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アルジキミヒト  作者: ユッキング加賀
第6章、スピンオフ◇ Episode of ネガフォルテ&総集編&新約・分福茶釜コラボ編「妾からの施しを、ありがたく受け取るとよい!」

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スピンオフ◇Episode of ネガフォルテ【Re:ツミから始まる刑務所生活】Vol.4 Final「妾は わるわる罪人じゃ。」

前回のあらすじ3行じゃっ!

「ビートアイランドの脅威になりかねないゾンビを終わっているメンバー構成の班で真夜中に捜索……とほほ」

「……とかなんとか話しておったら、突然妾達の前に昆虫キメラみたいなとんでもゾンビと遭遇したのじゃ」

「囚人服まで破かれて貞操のピンチ!――妾の貧乳はステータスじゃぞ、希少価値なんじゃぞ!!……これだけは何としても伝えたかったのじゃ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「泣いても笑ってもこれがスピンオフ最終回っ!ぶくまとか⭐︎評価とかしてくれたら……、妾にはんばーぐを作る権利をくれてやろうぞ!」


(※本作はアルジキミヒト本編28巻までのネタバレを含みます)

 ――――「縺翫l縺ィ縺。縺九¥縺ョ繧オ縺ヲ繧薙〒縺翫■繧?@縺ェ縺√?縺?〜?」


「反撃の狼煙…、そろそろ上げてやろうぞ。

『イファンシアラクネリボン』――恨烙変異(バグビーフォーゼ)!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『恨烙変異!――それはプライドインセクト使用のコマンドだ。では、変異プロセスをもう一度見てみよう!』


「いつも思うんじゃが、この『人の心が分からない王』のような声色のナレーションは何処から……」

『早くしてください』

「あっ、はい」


『アラクネ・マザーの恨烙変異コマンドを受けて限界点を超えた同調係数が、インセクト内に凝縮されたゾフォスロンエキスと融合。展開された変異空間の中、僅か0.05秒でネガレディドレスへと投射成形され、恨烙変異を完了するのだ』


 静寂な暗闇の変異空間に包まれたことで、妾の変異が開始された。


     ◇

 プライドインセクトを小気味よく鳴らす。

『タン♪タン♪タタタン♪』

 黒いロングヘアーは鮮やかなアメジストのようなカラーへと流れるように変貌。

ビリビリに胸元が破れた囚人服も、蜘蛛の巣を思わせるデザインの暗紫なレースドレスへ瞬時に変化。


     ◇◇

『タン♪タン♪タタタン♪』

 蜘蛛の刺繍が美しいドレスシューズに黒いマニキュア。

妾の真っ暗な瞳はアメジストパープルの虹彩を得た。


     ◇◇◇

『タン♪タン♪タタタン♪』

妾を豪勢に飾る金色のティアラ・耳飾り・蜘蛛のペンダントが出現。

……かつての焼け爛れの痕に切り傷の縫い目、四肢やらを繋ぐ役目を終えた継ぎ目。

それらを隠すような蜘蛛糸の白い包帯を敢えて拒否する代わりに、黒と紫のグラデーションタイツには足を通してやった。


…………さぁ、これにてドレスアップのプロセスは完了じゃな。


「恨めし烙印、差す落陰。――闇夜と反逆、『ネガフォルテ』!!」

(ビシッと決まったな、妾の変異)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おお……何という美貌。さすが音俄(ねが)様でございます!」

