千文字の回帰
前回のあらすじ。
過去回想です。ファリアは極度のストレスでおかしくなったクララ嬢の暴走により、一回目の死を迎えました。
切り裂くような悲鳴が上がる。
ファリアの首は落ち、すり鉢状の床に沿って教壇の方へと転がっていた。
始業数分前、教師はまだ来ていない。
「ファリア! 嫌あああああああああー!!」
大半の生徒は何が起こったか理解していなかった。
教室の最後方の中央に虚ろな目をしたクララ。
クララと同じ後方窓際のカテジナがすぐさまクララを羽交い締めにする。
しかし魔法植物達の操作までは奪えない。
まだ戦場経験もない中等部の生徒で、実戦に耐えうる精神の持ち主は少なかった。
「ミルティ、先生を呼べ!」
カテジナに呼ばれた最も出口に近い生徒は、足をもつらせながら教室を出ていく。
つられて生徒達が次々教室を出ようとするが、かえって進路を塞いでしまう。
次々と女生徒達の命が奪われていく。
「熱っ!」
カテジナがあまりに禍々しい魔力に触れ思わず声を漏らす。
羽交い締めにしていた手が焼けるようだった。
「魔力暴走だわ!」
誰かが叫んだ。
クララからほとばしる膨大な魔力の奔流。
カテジナはたまらず手を離した。
魔力の持ち主が極大なストレスを長時間受け続けると起こる事象、魔力暴走。
ごくごく稀であり、大人に成長してからはむしろ恥とされる現象だ。
――教室は静謐に包まれた。
「……ふぅ。 静かね」
銀糸の令嬢はようやく尊厳を取り戻したのだ。
転がったボールがななつ、やっつ。
壁も窓も飛び散った血の痕が前衛的なアートのようだった。
ヒールをこつこつと鳴らし教壇の前に転がった首を掲げる。
金色の髪がのぼり始めた朝日に透けて美しかった。
「あら……目が真っ赤」
拭いても拭いてもその赤はとれなかった。
拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても拭いても。
クララは赤い宝石に夢中で気づかなかった。
息をきらせて走ってきたイザベラはあまりの惨状に声を失っていた。
クララは微笑みながら掲げて見せる。
「素敵でしょう。 貴女にはあげないわ」
(ごめんなさい、ファリア――)
イザベラは時を戻し事態の解決を図った。
直接の原因が手紙であることも理解はできた。
だがどのような手段で手紙をファリアに渡そうとしても、
必ず夏季休暇のファリアとクララの仲直りは妨害され続けた。
直接ファリアに言えばと伝えれば
「何故あなたにそんなことを言われなければならないの?」
と取り付く島もないクララのプライドも妨害要因の一つだが――
主に中等部クラスのもう一人の侯爵令嬢、
アリスフィア・ノースフェイスによって。
今までずっと詳しく描かれなかったアリスフィア様のお話ですわ~~~~~~~~~~!!!!!!!!




