千文字の……
前回のあらすじ
イザベラ様とたくさんお話したファリア。
休み明け、普通に登校するようにしたようです。
クララ・オードリー侯爵令嬢は、
魔法学園の有名人の一人である。
丁寧に切り揃えられた腰まではあろうかというストレートの銀髪。
オルスフェーン王族の血筋にしか現れないという紫の瞳。
オードリー家と王族との婚姻がなされたのは
彼女の数世代前だったが、彼女の秀麗さもあいまって
当時輿入れしてきた姫君と同じ名がつけられている。
常に兄クライヴと比べられるため、必死で努力を重ね、
彼女が嫡子であればよかったのにと噂されることすらあった。
磨き上げられた所作はオードリー一族の歴史をうかがわせ、
本をめくるだけで誰もがため息をついてしまうほどだった。
中等部クラスで最も位の高い人間の一人である彼女は、確かに優しかった。
同位の令嬢はもちろん、下位貴族家である
子爵令嬢や男爵令嬢とも分け隔てなく接する評判の良い人物だ。
夏季休暇明け、彼女の目に飛び込んできたのは
いつもの雛鳥ではなかった。
彼女は雛鳥をとてもかわいがっていた。
金のゆるい巻き毛のセミロング。
やわらかいピンク色の目をした理想的な女の子、ファリア。
いつも甲斐甲斐しく私のために外交情報だの
巷の噂だのをひっきりなしに運んできてくれた。
「ファリア、その手の……」
彼女の左手には、王家の紋章のあざがかたどられていた。
またホワイト家の加護を示す、
薄く虹色に輝く貝細工のような生地のリボンが
右サイドに結ばれれていた。
雛鳥は申し訳なさそうに頷いて手の甲を見せ、
優雅にカテーシーを披露し、クララよりも後ろの席についた。
もう雛鳥はクララのためには囀らない。
(あの子が真っ先に頼るのは私でなくてはならないのに)
クララは手の上から飛び去る雛鳥に無性に腹が立ったが、
表情に出すことはなかった。
(……クララ様、あれはご機嫌斜めね……)
赤いポニーテールがよく目立つ、
背の高いカテジナ・ルースルート男爵令嬢は
その様子を冷静に見つめていた。
(ファリア、何もないといいけど。 リボンなんて隠しておけばいいのに。
ほんと文字通りにしか受け取れないんだから)
はた、とカテジナは思考を止める。
彼女は何かを忘れているような、
夢を見た後のような、はっきりしない記憶の残滓を感じた。
(イザベラ様とクララ様の間に、何かあったような……何だったかしら)
思い出せそうで思い出せない。
何かとてつもなく禍々しい魔力が
体を貫いたようなおぞましい感覚だけがおぼろげに残っている。
彼女がその時何が起こったかを知るのは、まだ当分先の話だ。
友達とのお別れは何度経験しても悲しいものですわ~~~~~~~~~~
死別でもそうでなくても




