千文字の隠蔽
前回のあらすじ
クララの謝罪の手紙は何回時を戻してもアリスフィアに妨害されてしまうようです。
イザベラはどうするのでしょう。。
アリスフィア・ノースフェイスは控えめな侯爵令嬢だった。
クララ・オードリーとは同格の貴族家出身ということもあり親交が深かった。
ノースフェイス家は神聖院とも関わりが深く、
司祭を何人も排出している名家でもあった。
緩やかなウェーブの茶髪と深い緑の瞳を持ち、
いつもクララよりは一歩引いて彼女を支えていた。
いつも感情を表に出さないことを徹底している彼女の代わりに
クララが怒ったりいなしたりすることも多かった。
クララは直情径行でイザベラにとっては扱いやすいタイプだった。
アリスフィアは、対して全く掴みどころがない。
ある意味貴族らしい貴族だった。
放課後の誰もいない教室。
クララからファリアへの手紙を盗み出すアリスフィア。
「何をしている。 アリスフィア・ノースフェイス」
時を戻したイザベラは、アリスフィアの手紙を隠蔽する瞬間を抑えた。
「……あら、ご機嫌よう、イザベラ・ホワイト様」
年上で格上の公爵令嬢にも全く気圧されないアリスフィア。
神聖院での影響力は、貴族の爵位とはまた別の後ろ盾の意味を持つ。
「今隠したものを出しなさい」
「隠しただなんて大げさな。 私はクララを守っているだけですわ」
アリスフィアはクララの手紙を机の上に出し両手を挙げた。
「元はと言えばあなたが悪いんですのよイザベラ・ホワイト」
手紙を盗んだ事実には一切悪びれる様子はなく、こちらに詰め寄ってくる。
「クララに……あんな辱めを与えて」
「それはあの子に対する侮辱よ。
彼女は決闘でもって婚約者の名誉を守ろうとした。
その結果を自身で受け入れただけ」
不問にすればクララは不敬罪を問われる。
相応の金銭や対価を要求すれば彼女は実家に助けを求めなければならず、事が大きくなりすぎる。
クララは年若いこともあるが兄ばかり優遇され、
爵位や領地、予算などを与えられていないのだ。
イザベラにとっては最も安い要求だと思った。
肌を見せることを厭わないイザベラと、
貞淑なクララの感覚の差が産んだ悲劇だった。
クララは決闘時点で詰んでいたのだ。
「ものは言いようね。 ……こんな手紙を真に受けて
ファリア嬢がのこのこ訪問してごらんなさい」
アリスフィアはイザベラを睨みつけた。
罪を指摘された時ですらなかった温度が視線に宿る。
「クララは……呪われてしまうわ。 男爵令嬢になびく侯爵令嬢など要らないとね」
「!」
精一杯の告発だった。
意に沿わない令嬢を処分して最も得をする人間は誰か。
「オードリー侯爵が……?」
クララさん、大分詰めが甘いご令嬢のようですわ~~~~~~~!!!!!!!




