第33巻、Hyper Fulgurite/霹靂の頂き物【後編】
前回のあらすじ3行。
「01010010 01100101 01110000 01110101 01101100 01110011 01101001 01101111 01101110……撃退」
「01010100 01100101 01101101 01110000 01110100 01100001 01110100 01101001 01101111 01101110……誘惑」
「01010010 01100101 01110101 01101110 01101001 01101111 01101110……再会」
――――『その盗難品の正体は、ダイバートポロジムが注文していた霹靂の頂き物だ』
ここはジュエリーズ、暗くて埃臭いホール裏の廊下。
風俗街ステファンに店を構えるカジノキャバレーなのだが、ここでの目的はオレ達が遭遇したネットバーサーカーなるものの出現と同時期にパンサースミスが起こした企業トラック襲撃事件での盗難品を横取りすることが一つ。
次に、竜星達を困らせていたそのマフィアも潰してしまおうというもの。
そんなわけで、相棒のキネシスとのストリートファッションコンビは店舗裏口から侵入していた矢先だったが……。
「ハイパー…フルグライト……ってなんだ?」
ダメ元で盗難品について聞いてみたところ、白い傭兵アンドロイド『SB1-TR001』の無機質な音声で発せられた初耳な物体名に目をパチクリとさせたオレとキネシス。
『無理もない反応だな、キミヒト・アルジ。……社内データベースでは100億ボルトもの雷を浴びた土地で誕生した超エネルギー凝縮体とある』
「アルジ・キミヒトだ、脳内メモリに登録し直しとけ。――んで、そのダポロジの品はエネルジオプティマスと関係があったりするか?」
『(だ、ダポロジ……)――いや、無い。その品はSSPに奪還か破壊という内容で一任されている』
――――いま、破壊って?
「そんなに貴重そうなものを状態不問でってか?本当に必要だと思って輸送してたのかそれは」
「そ、そうだよ……」
……思っていた状況と違う。
ダイバートポロジム、略してダポロジ。盗難品の扱いが雑だし、使用目的が不明瞭でどうも引っかかるな。
『それ以上の情報は認可が下りなかった。……それより、パンサースミスを壊滅させるそうだが具体案はあるのか?』
「この観音開きの小窓から見渡す限り、1階はカジノのフロアで2階は吹き抜けのキャバレーフロアだ。巻き込まないよう、空砲で民間人を追っ払ってから開始する。それからキネシスの力で床を氷漬けに……」
『――氷漬け?そのような機能のインプラントは記録されていない』
「これでも人間じゃなくて雪女だからね~」
黒い液晶モニターの目では『? ?』という状態。正直面白い。
『……これ以上悠長にはしていられない。自身にもここのボスを始末する命令がある以上、さっさとケリをつける』
「暗殺…って言ってたよな?忍ばなくていいのか?」
『コソコソするのがむず痒くなってきた。……それだけだ』
そう言うと、001は何の断りもなく扉を蹴り壊してズカズカと眩しい空間に進んでしまった。
「「(ざ、雑い……)」」
―――――――――――――――作戦開始だね!――――――――――――――
「……んん~!そうだろうそうだろう、触るとピリピリするだろう!貴重な宝石は手に入り、こうして女に囲まれながらウイスキーを呷り、葉巻で至る。ああ…私は最高にシ・ア・ワ・セ――(バキューン!)――な、何事だ!?」
『約束通り撃ったぞ。……レアード・マッケンジー、顔写真と一致。――始末する。
Hack…incineration』
「いやお前それ実弾じゃねーか!?頭のネジぶっ飛んでんじゃないのかコイツ!!」
001の撃った小銃は壁にしっかりと傷を作っていた。……というか、既に殺意剥き出しである。
「きゃああーー!?」「銃声だ!逃げろぉーー!」「もう何なのよあのアンドロイド!?!?」
……結果オーライってところか。
「(お~こわ……)ダイバートポロジムの傭兵か、もう嗅ぎ付けてきたとはな。
――――やれ」
『……効いていない、脳内にファイアウォールを仕込んでいたか。Change of plans:
――Eliminate them all』
