千文字の利益
前回のあらすじ
クララを呪ってもおかしくないと指摘されたのはクララの父上オードリー侯爵。
一帯アリスフィアは何を知ってるのか。
「えっ」
時は進んで現在、ホワイト邸の地下倉庫。
イザベラの時間遡行記録を盗み見していたカテジナは声をあげる。
クララの実父であるオードリー侯爵。
彼は厳格な貴族で格式にうるさく、下位の貴族を見下すところがあった。
酷い男女差別意識があることでも有名だ。
(確かに、彼ならクララが男爵令嬢に借りを作り、
あまつさえ家に招待したとあれば叱責くらいはするかもしれない。
でもそんな――)
カテジナは思い当たってしまう。
(ケーシィは、ご両親に呪われた可能性があるいうこと?)
一体、ファリアとイザベラは何と戦おうとしているのか。
戦って、救い出したとして、彼女達に居場所はあるのか。
「そこで何をしている?」
「!?」
威厳ある低い男性の声。
カテジナは本に気を取られすぎていた。
「そん、な」
手足だけが石になったように動かない。
「手足の時を止めた。
臓腑は見逃してやってることに感謝し、答えろ」
オーロラのハーフバックの髪、静かな青い瞳。
長い一本の三つ編みは、カテジナからはよく見えなかった。
現ホワイト家当主、ロードライト・ホワイト公だ。
「そこで何をしている?」
高位の貴族邸宅への侵入、重要書類を許可なく閲覧。
軽く見積もっても3回処刑で済めば御の字だ。
「わた、しは……!」
命の危機に呼吸は浅くなる。
(何も――)
うまい言い訳など何も思いつかない。
「それくらいにしてくださいな、お父様。 私のお友達を怖がらせないで」
イザベラがホワイト公の背後から助け舟を出す。
「む、しかしだな」
「屋敷を探検して遊んでいたの。
お騒がせしてごめんなさい。
書類を出しっぱなしにしてたのね」
ね? とカテジナに同意を求める。
慌てて透明化を解き、こくこくと頷いた。
「夜遅かったものだから、透明化の魔法の訓練も兼ねてって。
お父様も小さい頃はやったのでなくて?」
「そういうことなら、わかった。 何かあれば……」
「ええ、私の責任で構わないわ。 おやすみなさいませ、お父様」
「違う。 何かあれば頼りなさい」
ホワイト公は前妻にそっくりのイザベラに甘いと有名だった。
「大丈夫? カテジナ」
ホワイト公の魔法が解かれ、カテジナはその場にへたり込んだ。
「い、いざべ、ら……」
「はいはい、わかってるから」
過去のループで、カテジナは屋敷に忍び込んだ55回中30度はイザベラに返り討ちにされ、
残り25回は屋敷の従者かホワイト公に発見次第殺されていた。
カテジナがホワイト家から生還するのは、これが初めてだった。
つまりイザベラを呪ったのは一体誰なんですの~~~~~~~~~~??????




