スピンオフ◇ Episode of ネガフォルテ【Re:ツミから始まる刑務所生活】Vol.3「妾は たたかう罪人じゃ!」
前回のあらすじ3行じゃっ!
「アドフォルテがさも当然のように面会に来られた理由。そう、ネガフォルテはいつの間にか七星音俄じゃった」
「裁判内容を振り返りつつ、七星綾瀬の今後を案じておると突然サイレン音が!」
「司法解剖して土葬した例の被害者遺体じゃったが、どういうワケかゾンビ化したらしい。……意味不明じゃな」
「読者よ、今日も妾のスピンオフを読みに来たのじゃな!愛いやつよのぅ……。もし、ぶくまとか⭐︎評価とかしてくれたら……、今夜は妾の太ももを”まっさーじ”する権利をあ…与えてやらんこともないぞぉ……?」
(※本作はアルジキミヒト本編24~28巻までのネタバレを含みます)
――今の妾は言ってしまえば、ハリガネムシでも入ったような歩く屍といったところじゃ。
「あぁ〜だりぃよ……」
隣りでタガメドラが唸り声を上げておるし。
「あの半端女のトッピング探しのせいでメシ抜きなの、イヤですわねぇ〜」
「それ以上喋るなよ姉貴。あ〜あ〜、マジで腹減ってきちまうじゃねえかよ……」
因果応報なミズ・ヴィオランティスの双子姉妹。
「ふぁ〜あ〜、ねっむ……。――――zzz……」
「…って、歩きながら寝るでないわ!どうして、そうクマバチバチは変なところで器用になっとるんじゃ!?」
太っちょ看守に至ってはこの始末。
……え〜と。
時間は知らんが…たぶん深夜の中の深夜、『ド深夜』であることは間違いないじゃろう。
2月下旬ともなれば吐く息もまだ白いし、妾達囚人は揃いも揃って薄っすい横縞の上下モノクロ一色ときた。
「ビートアイランドには人型が妾以外おらんせいでブラも手に入らんし……。これならニンゲン向けのとこに入ればよかったのう〜」
看守だけは贅沢にもガウンコートなんて着用しておる(なんと生意気なことか)。
「はぁ……」
両手に息を吹きかけ暖を取ってみる。
(ゾンビ捜索開始から体感30分程度は経過したじゃろうか……。う〜、まだ冷えるのう)
首元も寒いゆえ、七星綾瀬と違いロングヘアである妾はそれをマフラーのように巻き付け、寒さを凌ぐことにした。
にしても司法解剖されたニンゲンの遺体が土葬され、それがゾンビとして蘇ってビートアイランドの裏山をほっつき歩いているとか。
「いや、ありえんありえん。ハイチ辺りのおとぎ話か何かでもあるまいし……」
――――「あれ…なによ?もしかして、ニンゲン…じゃなくて、ゾン…ビ……?」
タガメドラは恐怖で顔が引き攣った。
「ちょっと!クマバチバチさん起きて!起きてくださいまし!――起〜き〜ろぉ〜!!」
「くっそ!コイツが仕事すんのは賄賂突き付けたときぐらいじゃねーか!……お姉ちゃ〜ん、怖いよあれぇ〜!!」
……なんじゃこの姉妹は。
「縺イ縺輔@縺カ繧翫□縺ェ縺?¢縺カ縺上m縺ョ縺斐☆繧阪j縺イ繧薙↓繧?≧縺翫s縺ェー!!」
…………虫が良すぎた。
「ゾンビ、としか聞いておらんかったが…アレはなんじゃ」
イメージしていたのは映画でよく見るような、至る箇所がボロボロだが少なくともヒト型……といったもの。
(BB×2時代に同志どもと偶にニンゲンの映画を借りて鑑賞しておった、あの頃が懐かしいのう……)
顔は話で聞いていたとおり、例のナンパ男じゃった。前歯も目玉も不揃いだが、当事者なので憶えておる。
しかし、問題はそれ以外じゃ。
「あの翅はヤママユガか……?して…腕にはギラファノコギリっぽい大顎と、オマケに脚はイナゴとな。――っげ、腹の穴からミミズまでから伸ばしよる。気ッ色悪いのぅ〜コイツ」
○君怪獣○イラントの方が遥かにセンスが上だとばかり思っていると、早速それは動き出した。
