千文字の虚実
前回のあらすじ
カテジナさんがイザベラの調査のために単身乗り込んできたようです。
過去ループのカテジナと違って協力目的のようですが果たして?
カテジナから見たイザベラはまさに悪役令嬢だった。
下位の身分にも関わらず先に声をかけてしまった
躾の甘い令嬢に頭からワインをかけたのは序の口。
婚約を持ちかけてきた貴族達を端から豚と交尾させた上、
「豚とヤッた男などごめんだわ」と叩き出しただの、
対立派閥の貴族を裏社会との取引に応じさせ、
タイミング良く証拠を発見し処刑に追い込んだだの、
貢ぎ癖のある侯爵を無茶な散財で破滅させただの、
悪評の枚挙にいとまがない危険人物だ。
(それが何故ファリアにはあそこまで親切にするのか)
イザベラとクララの間に確かに何かあったはずなのに
判然としないのも引っかかった。
(記憶か、時間を操るか、その類の魔法を使っているはず)
カテジナは得意な魔法の性質上、自身を記憶することに重要な意味があり、
僅かな記憶のずれや違和感に気づきやすい体質だった。
時間を操る魔法を扱う者は、
時間の干渉を受けない特殊な書物に記録を取るならわしがある。
無駄な行動を取らないためと、
あと何回魔力回復なしに魔法が使えるか把握するため、
問題が起こった時に見返すためだ。
イザベラですら例外ではない。
この屋敷のどこかに、魔法を使った記録があるはずだった。
イザベラの室内にはそれらしいものは見当たらない。
広い広い公爵邸を壁抜けを駆使して見て回るカテジナ。
地下倉庫にあった何重にも鍵をかけられた金庫の中に、その記録は置かれていた。
――そこにはイザベラに起こった変化が事細かに書かれていた。
(……これだ)
短い熟睡からぱちりと目を覚ますイザベラ。
長い毛足の絨毯の一部、女性と思しきサイズの足跡に沿って毛束が倒れている。
(やっぱり来たのね。 あの子が直接うちに来たのはこれで56回目)
透明化の魔法を使う人間は、魔法に頼りすぎて
実に簡単なトラップに引っかかることが多い。
(残念、記録には全てを記す必要はないし、本物はこちら)
イザベラの机の本棚には、
魔法で見えるのに意識されない本があった。
彼女は天性の嘘つきだった。
ホワイト家は嘘つきの家系だ、が正しいかもしれない。
労力をかけて忍び込むのだから
相手も念入りに宝を隠しているに違いない、
千文字しか使えないのだから、600字も使われていれば本物だ、
といった思い込みにも詳しかった。
当然、ならわしや制度も自分達に都合よく変えていた。
一回時を戻せば1000文字分、使える文字が回復する。
その時のことをそのループでバカ正直に書く必要はないのだ。
嘘つき同士のバトル大好きなんですわ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!




