むワンピース姿の女性を写した広告。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こんなにも、世界には日常の輝きが溢れていることをオレは知らなかったんだ。

エネルジオプティマスに籠っていたら一生見られなかったかもしれない。


「終わりたくないな…。オレ、いつまでもこんな旅、してぇよ……!」

「アルくん。わたしも今、同じ気持ちだよ。――だから、生き続けよう。生きて、サイバーポリスの朝焼け…一緒に見よ?」

「……っ、そうだな。――目的地のビルなんか、展望台にすれば眺めはさぞ最高だろうな」


前方に見えていた、サイバー太郎の胸元にあるものと同じロゴがある白い巨塔。

周囲から一際浮いて見える分、視界の悪い夜だというのに存在感が抜群だ。


『ボイド、今度こそ待っていてくれ。友達(きみ)の居る場所だけが、自身にとっての帰る家になるんだ』

青いエネルギーラインのサイバー太郎も足底から生やした車輪(ホイール)を用い、ローラースケートの要領で車両間を駆け抜け風を切る。


 街中のジャーナルで先日報じられていた、エネオプとダポロジによる生産及び技術提携の記者会見映像が未だに頭の中にこびり付いている。

「これ以上、好き勝手させるもんか……!故郷(ブックワールド)のためにも、支社は絶対にぶっ潰す!」


 変化を続ける毎日を走り抜けるためには、オレ達の日常に来る朝だけはいつも同じでなくてはならない。


オレとキネシス……後悔のない人生のために。

サイバー太郎とボイド……2人の知らない未来が途切れないように、消えないように。

幕間『ライディングトーク・アクティベーション!』


その会話は、本拠地ダイバートポロジム本社ビルに向かう最中で繰り広げられていた。


「そういや、サイバー太郎は電源落ちてたから知らなかったと思うけどよ、その腕はボイドが繋げたんだ」

『……また彼に助けられたのだな、自身は』

「よかったじゃん。サイバー太郎さん」

「店長の竜星も褒めてたぞ、『将来有望』だってさ。いっそNeo satelliteに住み込みで働かせてもらえば安心安全なんじゃねーの?」

『店の者がそれでも良いと言うならば、自身はそれでも構わない』

いつか訪れると良いな。当たり前の日常を当たり前に過ごせる、最高に大切な時間が。

「オレのキャストドライバーで翻訳されてたけどさ、サイバー太郎って呼ばれてた本当の意味…知れてよかったな」

(翻訳無しでも解ったけどな、オレが素で使える唯一の言語だったし)

『ボイド……。もっと話がしてみたかった』

「サイバー太郎さん、ボイドくんが好きなんだね」

『最下層で共同生活を送っていた時も、ボイドの笑顔が眩しかった。彼が自身に心をくれたのだ』

「だったら、尚更ダイバートポロジムを放置出来ないな『カメェーン!』、いや邪魔すんなよカメーン!」


黒い車道を駆ける3人の影。

話し込んでいるうち、目的地は目と鼻の先まで近付いていた。

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