豪華絢爛な平和的空間は一転して、血も涙もなければ仁義もない戦いの舞台と化していた。
「あ~もう滅茶苦茶かよ……『変身キャストドライバー』。『茶太郎――キャストチェンジ』、やるぞキネシス」
「まぁ……、やっぱりこうなっちゃうよね」
「――――――――変身!」
「――アイスフィールド!」
『茶釜の希望 抱いて投げろ Shining kettle!!』
ホビーアニメのような変身システム音が流れる中でオレは凍結化が進む絨毯床の上を白く輝きながらバク転すると、茶釜を背負った一匹のタヌキとして鮮やかに着地した。
「Oh my…!リアルな動物なんて生まれて58年、初めてみた……」
タヌキどころか動物自体初だったのか。とんだ3027年だな。
「もっと面白いモンを見せてやるよ。――キネシス、オレを投げろ」
「???……ああ、あれだよね。――よいしょっと」
室町時代のあの遊び、今こそ見せてやるか……。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……」
『理解不能だ。――Dive in』
左腕からオレンジ色のワイヤーを天井のシャングリラの根元へ向けて発射し、それを巻き付けると店内の壁を縦横無尽に走り回りながら銃声を響かせていく。
「「――ぽんぽこぉ~!!」」
キネシスは腰にスナップを効かせると、全力でジュエリーズという名の狸大王決戦場にオレをシュートした。
「な、なんなんだあの……よく分からない亀みたいなものは!?撃て、撃て!」
パンサースミスのヒョウ柄スーツの構成員が発砲するも――カチン、カチンと茶釜に身を収めていたオレは当然無傷。……それどころか。
「これもうカーリングのストーンか何かだろ!ヒャッホ~!」
スケートリンクのような店内をピンボールのように壁でバウンドしながら超スピードで滑り、次々にマフィアどもの脛へ体当たりを仕掛けてゆく。
「無理だろあんなの!?――――ぎゃああああ!!」
「ああ神よ、俺達をお救いくだッ!?」
腹這いの姿勢で滑りながら階段を降り、スロットマシンの森をガキンガキンとぶつかりながら敵を巻き込む。
「お前も始末してやる――!」
キネシスの脳天を撃ち抜く銃弾。……だが。
「人間の攻撃なんか、通用しないから。――『氷弾』
不死身というか、元々幽霊のキネシスはピンピンしていた。
青い瞳が紫一色に切り替わると両手を二丁拳銃のような姿勢にし、指先から放たれた氷の銃弾は次々にヒョウ柄の男達の首を的確に仕留めていく。
「おいやべーぞあの化け物女――ッ!?」
「おいマックス!首が…首が……、がはッ!?」
――――『自身が居ることも忘れるな』
騒ぎを聞き付けてやってきた警備員達も001の銃口の前に散った。
「けっ、何てザマ晒していやがるんだお前ら。(実働部隊まで血の海とは……)――これを見ろ!」
レアードと呼ばれていた高級スーツのおっさんが右手で高く掲げていたのは、白い表面から紫の水晶が生えている不思議な宝石だった。
「あれが……ハイパーフルグライトか」
茶釜タヌキと化したオレはおもむろに背中へ回っていたドライバーの読み込み面へとキャストパスを3回重ねると、『ラストアタックチェンジ――茶太郎』とのシステム音声を皮切りにその場でグルグルと滑走し始めた。
「見ろっつったら見ろお前ら!……これ、雷とかなんか出せたりせんのか?え…えぇっと……」
「『奥義、茶華疾走――連吼威絵夢』。おっちゃあ~~~!!」
超高速のタヌキ大回転は物理法則なんてものを考える気を起こさせないまま、やがて店内で大竜巻を発生させた。
『思考停止……寸前。もはや何なのだ』
「派手にやっちゃってるなぁ~、アルくんは」
とうとう目の前の光景に呆れたキネシスと001。
「ジャスミン茶、烏龍茶、そっちゃあ~~~!」
竜巻を抜け、勢いのままレアードまで一直線に飛びこんだ。
――――瞬間、雷霆は弾けた。
「アルくん!?!?」
『雷に打たれたか、ヤツは』
オレを駆け抜けた稲光。
「のわぁぁぁ!!!!」
憤怒を現したその宝石を離さず、自身もその高圧電流を流し込まれ続けるボス。
――あの石が訴えかけてくる。
自分を掴めと轟き叫ぶあの雷鳴が、聞こえた気がした。
「貰ってやるよ……ハイパーフルグライト!――――『タヌメタルサンダーダイブ』!!」
全身に浴びた雷が茶釜に集約され、威力を高めた突進が炸裂!