変異を完了させたところで妾を褒め称える弁護士パシリカ・リッスンと、その頭上で蜘蛛の紋章が描かれた小さな旗をフリフリとさせるモストニとスピテ。


「縺ゥ縺?@縺溘?~?」

「相変わらず何を呻いておるんだか……。とりあえず得物を取り戻すかの――『ザトカリスリボン』」

 妾はザトウムシとアノマロカリスが折り重なったクレストのリボンをセットし、『タン♪タン♪タタタン♪』とプライドインセクトを鳴らしてやる。


――――「縺ゥ縺?@縺溘?~?」

 ヤママユガの翅とイナゴの脚で一気に距離を詰め、ギラファノコギリの大顎を生やした両腕を振り翳してくるゾンビ。

「ふっ、効かんなぁ!――せいやっ!!」

大顎を腕でそれぞれ撥ねのけてから回し蹴りを決め、樹の幹までぶっ飛ばしてやったわ。

――――「縺翫>縺阪s縺。繧?≧縺励※繧薙?縺九h~!」

 再度すっ飛んできながら、今度は腹部の裂けた穴からミミズの触手が飛び出してくる。


「しつこい男はモテんぞ。――――――――やっと来よったか、ザトカリス」

雑木林の奥から主を求めて現れた……自立型の黒い日傘。

その先端から伸びたザトウムシの細長い8本脚には脚毎にアノマノカリスのヒレが10枚生えており、健気にそれをテコテコさせて来てはハンドル部分を妾の脛に擦り付けてきている。

「愛いヤツよのぅ~。――ネガレディ・ズバズバ・サイクロン!」

ヒレを刃のように立てて芭蕉扇のように一発振り抜くと、発生した小さな竜巻が迫った触手の数々を切り刻んだ。

――――「縺ゥ縺?@縺溘?~!」

 竜巻状の斬撃はゾンビを巻き込んだものの、切れ目が即座に塞がってしまいあっという間に元通り。


「切断系が効かぬのならば、叩き潰すのみじゃ!『カイシュラブリボン――タン♪タン♪タタタン♪』」

次に日傘の先端をムカデの鎖とカブトガニ型のハンマーというモーニングスターに変形させてみる。

「ぺしゃんこになってしまえ!――ネガレディ・ブンブン・スマッシュ!!」

鎖をしならせてから一息にゾンビの頭へカブトガニの頭でぶっ叩く。

「――――!……縺阪∩縺九o縺?>縺ュ縺?~」

強い衝撃で体内までめり込んだ首じゃったが、風船が膨らむように回復してしまう。

(なかなかやられんよなコイツ。まあ……ゾンビじゃからか)


「なら……ならば……『シザーピオンリボン――タン♪タン♪タタタン♪』」

今度はカニやサソリのような生物的鋏に換装し、まずは右手首……次に左手首と、強く挟み込んでは次々に斬り捨てる。……しかし。

「縺翫l縺ィ縺。縺九¥縺ョ繧オ縺ヲ繧薙〒縺翫■繧?@縺ェ縺√?縺?~」

い、いかん……。変異前のキックの時のように脚が生えて身体へ戻ろうとしておる。

「戻って……くるでないわぁ~!――ネガレディ・チョキチョキ・イレイザー!!!」

駆け足気味な手首のゴキブリ脚はちょこまかと突き連打を回避してしまい、そのままちょこちょことイナゴの脚を登って元の部位にそれぞれ収まってしまった。


「はぁ……はぁ……、つ、疲れたぁ~。――――ちぃッ……!」

両腕を上に向かって伸ばしていると、またしてもくびれたお腹へ絡み付いてくるミミズの触手。

「ムショでも!休憩時間ぐらい!あるじゃ……ろうが!」

何度切り落としても妾を捕まえようと次々に迫ってくる触手の数々がとても煩わしい。


(心を持たないが、無機物でもないとなれば影蜘蛛を飛ばしてバグジャマー化するのも不可能、と……。

かーっ、面倒な再生能力のせいで物理一辺倒な妾ではどうすることも……)


――――――――「これが心にキラめきを取り戻す、宇宙(そら)に瞬く輝き!

