隷属の魔法
前回のあらすじ
ファリアはイザベラから、暗殺者ミードくんと隷属魔法での契約を提案されました。
――奴隷契約。
隷属の魔法をかけることで成立する一種の契約魔法だ。
相手の同意がなければ法的には無効になる上、同意なく隷属魔法を使用し使役したことがバレれば、懲役が使役した時間の数十倍課せられる結構な重罪になる。
「隷属の魔法ってアルテイシア家では使ったことなくて……」
「まあ、ずいぶんとお優しいお家なのね。 うちでは使用人には全て隷属契約してもらっているわ」
ベルは公爵令嬢だからこう言うが、本来隷属魔法で縛った奴隷は、行動に制限が出る分給金相場が倍以上高くなる。単に私の父が節約家だっただけの話だ。
ベルの時間遡行魔法を体にだけかけ、見事傷を修復されたミード坊や。魔族の血による隷属効果は時を戻しても消えないようだった。
――ファリア・アルテイシア、イザベラ・ホワイトを以下両名とする。
両名の命令がない限り、両名ないし両名の親類縁者友人知人に一切危害を加えないこと。
両名に尋ねられた事には正直に答える。
両名の命令には自分の心体に重大な問題がある場合を除き従うこと。
両名に危険が及びそうな時は身を挺して守護すること。
それ以外の行動はオルスフェーン王国の民にとって益となる行動を選ぶこと。当然闇魔法使い稼業はおしまい――
「以上、よろしい?」
「断る権利もありませんから……無料で治療までしていただいて……」
ベルに実際こま切れ肉を人間に戻す場合いくら取るのか尋ねたら、軽く家が一軒買えるほどの金額だった。そりゃ儲かるわけだ……。
「オルスフェーンの天秤の神サフィールよ。イザベラ・ホワイトの名をもって、ファリア・アルテイシア、ミード・ルイスの隷属契約の成立を承認する」
教会長室のデスクの上で交わされた契約。ベルが書類に触れると、紙はまたたく間に光の粒となり、ミードの首には隷属の証となる紋章が浮かび上がる。
私の手にも同じ蜂をシンプルにかたどった紋章が浮かび上がった。
「蜂……?」
「ルイス家は本来養蜂家だそうだから。精霊の気まぐれでしょうね」
「……まあ、先日の水害で蜂たちも全部流されてしまって……闇魔法使い稼業は始めたばかりだったんですよね」
ミードはミードで仕方なく違法労働に手を染めたようだった。
◆
ミードには当面の金銭をいくらか渡してご帰宅願った。
これで父にパンを買ってやれます!とほくほく顔でお礼を言っていた。
「いたいけな少年がこれから何に巻き込まれるか知りもせず……」
「何よ、別に悪いようにはしないわよ。 それよりやっと落ち着いて調査できるわ」
聖堂の奥に設えられた教会長室の奥には、テトトラ司教その人の首吊死体がぶら下がっていた。
前回はミードの魔法人形に憲兵のふりをされ死にかけた場所だが、わざわざカーテンで締め切った部屋での死体は中々奇妙な感じがした。
ベルはというと、司教のポケットやら遺体の状況やらてきぱきと調査している。
「よく平気で調べられますねえ」
「あら、時間遡行魔法が最も活躍するのは人が死んだ時よ。 とっくに慣れたわ」
確かに、私が死にまくってた時もご活躍でしたしね。
「テトトラ司教もあなたの魔法で生き返らせられるのですか?」
「んー……その人の命数が尽きていなければ、ね」
命数。オルスフェーンで魔術を嗜む者なら基礎の基礎で習う概念だ。
どんなに治癒をかけても、時を遡っても、癒せないものが命数といわれている。その人がこの世に存在するために必要な運や生命力、世界に必要とされる力という呼ばれ方もする。
「後で試してみてもいいわ。 でも調査は死んでくれてた方が楽ですからね」
オルスフェーンの至宝が死んでた方が楽とか言ってる。
その落差がおかしくて少し笑った後、私も一緒にデスクなどを調べた。
バトルもっと書きたいですわ!!!!!!!!!!!!!
何が出るかな~!!!!