「――――――――ッッ!?こんな……筈では!!――がはぁッ!」
あまりの高威力に壁へめり込むレアード。
…………握られていた例の宝石が逃げるようにしてオレの元へと転がってきた。
「やったね、アルくん!ええと、ビリビリしない?体は平気?」
「もう……大丈夫だ。ありがとな、キネシス」
こうやっていつも気遣ってくれる相棒が本当に愛しく思える。……相棒としてな。
「変身解除…001。ダポロジには悪いが、この石貰っても構わないか?」
『(またダポロジ呼ばわり…)破壊した、という報告をしておけば企業も納得するだろう。幸い、パンサースミスは店ごと壊滅した」
内観的に、石ころの一つぐらいどうなってもおかしくないってか。……アンドロイドは堅物なイメージがあったが、案外融通が利くな。
こうして、オレ達同盟トリオは例の襲撃の盗難品であるハイパーフラグライトの入手とパンサースミスの破壊、その両方を達成した。
――――パァン!
「あっぶねぇな……!」
最後の力を振り絞ったレアードはオレに一発チャカってきた。……咄嗟にキャストドライバーを盾にしていたお陰で九死に一生を得たが。
「生き…ねば。どんなに、地を這いつくばってでも…生きて……生きて証明してやる……!ダイバートポロジム……、あの暗殺の、濡れ衣を……!!」
めり込まれた壁を何とか抜け出すとその場に倒れ込み、出口のある方向へと倒れ込みながらも泥臭く進み始めた。
(ダイバートポロジムの…暗殺と、濡れ衣……?)
『Lock-on……』
「ちょっと待て太郎!」
『いや、太郎じゃなくてSBI…』
感情無さげなまでにメタリックな見た目の割にはシュンとしてしまう001。
「――おい、レアード。ハイパーフラグライトのことはいつ、どこで知ったんだ!」
企業の盗難品への扱いといい、おかしいと思っていた。
「1ヶ月前の…企業の内通者…から……だ、ぐぉぉっ――ふぅ……!」
命からがらのボロボロなボスは這いつくばっていたところから、階段を情けなく転げ落ちていく。
(あー……そういうこと、か。ダポロジの意図は見えてきたが、何故ここまで積極的にパンサースミスを嵌めるようなことをして……?)
