↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
X-it《エグジット》人をモノに変え、モノを人に変える、相反する力を巡る神々と人々の攻防  作者: 向愛 水哉
第2章 The Y-axis

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/92

顔認証を突破せよ・8

 自分達の部屋を そのままにしていてくれた建部(たけべ)と、自分の『身体(からだ)』の代わりとなる『機体(ボディ)』を作ってくれたアキラへの御礼として、トキオは買い置いてあった お茶と菓子とを振る舞い、一同(いちどう)(しば)し その場で歓談した。


 多少のことには動じない建部ではあるが、まだ中学生のアキラが、目の前に居るトキオの『仮ボディ』を作ったことには驚きを隠さず、賞賛を惜しまなかった。これにアキラは恐縮し、これは友人の力添えがあったからこそ出来たのだと、照れながらも 付け加えることを忘れなかった。


 あれこれ語り合ううちに、トキオが(おもむろ)に自分の口にも お菓子を運び入れそうになり、慌ててアキラが止めるという一幕もあった。何はさておき、見た目の再現だけに特化して、大急ぎで作り上げた『マシン』なのである。そんなことをされては、出来たばかりで早速 修理する羽目になるからと、アキラは迂闊(うかつ)な『神』に念を押した。


 話の終わりにトキオは、これからはアキラのもとで、奪われた『身体』と瑠璃愛(るりあ)を探すことになるから、ここは引き払ってお返しすると建部に申し入れた。


「――今日のところは身軽に帰るけど、これから折りを見て荷物を取りに来るね、勿論 瑠璃愛のぶんも。――遅くとも、3月末までには空けるようにするから――、」


 というトキオの話を(さえぎ)り、建部は このまま 荷物置き場にしても良いので、ここを使って構わないと2人に告げた。


「――多くはなくとも1世帯分の荷物だ。運ぶ先で場所を取って、迷惑なこともある。

当面 必要なものだけ持って行け。あとは置いておいて構わん。勿論 瑠璃愛のぶんもだ。

――あの娘は お前と違って賢い。ひょっとすると、自力で逃げ出して、ここに帰って来ることも有り得るだろう?

――その時に、着替えの1枚も無かったら、まったく私の面目が立たん。

今日まで お前を待っていたんだ、瑠璃愛のことも、引き続き待たせてもらうぞ。」


「――せんせい、ありがと…。…なんか嬉しい…嬉しいんだけど、

―え~~、なんか、なんとなく先生も、うっすら僕をバカ扱いなの?」


「――そりゃそうだろ。聞いたところじゃ、電話だったら すぐ出来た状況だったのに、私に何の連絡も寄越(よこ)さんかったということは、スマホを取られた時点で、ここの番号が分からなくなったからだ――そうだろう―? 瑠璃愛だったら そうはならんさ。」


「――う…、おっしゃる通りでございますけど…、」


 (すべ)て お見通しといったところの建部を、悔しそうにトキオは見上げる。


「――まったく お前は、自分が『神』だというなら、もっと しっかり、シャッキリしてろ! 『身体』を取られた お前も気の毒だが、その謎の『連中』の狙いが、お前だったんだとしたら、ただ巻き込まれた瑠璃愛が不憫(ふびん)だろう―? あんな…、なんの落ち度も無い、働き者で賢い娘が……、――そもそも お前達が東京に逃げて来たのは何の為だ――? 『瑠璃愛を(まも)る為』だったんじゃないのか――?」


「――わかってます。…だから、必ず取り戻すよ、瑠璃愛のことは―…!」


 そう言って、建部を見つめ返したトキオの表情が、アキラには とても凛々(りり)しく精悍(せいかん)なものに見えた。


 完成間もないトキオの顔ではあったけれど、こう言ってはなんだが、アキラには、この時に ようやく初めて、トキオの顔が『神っぽい』ものに思えたのである。


ここまでお読みくださり、誠に ありがとうございます。

貴方様の1PVが、この物語を書き進める力となっております。

引き続き、次回も お楽しみいただけましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。