「縺阪∩縺九o縺?>縺ュ縺?〜!」
正直何言ってんのか知らぬが、恐怖とはまた別の本能的な『執着』が窺える気持ち悪さじゃな…と思った。
「うぎゃああ〜助けてぇぇ〜!!」
走るのが苦手なタガメドラが開口一番にミミズの触手に捕まった。
『ジャーン!ジャーン!』
お腹の銅鑼をギラファの顎で連打され、その度にやかましい音色を鳴らされている。
(全てがうるさい。いま何時じゃと思うとるんじゃコイツ)
……とは思うものの、見て見ぬふりが出来ない性分ゆえに最寄りの樹から太い枝まで登ってみる。
「ごめんなさいごめんなさい!ネガフォルテのメシにミミズぶち込んでごめんなしゃいぃ〜〜〜!呪われたんですわぁー!?」
「…………(失神中)」
(なんでこんな雑魚どもに苛められとったんじゃろな、妾。……ここからであれば狙えるか)
ナンパゾンビは追加で腹部から伸びたもう2〜3匹でトッピング姉妹を拘束しているワケじゃが、逆に自身も身動きが取れなくなっていることは明白。
「虫じゃないが虫っぽく…、とぉ〜!」
「死 角 か ら の 飛 び 蹴 り !
ネ 凄
ガ い
レ じ
デ ゃ
ィ ろ
・キーック!! 」
足場にしていた枝からゾンビの頭目掛けて会心の一撃となる某キックを浴びせてやった。
……ゴトッ、ゴロゴロ……。
「ね、ネガフォルテが助けてくれたのか……?
「あんだけ色々してましたのに、見捨てなかったんですの……?」
ゾンビの頭がぶっ飛んだと同時に、囚人どもの拘束が一斉に解除された。
「足手纏いじゃ、寝惚けてるヤツらを連れてさっさとムショへ帰れ。……邪魔で気持ちよく暴れられぬだろうが」
「「(キ、キュン……)――はい、直ちに!」」
…
……
………。
「やっと失せたか、あの虫ども。――――――どうせ今の蹴りも大して効いちゃおらんじゃろ?……不躾なナンパ男めが」
期待はしていたのじゃが生憎ヤツはゾンビ。
吹き飛んだ後頭部からゴキブリのような脚が生えてくると独りでにトコトコと突っ立ったままの胴体まで行き、合体ロボットのように元あった位置にすっぽりと戻ってしまった。
「きっしょ、何喰ったらこんなナリになれるんじゃ。……他の土葬されていたミューセクトの遺体か?――って〜!」
すると腹から伸びた6本のミミズ触手に捕らわれてしまい、四肢とくびれのあるお腹、加えて首元まで巻き付かれてしまった。
「ちっ…。耐性のおかげでダメージは無いにしても、ネガレディの力が無ければ火力不足か……」
次に身動きの取れない妾に対し、ギラファの顎を胸元へ突き立てると横にビリビリっと切り裂かれてしまった。
「縺阪∩縺九o縺?>縺ュ縺?〜?」
「くっそぉ〜、妾の囚人服をよくも!……って、これでは妾の乳房が見えそうではないか!?や〜め〜る〜のじゃ!ていうか隙間から手突っ込もんで揉もうとするなぁ〜!!」
囚人服内へ侵入されまいと首を振り回して距離を取ろうとしてみる。
……ん?なんかこのゾンビ、首を傾げてないか?――――そういうこと、じゃったか。
「汝め、この令和のご時世で解っておるのかっ!?――妾の貧乳はステータスじゃぞ、希少価値なんじゃぞ!!……幾ら妾がAカップだからって、この体格を愚弄するとは…心亡き変態ロリコンゾンビとて許せんっ!ぐぬぬぬ……ガブっ!!」
首に巻き付かれた触手の存在が幸を奏したな。
「ほう、怯んで触手を緩めたな?――ハッ!」
ナンパゾンビのデコに頭突きをかまして拘束を解く。
隙を見てバク宙しながらの下顎へのキックを決めつつ、そのまま距離を取ってやった。
……とは言うものの、一歩でも下がれば崖から真っ逆さまといった状況。
「ニンゲンの言葉で言うところの『背水の陣』、と言ったところかの……」
(逃げ場はないようじゃな)
腹括って、大人しく裸体晒して乳でも揉まれてやろうか?
