カロリーナ救出
セインフォード殿下が地下室から戻って来た。
私はカロリーナの事が心配で直ぐに声を掛けた。
「セインフォード殿下。どうでしか?カロリーナの事は何か分かりましたか?」
「ああ。捕まえた、偽カロリーナは、イザベル・ピラカンザだった。どうやら、マリアに害をなそうとフレイヤ公爵邸に侵入して毒を盛ったようだ」
セインフォード殿下の答えに、私は驚いた。
「え?私ですか?」
「ああ。偽カロリーナの正体も分かったから、カロリーナの居場所も突き止められそうだ」
「本当ですか?!」
「ここ数日間だが、イザベル・ピラカンザには人を付けて行動を見張らせていたから」
「まぁ!ピラカンザ家を見張って居たのですか?」
「そうだ。先日の王立歌劇場で君を酷く睨んでいたのが気になってね。万が一を考えて少しの間、行動を見張る事にした」
私は、そう言われて先日の王立歌劇場での出来事を思い出した。
セインフォード殿下に誘われてオペラを鑑賞にいった。
その幕間、私達はボックス席から外に出てホールへといった。
当然、ホールには沢山の貴族達がいる。
私はフレイヤ公爵令嬢として、少し前に社交会にデビューしていて、この日も沢山の貴族の方達と挨拶を交わした。
セインフォード殿下の取り成しもあってスムーズに挨拶を交わし社交の場に馴染む事が出来た。
そして偶然にも、そこにはロザリアさんのお姉様も来ていた。
最初は分からなかったけど、ロザリアさんのお姉様から私に向けられたのは憎悪や憎しみが籠もった睨む様に鋭い視線だった。
私は、その視線に気がついて怯えた。
そんな私の様子に気が付いたセインフォード殿下が話し掛けてきた。
「マリア。どうした?」
「はい。あの、あちらの女性が、私を睨んでいるので、少し怖くなってしまって…」
私がそう言うとセインフォード殿下も、女性の方を見る。
「あれはイザベル・ピラカンザだ。ロザリア・ピラカンザの姉の。姉妹で仲が悪いと聞いている。ずっと、こちらを見てるし声を掛けに言っても良いけど、マリアはどうしたい?」
そう聞かれて私は慌てて首を振った。
「そんな波風を立てる様な事をなさらないでください。それで無くても、もし私がロザリアさんじゃ無いってバレてたらと思うと不安なんですから…」
そうロザリアさんは友人が少ないから、今の所は、入れ替わった事はバレて無い。
だけど身内となれば話は別。
もし不用意に会話を交わして私がロザリアさんで無いとバレたら困る。
「分かった。でも、ずっとこちらを睨んでいるな。マリアの事が気に食わないって顔だ。ああいうタイプの人間を見ると少し挑発したくなる」
そう言う殿下に私は慌てて聞く。
「挑発って、一体、何をするつもりですか?!」
「うーん。この上なく見下した表情を返すとか?」
殿下の答えに私は思わず笑ってしまった。
「ふふふ。そんな事しなくても良いですから、もう席に戻りましょう」
「分かった」
そうして、その場をやり過ごした。
私の中では、それで終わったと思っていた。
でもセインフォード殿下は違ったらしい。
その後ピラカンザ伯爵家に密かに人をやり見張りを付けて私を守ろうとしてくれた。
その事を知った今とても嬉しく思う。
「私の事を心配して人ありがとうございます。でも殿下は少し心配し過ぎです。こう見えて私は治癒力には自信があるんですよ。怪我だって病気だって治せますし、毒だって、きっと解毒出来ます。だからそんなに心配しないで下さい」
「マリアの治癒力の凄さは私が一番分かっている。だけど、それでも君が傷つくのは、私が嫌なんだ。だから君をどんな危険からも守りたい。マリアも諦めて私に守らせて欲しい」
「…はい。ありがとうございます」
◇◇◇
それから暫くして無事にカロリーナが保護された。
イザベル・ピラカンザを見張って居た人達が、彼女の行動をしっかりと把握していてら彼女が王都から少し離れた郊外の古民家で誰かと合っていた事が分かった。
そして、その古民家からカロリーナが発見された。
怪我したカロリーナだけが手足を縛られて意識を失った状態で発見された。
残念ながら、イザベル・ピラカンザに力を貸した占い師は逃げた後だった。
この事をライトベスト審問官に話したら、恐らくイザベル・ピラカンザやロザリアさんを誑かしたのは、地底の魔王の手下で、イザベル・ピラカンザから代償を貰ったから用済みになって手を引いたのだろうと言われた。
イザベル・ピラカンザからは、魔王と取り引きした証として、左手の甲に黒百合の紋章が現れて、シオン聖国の方に身柄が引き渡させる事が決まったとセインフォード殿下から聞かされた。
私は保護されたカロリーナのお見舞いに行く。
頭には包帯が巻かれた姿が痛々しい。
私は直にカロリーナにヒールを掛けた。
そうすると、カロリーナの傷は完全に治り、彼女は目を覚ました。
「…マリア様」
「良かった。カロリーナ目が覚めたのね!」
私の近くで様子を見ていたノアールもベットの上に飛び乗って、カロリーナの様子を確かめる。
「カロリーナ!!心配したんだですよ。大丈夫ですか?」
「え?ええ。なんて言うか、私どうしてベットでねていたんでしょう?ここは何処ですか?」
どうやら、カロリーナには、拉致されて居た時の記憶が無いみたいだった。
だから私は『偽カロリーナ』の話をカロリーナに話した。
そうすると、カロリーナは見て見たかったなんて気楽な事を言う。
(一歩間違えれば、本当に身が危険だったのに)
そしてノアールは得意げに、偽カロリーナの事を暴いたのは自分だと話す。
「本当にカロリーナにそっくりだったんですよ。でもね。あたくし香りで気が付きましたの!なんと言っても高級香水の香りがしましたから」
「高級香水ですか?確かに、私はつけたことがありません」
カロリーナが、ちょっと残念そうに答えた。
「それなら、今度カロリーナに高級な香水をプレゼントするわね」
だから私は、そう言ったらカロリーナはとても喜んでいた。