「まだ、私は……」
ここで命を奪ってやれば、001の目的は達成される。
しかし、生かせば更なる情報が得られるかもしれない。
「アルくん。このままだと逃げちゃうよ、あのニンゲン」
「その手を下ろしてくれキネシス。命乞いするニンゲン相手にわざわざ手を下すような真似はしたくない」
「そ、そう……」
キネシスの氷弾の構えを中断させる。
『……協力はここまでだ、キミヒト・アルジ』
「あっ、おい!――ていうかオレはアルジ・キミヒトだっつーの!」
001は黒いマントを翻すと、逃亡する男を追い掛け始めた。
「はぁ…はぁ……。会長を、ダイバートポロジムの…会長を本当に…殺したのは……!」
とうとう腹這いのまま出口を抜けたレアードだったが、ムクリと立ち上がると車道に飛び出していたことにも気付かないまま走り出していた。
『…………!』
すると、メインカメラの端で左からアクセル全開で走り込んでくる黒い車体が見えた。
――――――――『……………………?』
自身は、一体何を……。
「あいつ、暗殺目的だったんじゃ……」
「あのニンゲンを助けたよね…、あのアンドロイド」
勝手に体が動いていた。
何かに操られていたなどという不正アクセスも検知出来なかった。
ただ……。
『自身は…、自身…は……』
「001!?どうしたんだ!……行っちまった」
例のアンドロイドは息遣いの荒いレアードを歩道に下ろすと、オレンジに発光するワイヤーを使って雑居ビル群の向こうまで飛んでいってしまった。
「……、うわぁぁーーー!」
一瞬周囲を見渡したレアードだったが、車道を確認するや否やジュエリーズの横の脇道へ駆け込んで行った。
「ダイバートポロジムの会長を殺害……?レアードのやつ、突然何を――(ガラガラガラガシャーン!!)――イッ!?」
先の戦いで限界を迎えていたジュエリーズの建物が背後で大きな音を立てて崩壊しているのが見えた。
「……お店に戻ろっか」
「そっ、そうだな…はは……」
人だかりも出来始めていたこともあり、これ以上人目につく前にそそくさとステファンの淫靡な通りを後にした。
――――――――――――――――ただいま〜!―――――――――――――――
「――無事だったんだな、お前達」
「ああ、目的は果たしてきた」
ヘトヘトだったオレ達を手厚く迎えてくれたのは個人向けスペースシップ販売店『Neo Satellite』を切り盛りする店長、駆導竜星とジェイク・マキシムだった。
……よく見ると、2人のエプロンに何かが掛かった跡がある。
(揃ってお昼は自販機のカップ麺か。案外仲良いんだな)
――つっても、オレ達も帰りにバーガーショップに寄ってきたワケだが。
「フン、ストリートの伝説は王達だけで十分だからな」
……彼なりの優しさなのかもしれない。
「竜星、見てみろよこれ。ハイパーフルグライト、パンサースミスからぶん取ってきた」
白と紫のコントラストが生命力を思わせる不思議な石。ゴツゴツとした結晶の手触りと微弱な電流のようなものを感じる。
「いやぁ〜わたし達すっごい頑張ったからね!」
「……ところで宿は決まっているのか?」
いやいや、会話が互いに投げ合うドッヂボールのように噛み合わない。
「他に無ければこの王の城で休んでいくといい。客入りは大したことはな「余計なことを言うな、ジェイク」…………」
相棒の扱いが付き合いの長さで慣れているそれだ。
「隣のカフェスペースにあるソファーにはリクライニング機能がある。シーツは店の奥から持ってくるから、そこをベッドとして使ってくれ。トイレの向かいにシャワールームもある、使ってもらって構わない」
「竜星、何から何まで悪いな」
「気にするな。強盗退治を手伝ってもらった、ほんのお礼だ」
このまま行けばあのHOTELまで逆戻りする羽目になるところだったので、ありがたくお世話になることにした。
――――――――――ダイバートポロジム本社ビル、諮問室――――――――――
ぼんやりとした三日月。
微かに照らされたデスクが一つあるだけの空間にて、白いアンドロイドは件についての追及を受けていた。
『……結局、自己判断で取り逃がしたんだな。――標的を』
『…………そうだ。ベリル・ウィーバー社長』
『失望したよ、SB1-TR001。――――連れて行け。記憶メモリを全削除の後、廃棄処分とする』
『……………………』