             アドレディ・ポーラーセブンス・テンペスト!!」

突如、視界外から飛来した七色に煌めく7体の天道星影。


「縺翫▲縺コ縺。繧??縺?′繧ゅ≧縺イ縺ィ繧翫?縺医◆縺ェ~!!」

イナゴの脚で開けた森をゾンビらしからぬ瞬発力で縦横無尽に駆け回るも、しっかり天道星影に追い付かれて全弾命中した。

「おぁ、いや……こんな時間帯に起きてくるとは思わんかったぞ、()()っ!」


針葉樹の頂点に佇んでいたのは、北斗七星の装飾が散りばめられた白銀のアドレディドレスを身に纏いし銀髪の昆楽戦姫。

「それじゃ、いつものやるね……。


――――『タン♪タン♪タタタン♪タタタン、タン♪』

果てなき空に輝く星々、アドフォルテ・グランシャリオ!――アナタの願い、叶えてあげるねっ!!」

ピンクのチューニングインセクトを打ち鳴らし、最後にピースまでする無邪気っぷり。


(ふぅ~、決まった決まった)

「おい、綾瀬。……あのゾンビ、まだ改心する気配が感じられないのじゃが」

「えっ。――――のわぁ~!?」

反撃と言わんばかりにイナゴの脚で加速したゾンビのドロップキックがアドフォルテの腹へ炸裂し、奥の幹に激突してしもうた。

「おいっ、アドフォルテ!?無事なのか…?怪我とかしとらんよな……??」

「痛っつ……。だ、大丈夫だよ…ネガ……。これぐらい、何てことは……!」

アドフォルテの背中を摩る中、容赦なく攻めの手を緩めないゾンビはミミズの触手を伸ばしてきた。


(心を持たない有機物か。ウチの力は浄化特化だから、通用しないんじゃどうしようもないし……。

 ――――いや、物理に特化した義妹ならあるいは……?)


「ネガフォルテ!……ウチの力、使って!」

変異解除してしまった綾瀬から放たれた、白いレディバリンのようなリボンの眩い閃光。

妾は日傘で触手を薙ぎ払うと、この手に握っていたイファンシアラクネリボンへその白い光を浴びせてやった。


――変わった。

左右に分かれる黒白の帯、星に跨る蜘蛛のクレスト。

「見てくれはまさに二律背反。……そうさな、『アラクネアンティノミアリボン』と呼称してやろう」

アドフォルテの持つ優しさの光と、妾の持つ反逆の闇が溶け合い……一つとなる。


――――――――「『アラクネアンティノミアリボン』 ……極地(レギオンズ)、恨烙変異――『タン♪タン♪タタタン♪』」


アメジストのような闇を纏った装衣の上から掛かる、北斗七星が刺繍された純白のヴェール。

紫と白のウエディングドレスと化したネガドレスじゃったが、顔に掛かった薄い布を払い除けると妾は投げキッスを正面に飛ばす。

左手に出現した白い蜘蛛の糸が絡む黒薔薇のブーケを頭上に投げると爆散し、花びらが舞い散った。


――――『タン♪タン♪タタタン♪タタタン、タン♪』

「光も闇も享受せよ、妾の輝く邪悪さを……。生き様全てを心より愛すのじゃ」

これにて妾は極地へ至る。

「……(あざな)は、ネガフォルテ・パラドックス。――ふふ。汝の矛盾、…今こそ正してくれようぞ」


「……手に入れたのか、綾瀬と同じ…極地の力を」

まだ指先まで震えている。

完全に馴染んでおらぬのか、アドフォルテの光が……。

「おい、綾瀬。……そのツラを貸せ」

「えっ…、どういうこと?」

「あ〜〜もう、いいから妾の瞳をじっくり見ろ!」

「う、うん……。綺麗、だよ……?――――ッ!?」

キョトンとした綾瀬の表情。

……妾の初めての接吻をその唇に捧げてやった。

「……っ、はむ…うん……。ぷはぁっ……、っはぁ…はぁ……。――うむ、力が安定してきたぞ」

(やはりな。力の持ち主である綾瀬の唾液を取り込んだことで震えが収まったようじゃ)

「ね、ねがぁ……。いま、ウチになにを……。ていうか、ウチ初めてだったのにめっちゃ舌絡めてきたし……」

義理の姉妹同士による熱い誓いのキスを終えると綾瀬の顔が紅潮し、瞳も蕩けて見えてきた。

「綾瀬、愛は無敵なのじゃろう?その…綾瀬の愛、妾に全部……残さず寄越せ」

「……大好き、音俄」

周りが見えなくなったらしい綾瀬の白い腕が妾の肩に回ってきた。

「は…はぁぁ〜〜!?」

(いかんいかん、自分から言っててなに顔を熱くしておるのじゃ妾はっ!)

