千文字の会話
前回のあらすじ
アリスフィアからの協力を無理やりむしり取ったあと、きちんと証拠隠滅をした一行。
「……怖いわよ。 今でも震えが止まらないわ」
アリスフィアの榛色の目が伏せ気味になり、キャメル色のゆるやかなウェーブの髪で顔が見えなくなる。
「でもホワイト家にバレたらもうおしまい。 一蓮托生なのよ。
それなら恩を売っておくのが処世術ってやつでしょう」
「……ケーシィは……ケーシィはどこ!?」
聞くのがためらわれたのだろう、カテジナが詰め寄る。
「……安心なさいな。 彼女も生きてるわ……」
顔を上げたアリスフィアが、少し目を逸らした。
「先に呪いを何とかしないと。 あの子はずっと囚われてしまうわ」
「……」
カテジナは納得したようで、アリスフィアから離れた。
「次の巡回まで時間がない。 透明化して。 急いで」
アリスフィアの案内で、私たちは呪いの根源を見に行くことになった。
◆
先程地下へ降りた階段を、今度は上へと上がっていく。
窓から見える景色も変わり、随分と高いところまで来た。
厳重に閉じられた両開きの重たそうな黒い扉には、細かく金細工が散りばめられている。
「千文字姫に感謝を」
合言葉だろうか。
扉は静かに開き、中に居た男性とアリスフィアは目を合わせ、交代した。
「これは……」
扉が閉じたのを確認した後、標準的な礼拝堂ほどの部屋の中央へ移動する。
大人が5人分は高さがありそうな、複雑な魔法陣が宙に浮かんでいる。
緻密な古代文字と不規則な記号で編まれた、精緻な文様は、ある種の荘厳さを帯びていた。
「警備が手薄なのは、見ても誰にもどうしようもないからなの」
魔法は隠密のためあまり派手な魔法陣は利用しない事が多い。
いにしえの魔法は常に魔法陣を必要としたらしい。
今の魔法陣の役割といえば、魔法を複雑にし、解除不能とすることだった。
魔法陣を解くには、解除に使うたった一筋の魔力経路を導き出さねばならない。
「解除には優秀な魔術師でも1京年はかかると言われているわ」
「そんな……」
私の手から離れ、ベルがふらふらと魔法陣に近寄っていく。
「次の交代まで二時間といったところね。 私の協力ではどのタイミングだろうとここまでが限界。 次の機会は、多分もうないわ」
「ど、……どうする? 私は正直、魔法陣なんて触ったこともないわ」
カテジナは武家家系だ。
魔法陣などうろ覚えの基礎程度だろう。
アシュレイ嬢もあまり詳しくはなさそうだ。
(私とベルならおそらく、時間をかけさえすれば解ける……でも)
「不可能よ……膨大な数ループしても、私の精神が持たない。 先に魔力が枯渇するわ」
ご安心ください!!!主人公はチートですわ~~~~~~~~~~!!!!!!!