小脇にSPの黒スーツの腕が入ると、そのアンドロイドはされるがまま部屋の外へと連れ出された。
『不完全な世界だ。傭兵アンドロイドに自我が目覚めるとはな……』
ブロンドのオールバックを櫛ですくと、親指でそれをへし折った。
『世界は常に完璧でなければならない。――――SB1-TR002に追わせるか……エネオプ支部のアーザフか』
懐から取り出したホロフォンからフードを深く被った者のホログラムが出現した。
『夜分に失礼、ウィーバー氏』
『やあ、アーザフ支部長。……如何されたかな』
『共同開発中の新作アンドロイドの仕様についてミーティングの場を設けたい。可能か?』
『明後日の16時頃であればスケジュールが空けられるが、構わないか』
『ああ、大丈夫だ。……突然の相談で済まなかった』
『気にするな、アーザフ。――では続きは当日に』
『弊社の13Fにある会議室で待っている、ウィーバー氏』
「……、……、……、……」
―― ―― ―― ――通信は終了した。
幕間【Neo satelliteへようこそ!】
ここはスペースシップをオーダーメイドで製造している、駆導竜星とジェイク・マキシムという2人の店長が経営しているお店。
サイバーポリスに出店してから3年とのことだが、宇宙への個人旅行による需要の高まりに加えてシップの完成度の高さから売れ行きは好調らしい。
「玄関周りは工務店っぽいけど、入って右向くと妙にカフェっぽいよな」
ブリトーやハンバーガーといったファーストフードの自販機にコーヒーメーカーといい、スペースシップの専門店にしては異様に居心地が良い。
パキラの観葉植物とウォーターサーバーを挟んだ先にある窓際のカウンター席からは、悠々とサイバーポリスの街並みを一望出来る。
「アルくんの言う通りだね。……竜星さんとジェイクさん、このスペースでもお店をやってたりするんですか?」
「いや、実は単なる休憩スペースなんだ。……ジェイクがどうしてもと言うから作ってみたが、街の景色を見ながらカフェオレを飲むと良い息抜きになる」
「そうだろう、やはり作って正解だったな竜星」
「……ジェイクは隅でブラックコーヒーを啜っていただけじゃないか」
「ギクッ……」
「えぇ……。ジェイクさん、竜星さんに内装全部任せてたんですか?さすがにそれは……」
(オレもキネシスと同じこと考えた)
「待って! 王は運搬界のキングだぞ!リフォームに必要な建材はこの王が運び込んだのだぞ!」
「だが、その9割はカフェスペースにしか使われていない。店舗スペースの分は俺が運んできたが……」
「余計なことを言うな、竜星!」
オレとキネシスは揃って噴き出した。
「言えば言うだけ墓穴掘ってんじゃねーかよジェイク!……あの工房の横に飾られている額縁のヤツって、レコードか?」
壁に掛けられた『SAMURAI』という字と、牙の生えたドクロが描かれたメッセージ性強めのジャケット。
「よく知っているな、アルジ。……あれは今から1000年前の音楽レコード。最近市場で買った骨董品なんだが、あいにく蓄音機が無いから装飾として壁に掛けているんだ」
赤と黒の色使いが白い頭蓋骨と組み合わさり、中々にイカつい印象だ。
「そんな1000年前の品なのに物持ちが良いんだな。……というか市場に売ってたって言ってたけど、これってそんなに珍しくないのか?」
「落とし物界のキングに言わせれば、SAMURAIのレコードはアンダー区にやたら落ちている。大した貴重価値は無いのだ」
謎のレコードで盛り上がりつつ、閑話休題とばかりに一番気になっていたことについて尋ねてみる。
「スペースシップって、何処で作ってるんだ?」
「このビルの屋上に構えた工場なんだ。この2層には地下がないことと、飛行テストのしやすさを兼ねてな」
建物正面には電子機器用のパーツ市場しかなく、最下層まで日光を取り入れるためか超巨大な吹き抜けが存在するようだ。
「立地を思えば、確かに理に適っているかもな」
「そうだろう、アルジよ。屋上で一服するコーヒーもまた格別……」
「ジェイクさん、そればっかりだね」
「コイツは仕事が絡まないといつもコーヒーだからな」
「何だと貴様らっ!」
キネシスどころか、大人しげな竜星まで堪え切れずに笑みが溢れてしまった。
ここを訪れてからというものの、サイバーポリスの冷たい印象がガラリと変わってきた気がする。
……何というか面白いな、この街は。