妾は内心申し訳なさ気にらぶらぶモードの綾瀬を振り払うと、迫り来るゾンビを前に立ち上がった。


「おぅ…、キマシタな尊い瞬間……!こうしてはおられません。――モストニ、スピテ。我々も音俄様のお力になりましょう!」

「もっしゅ〜!」

「ハネヨっ!」

すると、妾の同志となったアンセクト応援団が3つの闇の粒へと変わり、妾の手の中へと収まった。

黒いリボンのクレストには2匹の古生物とトビムシが肩を並べた姿が。


「ふっ、命名してやろう。……貴様は今から『パリスピモスリボン』とする!『タン♪タン♪タタタン♪』」

直後、日傘が2本に分裂してしもうた。

傘部分と先端には鉤爪のような棘が生え、ハンドルの角部分には黒くて大きなパシリカの単眼が出現した。


「縺翫▲縺コ縺。繧??縺?′繧ゅ≧縺イ縺ィ繧翫?縺医◆縺ェー!」

「いわゆるトンファーといったところじゃな。――――たぁ〜!」

一瞬だけ手のひらの握る力を緩めることでハンドル部分を軸にぐるりと回し、昆虫化ゾンビが向けてきたギラファの大顎へ傘を振り出す。

「縺ゥ縺?@縺溘?~!?」

――バキッ!

傘先による弍撃決殺の打撃は右腕の大顎を破壊した。

不思議なことにその大顎は再生されなかったのか、もう一方の大顎の攻撃に対しては再度トンファー日傘を回転させて受け止めつつ、パシリカの硬質単眼プロテクターによるワンツージャブからのアッパーを叩き込む。

(トンファーの使い方は映画で知っておったのじゃ。ありがとう…○ャッキー)