……いや、キショいから却下じゃな。そんな娼婦のような真似はプライドが許さん。
――――その時、背にしていた崖下から伸びた白く細い鎌のような前脚が月明かりに照らされたことで、妾の視界が認識した。
「なっ、ゾンビの新手か!?」
「助太刀に参りましたぞ、音俄様」
……ああ、裁判で妾を弁護していたヤツか。
「パシリカ・リッスン…"ろりこん"か」
「違・い・ま・す・よ、音俄ちゃまァ〜!私は、紳士でございます」
メガネを正すような手癖で2つの大きな単眼を摩るアンセクト。
「それより、音俄様の新しいお供をお連れして参りました。是非、音俄様へ謁見させていただきたく……」
「うむ。……通すとよい」
(ほう、気が利くではないか。……斬首確定なロリコンのくせに)
「もっしゅ、もしゅもしゅ……」
「スピテ!あぁ〜う!」
黒い三眼を持ったウネウネとした仲間と、土下座しながら何かを訴えかけてくるような涙目でこちらを見てくる白い仲間。
「こちら、モストニとスピテでございます」
「構わぬが……随分とその、クセが強いというかの……」
「もしゅもしゅ〜」
モストニと呼ばれた三つ目で親指ほどしかないカンブリア系のチビだが、棘の付いたような前脚でクマノミの子どもを掴んでモサモサと丸い口で食べておるし。
(マイペースじゃが、ハムスターのような仕草でなかなか愛いやつじゃな)
「スピテヲイジメナンデ…」
しゃがんで観察してみると分かるのじゃが、脱皮したばかりで上手く剥がれていないのか、真っ白なシスター服のようにも見える。
黒ゴマ一粒程度の大きさながら、太い触角が腕のように垂れ下がっており…やはり土下座しているようにしか見えん。
(じゃが…情けなさ過ぎて母性がくすぐられてしまう。……こちらも見るたび悪くないのう)
……っと、そんな場合ではなかったな。
距離を測ろうと背後を見るも、昆虫化ゾンビとはザッと大股5歩程度と言ったところ。……選択肢は限られていた。
「だぁ〜〜〜もう!…力を貸せ、妾の新たな同志どもよ!」
――面妖な面々であるが、協力するのであれば惜しんだりなどせぬ。
「ささ…、こちらをお納め下さいませ。刑務所から許可を頂きお持ちしてまいりました。音俄様のプライドインセクトとリボン一式でございます」
「うむ、ロリコン呼ばわりしてすまなかったな。……良い働きぶりじゃな」
「有り難きお言葉、誠に恐縮でございます」
受け取った黒いカスタネット状のアイテムをぱかっと開き、中に蜘蛛の金クレストを宿したリボンを装着した。
――――「縺翫l縺ィ縺。縺九¥縺ョ繧オ縺ヲ繧薙〒縺翫■繧?@縺ェ縺√?縺?〜?」
「反撃の狼煙…、そろそろ上げてやろうぞ。
『イファンシアラクネリボン』――恨烙変異!」
「極地、恨烙変異」
「……字は、ネガフォルテ・パラドックス。――ふふ。汝の矛盾、…今こそ正してくれようぞ」
「もう、吹っ切れた。
――今から妾は完全に悪を名乗る!全ての闇を支配する…絶対的な悪の女王、七星音俄であるっ!!」




