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自宅へと向かう道すがらリサがやっと話をしてくれた。
ご主人様は迂闊すぎます―――
とか、
ご自身が相手に有利なように誘導されたと気が付いていないのですか―――
と、家に着くまで延々と小言を言われ続けた。
うん、まぁそれについては反論も御座いません。
でも、正直願っても無い申し出だったし、魔導車では無いけど間違いなくそれ以上の技術を身に付ける又と無い機会な訳で、一旦持ち帰ってから改めて考え直しても間違いなく僕は受けたと思う。
「リサが僕の事を心配してくれるのは嬉しいし有難いんだけど、それでも僕は止まりたく無いんだ。アリサさんとの約束、二年以内に一人前になって彼女と結婚する。利用されているだけだとしても止まる訳にはいかないんだ」
それでご自身の身に不幸が降りかかったとしてもですか?
「未来の事なんて解らないし、それで尻込みをして時期を逃して後悔したくないんだ。もしそれで死ぬような目に遭ったりアリサさんと別れるような事になってもそれは自分で選んだ道だから受け入れるしかないよ」
そこまでの覚悟がおありでしたらこの件で私から言える事はもう御座いません―――
「ごめん・・・助けて貰っといてなんだけど・・・その、気に入らなかったらニールさんの所とか別の人の所に行っても構わないよ。自分で言うのもなんだけど、僕はご主人様とかそう言う人の上に立って何かするとか向いてないと思うからさ」
私の主は貴方様だけです―――
ご主人様の寿命が尽きるその時まで何処まででもお供致します―――
「有難う・・・僕も出来るだけいい主人であるように頑張るよ」
何でそこまで忠義を尽くしてくれるのかは解らないけどリサの好きにして貰えばいいかと嘆息した。
*
*
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配達から帰ってきた娘が魔導車の荷台を開けると、荷台の中から崩れ落ちるように三人の獣人が地面に転がった。
おいおい冷蔵車だぞ、死にてぇのかこいつ等・・・・・
「・・・はぁ・・・おいアリサ、拾って来るにしたって犬と猫はまだ解かるが熊はねぇだろ」
「・・・犬じゃねぇし・・・・・」
「家畜でもねぇ・・・・・」
「飼われるつもりもねぇよ・・・・・」
俺の冗談に全身に霜を付けて白くなった獣人三人が反応する。
言い返せる元気があるなら大丈夫そうだと安堵の息を吐いた。
「え~っとね~、なんか色々困ってたから連れて来たんだ~」
「なんか色々って・・・お前なぁ・・・・・はぁ・・・少ししたら日も落ちる、動けるようになったら体洗って母屋に来い。どうせ飯もろくに食ってねぇんだろ?」
「め、飯!」
「あ、有り難てぇ・・・・・」
「恩に着ます!」
マジで溜息しか出ねぇ・・・オルトの時と言い、うちの娘にはなんか変な奴を引き寄せるモンでも憑いてんのかねぇ?
*
*
*
「あ~、体洗うなんて何日ぶりだよ」
「覚えちゃいねぇけど一月は経ってんだろ」
「ずっと森ん中移動してたもんなぁ・・・・・」
俺達は恩人のお嬢さんの父親に言われた通りに体を洗い、比較的マシな服に着替えてから母屋の扉を叩いて声を上げた。
「失礼します!」
「おう、入れ入れ。自己紹介とか後でいいから先ずは座って飯食いな」
父親はそう言ってくれたがそう言う訳にはいかねぇと、俺達はその場に片膝を付いて頭を下げて名乗りを上げた。
「お気遣い感謝します。俺の名はギイ・ルプスセプト。一応頭張らせて貰ってます」
「俺はガウ・ウースクワット」
「俺はロイ・フェリスイプスです」
「皆様に救って頂いたご恩は忘れません。今は事情が有ってお返しする事は出来ませんが、用が済み次第お返しさせて頂きます」
獣人は義理堅いのだ、受けた恩は必ず返さねぇと死んでも死にきれねぇ。
「・・・はぁ・・・アリサ、おめぇとんでもねぇもん拾って来やがったな・・・・・まぁいい、取り敢えず飯にすんぞ」
俺達が挨拶を終えると父親は眉根を寄せて大きな溜息を吐いた後に飯にすると言った。
そして―――
「うぅ・・・うめぇ・・・うめぇよ・・・・・」
「うめぇ・・・生きててよかった・・・・・」
「ああ・・・こんなうめぇもんがこの世にあるなんて・・・・・」
俺達は久方ぶりの真面な食事を、しかも極上の料理を涙を流しながら頬張った。
見ず知らずの、何処の馬の骨とも解からない獣人に対して有り得ない程破格の扱いだ。
俺は用事が終わったら残りの人生はこの家族のために使おうと心に決めた。
「まぁなんだ、俺はゴードン・モルクレイでこっちは妻のミザリーでこっちが娘のアリサなんだが・・・俺と娘はドワーフの混血って言やぁおめぇ等には解んだろ?」
「「「なあっ!」」」
食後のお茶を飲みながらゴードンさんの家名に加え、ドワーフの混血だと聞かされて俺達は驚きの声を上げた。
まさかこんな所で俺達と同じ『アルビエル聖皇国からの逃亡奴隷の子孫』に会うなんて夢にも思わなかったからだ。
これはあれか?もしかして運命って奴なのかね?
ここまで読んで頂き有難う御座います。