「一息置いて集中しようと思っとったら、瞼の裏にも視界が…?いや、妾の視覚がトンファーの単眼と繋がっておるのか」

単眼には暗視能力もあるらしく、ゾンビの放った触手も華麗にステップしながら回避。

更に傘を開いて触手攻撃を弾いてもやった。


「ほう、この持ち手は眼の部分を接続(ジョイント)出来るのな。――使ってみるかの、そりゃっ!」

更に日傘の単眼部分を回して接続面を向かい合わせることで一つの武器に変形させてみる。

試しに傘部分を上に向けてジャンプすると何もないハズの空へ取っ掛かりが出来たような感覚が生まれた。

「おっ…、これは今までにない感覚じゃな」

上手いことその場に浮遊出来てしまったので、振り子のように勢いを付けて更に上へ上へと新たな取っ掛かりを頼りに空高く跳び上がっていく。

「まるでサーカスの曲芸よな。……ふふふ、これは気に入ったぞぉ〜!」

それに、傘同士の先で球状の蜘蛛の糸の塊が出現しており、星が瞬く夜空を一段昇る度に数回りも大型化していく。


「縺翫>縺セ縺ヲ縺ォ縺偵k縺ェ〜!!」

イナゴの脚で跳躍し、ヤママユガの翅で追いかけてくるとは何という執念。

……じゃが。

――――「掛かったな。夜空に拡がる、妾の領域(テリトリー)に踏み入ったことを後悔させてくれるわ!」

満月の灯りを背中に受けながら、接続させたトンファーとともに妾100人分はあろうという巨大な糸球を振り上げ……。


「妾の罪、その身に刻んで冥府へ墜落()ちろ!――――ネガレディ・ワインド・トゥルースフェイトぉぉー!!!!!」


底知れぬ圧倒的な絶望の闇を纏った糸球を叩き付け、闇で闇を洗う必殺の一撃が炸裂した。

「縺?″縺ヲ縺?k縺?■縺ォ…… 縺九?縺倥g、縺サ縺励°縺」縺?……」

ゾンビを形成する悉くが粉砕、玉砕し、森林に隕石でも落ちたようなクレーターを爆誕させたことで、このビートアイランドに大喝采をくれてやった。


「あっははははは!なーっははははははー!!」

などと妾は口では豪快に笑いつつも、日傘同士の接続を解除してそれを開いて優雅に満月の夜からアドフォルテの元へと舞い降りた。


考えてみれば、大層簡単なことであったではないか。

無理に自分自身の襟を正す必要などない。

過去にいつまでも囚われる必要もない。


そう、妾は……妾じゃ!。


「もう、吹っ切れた。

――今から妾は完全に悪を名乗る!ははは…、妾こそは全ての闇を支配する……絶対的な(プライド)の女王、七星音俄(ネガフォルテ)であるっ!!」

腕組みして仁王立ちからの宣言セリフ。

(シマったな。ふふふ……)


「でもウチからすれば、今日のネガは終始ヒーローらしくってカッコよかったよ?」

「横からうっさ〜い!どうして気持ちよく言わせてくれぬのじゃ!――妾が悪といえば、それ即ち悪なんじゃ〜〜〜!!」


はぁ〜締まらんのう。妾。


……じゃがな、綾瀬の笑顔を見ていると不思議にも元気が湧いてくる。

刑務所生活でも、出所後に堂々と隣りを歩いていられる義妹で居てやるために。

――――妾は今、その希望を抱いて生きてみようと思った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌日の昼。


今日は面談の予定日であったため、アクリル板で隔てられた真っ白なお部屋に綾瀬と妾……それと看守のクマバチバチが監視役としてパイプ椅子に座っとった。

……クマバチバチは安定の寝落ちであったが。


「ふぁ〜あ……」

「眠そうだね、音俄」

「綾瀬もそうであろうが」

 お互い、目元に隈なんか作ってしもうとる。

思わず吹き出してしまったものの、綾瀬も同じ反応をしていたようじゃな。


「しっかしまぁ……あんな時間に起こされたというに、今日も変わらず朝6時半起床じゃぞ?もう少しこう、手心をじゃな……」

受刑者の寝不足なぞ素知らぬとばかりに、相変わらず草むしり&木工作業を命じてきよる。


……しかし、心なしか他の受刑者どもが優しかったように感じたな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『奉仕活動中に邪魔して申し訳ございませんでしたネガフォルテ様ぁ~~~!!』

『トッピングと称して色々入れてしまいすみませんでした!!』

『便器、お部屋の便器舐めて掃除するからぁ~!!』


『おい、タガメドラにミズ・ヴィオランティスども。……土下座しとらんで表をあげよ。

別に怒ってなどおらぬ。――――この身なりでも妾はネガフォルテ、悪の女王である。

悪とは己を貫き通す槍、誇り(プライド)である。

……(うぬ)どもよ。この妾に続き、自らの悪を大切にするのだな』


『『『ネ、ネガフォルテ様ぁ……!!』』』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あのおしゃべりどものことじゃ。

妾のことを言いふらしてすっかりイメージ回復といったところじゃろうか。

……おかげでヤツら、虫を通り越して金魚の糞と化したのじゃが。


「まぁ、いいじゃん。おかげでさっきレディバリン王子から揃って感謝状貰えたし、音俄もゾンビ退治のお礼で変異用の一式と日傘を返してもらえたりもしたし」

今回を機に、妾を看守の監視下に置く代わりに島内パトロールと肉体労働に駆り出すつもりらしい。

そのために色々返却されたワケじゃが、利用されている感があってあまり嬉しくはなかったの。


「それにあの後、王子から事情を聞いた国王の計らいで特別に『刑期が3年まで短縮』されたし……」

「……えっ、待つのじゃ。刑期短縮なんて妾は初耳……」


そんな他愛もない話をしていた時のこと。


「おい綾瀬。チューニングインセクトの紋章が点滅しとるぞ」

「あぁ〜、チューニングスタンプ?アーくんから連絡かな。――通話オンにしてみよっか」

綾瀬はそう言うと、卓上に置いたピンクの変異用カスタネットの背にあるテントウムシの紋章をそっと撫でた。


――――『……綾瀬ッ!オレだ、アルジだ!!今3027年のサイバーポリスに居るんだが、とにかくやべえ軍団に囲まれて大変なんだ!行けそうなら手を貸して欲しいんだが行けるかー?!――おっ、コイツ変なビーム撃ってきやがって〜!』


