王妃との謁見
前回のあらすじ
憲兵に尋問されていたら、王妃様が乗り込んできました。
オルスフェーン王国の王妃、ミネルヴァ・オルスフェーンはあまり表に顔を出さない。彼女の子である第一王子ミハエル殿下の飲む紅茶に毒物が混入されてから、すっかり人と会うことを嫌って出てこなくなってしまった。
迎賓室は華美すぎないが質の良い家具が揃えられていた。プラチナブロンドの髪にヘーゼルの瞳の女性が長椅子に腰掛けている。
「久しぶりね、少し老けたんじゃない?」
「貴女はちっとも変わらないわね、イザベラ」
開口一番に茶化すイザベラと王妃様。 歳が近いせいもあるのか、二人は気安い仲のようだ。
「……貴女の前では地位など紙くずのようなものですが、名乗ることを許します。 紅の瞳の貴女、お名前は?」
「ファリア・アルテイシアと申します、王妃様」
最早シンプルな敬語を王族の前で話すことも特に緊張せずこなせるようになっていた。カテーシーも、教え込まれた通り丁寧に終えることができた。
引きこもりの賢王妃、ミネルヴァはお付きの者達を数名従えている。皆恐らく、魔王の血族と王妃の対面に緊張しているのか、空気がピリついていた。
また、20名ほどいた憲兵達もぞろぞろとついてきたので、迎賓室は人でいっぱいになった。
「全く無粋な人たちね。 女のお茶会よ、立ち去ってはいただけないのかしら」
案内役のミネスがしどろもどろになって「軍務上難しい」ことを伝える。
軍務上は王妃を守らなければならないが、王妃の命令も断れない。 命令系統の混線によるよくあるエラーだ。
「仕方ないわね。 防音魔法を使うから、気兼ねなく話して頂戴な」
ミネルヴァはカテジナのかけたものよりずっと強力な防音魔法を、ごく狭い応接セットにかけたようだった。
「まずはお礼を言わせて頂戴。 千文字姫の呪いを解いてくださって本当にありがとう」
私の両の手を取り、国妃が頭を下げている。
「! あの、無理にお手を触れなくとも」
「いいえ。 貴女は魔族であっても我がオルスフェーンの民です。 何を恐れる必要がありましょうか」
魔法は、大抵のものは触れたほうがよく効く。 よりによって魔族に触れたがる人間はあまりいないものだ。
王妃様だって私が恐ろしいはずだが、そんな感情は微塵も見せず、まっすぐにヘーゼルの瞳を私に向け春の陽差しのように微笑んだ。その様子はちょっとだけイザベラ様みたいだった。彼女も為政者なのだ。
「今日は……お願いがあって来たの」
王妃様が紅茶をひとくち口にする。
「今度のパーティで、エディがよからぬことを企んでいるみたいで……よければお灸をすえてくださらない? あなた達がやったほうが面白そうだもの」
王妃様は憲兵に囲まれながらとんでもないことを頼んできた。
王妃様、結構ゴシップとか好きなタイプみたいです~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




