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千文字悪役令嬢  作者: うたた寧々


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魔界学習

前回のあらすじ

スピキオさんと魔界についてお勉強!の続きです


 スピキオの簡単魔界講座が始まった。


 魔王立国ヴァンダニア――通称魔界。

 世界国土の四分の一を占める広大な土地を持つ。四方を大渦が浮かぶ絶海に囲まれ、狭い航路はごくごく限られた時期にしか使えず、必ず魔界出身の熟練船頭が必要になる。


 リリィ・ホワイトの尽力によって現在は肥沃な大地と国有林、莫大な富を産む首都ルドーチカを中心に、大小様々な街が存在し、様々な魔族が暮らし栄えている。


 現魔王のディアボロ=ヘイズ=ヴァンシュタインは積極的に人間と交流を深めようとする穏健派。現在は眠り病で倒れている。

 弟王のスーラ=ヘイズ=ヴァンシュタインが現在魔王代理として各種の政治を取り仕切っている。


「少し思い出してきた。 スーラおじさま。 懐かしいな……」


 魔法を使う人間は魔王を尊敬している。国によっては魔を忌み嫌う風習の国もあるが、オルスフェーンでは尊敬の対象だ。


 魔王が魔王の呼称を許されているのには理由がある。


 ひとつはその膨大な魔力。人間では正攻法では到底太刀打ちできない。


 大昔に魔族との小競り合いが多々あった頃は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でもって対抗していたという。時間遡行魔法もその一つだと、ホワイト邸滞在中にイザベラ様が教えてくれた。


 もう一つは神話の存在。世界共通の神話には、魔王の始祖と神は同列の存在として描かれている。決して魔王と魔族は、神とその使徒たる人間達に仕えるのでも支配するのでもなく、同列の異質の存在なだけだという認識がある。


「スーラ様は……決して悪い方ではないのですがねぇ。 ちょーっと野心が大きめかな」


 スピキオがうんうん腕組みしながら言葉を選ぶ。


 魔族は騙されやすい。人間の生活に慣れきった私は、商人であり外交官の父と、嘘つきのイザベラ様に何度も死にながら人間のことを教えられたこともあり、少しだけ他の魔族よりは騙し合い化かし合いには慣れている。


 結果、一つの可能性に思い至っていた。


「王弟様が魔王様を眠り病にかけたんじゃないの?」


 スピキオは今気づいたかのように驚き、兄はまあそうだろうなという顔をした。


「そんな……そういわれれば確かに王弟様に都合の良いことばかり起こったとは思いますが、まさかお身内に手をかけるような事は……さすがに」


 しかし合点がいく事がたくさんあったのか、スピキオの語尾は弱々しくなっていってしまった。


「いえ、ご慧眼でございますファリア様。 その前提で考えた方が良いでしょう……」


「そっちも色々大変なんだな」


 兄がスピキオに同情する。


「まあ、私は王弟様のもとで働いているわけではありませんから……ただ、王弟様の部下は色々苦しんでるようです。ずいぶん予算を派手にお遣いになるようで」


 スピキオは咳払いをし、元の魔界解説に戻っていった。


 魔界でしか採れない動植物、名産品、文化、芸術、思想に趣向……。オルスフェーンで習う魔界学より何歩も踏み込んで、時にスピキオの小話も挟みながら詳細に解説がされた。


 正直驚かされた。オルスフェーンよりよっぽど豊かなのではないかと思う資源の豊富さ。文明の豊かさ。異なる点といえば、詐欺罪など複雑な犯罪が少ないことだろうか。腕力と魔力が全ての世界なのは相変わらずのようだ。


 魔界は今でこそ外交の道がひらかれているが、それでも交流している国はまだ数カ国程度のもの。ホワイト公爵が魔界と親睦を深めたがっているのも得心がいった。

スピキオは魔界にんじんが嫌いですがすりつぶしたものを甘く味付けして人間界のりんごという食べ物だと母親に騙され続け、オルスフェーンで初めてりんごを食べた時に騙されていたことに気づいたそうですわ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!

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