「……だる。やっぱ修羅場じゃん。(ビームってことはロボットとか?)……どうしよっかな〜、ウチの力って生き物か闇概念みたいなの相手じゃないとマトモに使えないんだよね〜〜〜。……ちらっ、ちらっ」

なんか、綾瀬が目配せしてくるぞ……。

「しょ、しょうがないの〜。ちょうど気晴らしが欲しかったところゆえ、力を貸してやらんこともないがな?」

取り敢えず部屋の隅に置いていた日傘を蜘蛛の糸で手繰り寄せた。


「これに触れば、向こうのスマホみたいなのに押しといたスタンプのとこまで瞬間移動出来ちゃうからね」


……それって、妾のプライドインセクトも可能だろうか。


「えいっ…えいっ!」

決心が付いたので自らのスタンプを卓に押してから綾瀬のチューニングインセクトの紋章に触れてやった。

「の、のわぁああ~~!?」


〜〜〜〜〜〜10分後〜〜〜〜〜〜


「(げっ、ゲームのログボが途切れてた……)おかえり音俄。……どうだった?サイバーポリスは」

「ま…また、随分な変身をしとったわ……」

いやいや、あんなもの見せられてどうもこうも……何と言えばよいのやら。


「(あぁ〜、いつものアーくんかな)っていうか板の向こうじゃなくてウチの方に戻ってきちゃ――うわぁ!?」

いやぁ~、にしても疲れた疲れた。早く回復せんと……。

「綾瀬ぇ~。またキス、しとくれ」

「えっ、ちょっ…音俄ぁ~!……もう、かわいいんだから」


「最後まで読んでくれてありがと、七星綾瀬だよ」

『ネガフォ……七星音俄じゃ』


「2人でこれから一曲歌ってあげるから、最後に聴いてってね。――ウチと、」

『……妾の』


「ロマンティック・スパイス」『…ろ、ろまんっちっく・しゅぱいしゅ……』


「\昆楽変異!/」『\恨烙変異!/』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ロマンティック・スパイス】


作詞:ユッキング加賀

唄:♡「アドフォルテ(七星綾瀬)」|♦『ネガフォルテ(七星音俄)』



♡「まだ着信…? まだ着信…?」

♦『また背信…? また背信…?』


♡♦「『アナタ だけの カノジョ なんだから~』」


~間奏~

 「授業中 思い出す キミの ヨ・コ・ガ・オ」

 「ここから 抜け出し 駆けつけて あ・げ・た・い」

 『苦しめる感情 あの日の惨状 とめどなく 耳にこだまするぞ 残響』

 『(わらわ)に刻まれた心の傷が だから(うぬ)を傷つけた この爪が』


♡♦「すき~」『キラ~イ』「すき~」『キラ~イ』

♡「花びら千切る手が 止まらないよ」


♦『失いたくない 嫌じゃない? だって汝を 信じたい』

 『スパイス効いた嗤いが 忌むべき明かりが』


♡「Shining! ウチがそう 抱き締めて」

♡♦「『あ~げ~る~よ~』」


♡「カプサイシン カプサイシン」

♦『トウガラシが 効いたような~』

♡♦「『カプサイシン カプサイシン』」

 「ヒリヒリ」『しちゃう』

 「『恋が したい な~』」


♡「寂しくなるたび 脳裏浮かぶ あの 記憶(きーおーくー)

♦『振り返るなと 前進めよと』

♡♦「『ヤ~ダ~ す~き~!!』」


♦『後悔に…? しない…?』

♡「シンパシー…? 我爱你(ウォーアイニー)…!」


♡「カプサイシン カプサイシン」

♦『トウガラシが 効いたような~』

♡♦「『カプサイシン カプサイシン』」

 「ヒリヒリ」『しちゃう』

 「『恋が したい な~』」


♡♦「『ロマンティック スパイス』」

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