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千文字悪役令嬢  作者: うたた寧々


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23/63

千文字の理解

前回のあらすじ


イザベラは、自身が呪われ学園への入学を遅らせるため悪行を働いていたようです。

「つまり、イザベラ様は呪われるためにわざと悪行を?」


頷くイザベラ。


「そんな……! せっかくのオルスフェーンの宝石が……」


(あらこの子、結構いい子じゃない)


本の続きを読むカテジナ。


残りはさして長くない。



――呪われたイザベラの生活は穏やかだった。


淑女として家庭教師から学び、優雅に食事をし、着飾り、湯浴みをし、眠る。


お茶会や行事への参加もなく、家庭教師から課されるテストも二択形式となった。


内心は落ち着かなかった。


(お父様がもし私を見捨てたのだとしたら――)


ホワイト家当主も時を操る魔法の使い手だ。


身内に対しみだりに魔法を使うような人ではない。


(私はどうなっているのかしら)


果たして呪われた今、イザベラはホワイト公にとって身内なのだろうか。


たとえ毎日犯されていたとしても、時を戻されれば気づきようがないのだ。


ホワイト公の寵愛を受けた前妻、母にそっくりの自分の姿が、その時ばかりは恨めしかった。


(実家からは学園の様子がわかりにくいわ)


鳥や猫など使い魔に学園の様子を探らせもした。


自分で見聞した時の5割ほどもわからなかった。




(でも……やっとクララがファリアを殺す日を超えた!)


ファリアとクララにとっては、ごく日常の、学園で過ごす一日だったろう。


それがどれだけイザベラにとって嬉しいことだったか。




だが、イザベラには誤算があった。


学園に行きさえしなければ災いが起こらないことが確定した今。


関係各所に協力を得て、正式に自主休校を認めさせる方法が取れると思った。


そう思い時間を巻き戻した矢先のことだった。




(何よ、これ……時を戻しても、あざが消えない)


千文字姫の呪いは、通常の呪いとは段違いの威力だった。


一度呪われると、時を戻しても呪いは解けなかった。


また、呪いに時空が引っ張られているのか、本人の悪評も消えないままだった。


(治癒魔法の専門家に見抜かれるからって、本当に呪いにかかることにした判断が誤っていた!)


この時の千文字姫の呪いは、今ほど研究が進んでいなかった。




「お父様を頼ればよかったのではないかしら。 学園くらい休ませてくださるわよ」


イザベラは首を横にふる。


(それはないわ。 お父様は……私が母を失った時でさえも、そばにいてはくれなかった)


彼女は自分でものごとを解決する癖が身についていた。




――さすがに今回は解決のすべが見当たらない。


彼女は塞ぎ込みながらも諦めず、他家の貴族達と協力して呪いの実験を繰り返していた。

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