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アンモン家王都の別邸に着き、応接室に通されるとそこには両親が既に来ていて、かあさんに身体を弄られながら心配された。
ああ、リサは魔導車を降りると何も言わずにスレイプニールに変化?してしまい驚かされたが、話し掛けても返事もしなくなってしまい仕方なくそのまま置いて来た。
応接室で母さんを引き剥がして何が有ったのかを簡単に説明していると昼食に呼ばれて食堂に案内され、改めて両親共々アンモン様にお礼を言ってから席へ着いた。
和やかに食事が進み、食後にお茶を飲みながら今後についての話し合いが行われて両親は当初の予定通りゲベルへ引っ越す事が決まり、父はゲベルの役場で働く事が決まった。
そして三日が過ぎ、明日には自宅へ戻れると聞いて両親、と言うかかあさんは『夢のような日々だったわ~』と目を細めた。
僕は連日リサに話し掛けたりしていたんだけどやっぱり返事が無くて、何か機嫌を損ねるような事をしてしまったのかと頭を悩ませていた。
「お世話になりました」
自宅へ帰る当日、両親と共にアンモン様や使用人達にお礼を言い頭を下げて両親はアンモン家の魔導車で、僕はリサに乗って自宅へと帰った。
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アバタ領南の漁師町とゲベルを繋ぐ街道を北へと歩く三人の獣人が居た。
とぼとぼと歩く彼等の内の一人、熊獣人がポツリと溢した。
「・・・腹、減ったな・・・・・」
その呟きに熊獣人の左を歩く狼獣人が反応し『ああ、そうだな』と返すと、狼獣人の左を歩く猫獣人が二人に問いかけた。
「誰だっけ?『森の中通りゃ魔物とか食い放題だし、皮とか素材を売れば金も稼げるだろ』とか言ってた奴」
「俺だ、悪いか?」
そしてその問いに眉根を寄せて返す狼獣人。
「国境沿いの町で定期便?とか言う魔導車乗ればとっくに着いてたのにな~」
そこへ熊獣人が追い打ちをかけ『そんな金はねぇ』と返す狼獣人に更に二人で追い打ちをかけた。
「ダビラで少し稼いでたらこんな事にはならなかったんじゃないかと思うんだ俺は」
「だよなぁ」
するとついに狼獣人が耐えきれずに怒り出した。
「・・・煩せぇ!悪かったよ!全部俺のせいだよ!それでいいんだろ!」
「うわぁ、逆切れだよ」
「信じらんねぇ」
「言っとくけどな!賛成したお前等にも責任あんだからな!俺だけが悪い訳じゃねぇぞ!」
いよいよ殴り合いになるかと思われたその時、熊獣人が大きな溜息を吐いて俯きながら呟いた。
「はぁ・・・つーか、何度目だよこのやり取り・・・・・」
「さぁなぁ・・・流石に腹が減り過ぎて俺は怒る気力もねぇよ・・・・・」
「はぁ・・・俺ももう疲れたわ・・・つーか、ここどこらへんだよ・・・・・」
狼獣人も大きな溜息を吐き項垂れて怒る気力も無くなっていた。
「知らね」
「だよな、ほぼ迷子だし」
彼等はダビラ王国北東の国境沿いの森にある集落からやって来たのだが、ハビラ王国と他国の大きな違いを知らなかった。
先ず何よりも冒険者ギルド(ハビラ王国内では冒険者組合と言う)がほぼ機能していない事。
そして、その冒険者の代わりを兵士が担っている事。
更に魔物や危険な獣はほぼ討伐済みで滅多に見ない上に素材の買い取り額も安値だと言う事。
以上の事からハビラ王国で冒険者として生活していく事はほぼ不可能だが、何処の町でも仕事は幾らでもあるので普通に生活する分には他国よりも優しい位だ。
因みにマフィアのような裏社会の組織等はニールやアンモン家によって潰されていて、チンピラ程度の輩位しか存在していない。
結果としてハビラ王国に入る前にダビラ王国でかなり稼いでいなければ彼等は遅かれ早かれ現在と同じような状況に陥っていただろう。
彼等がやっとの思いで森から街道に出たのは夕暮れ時で、知らない土地だからと警戒して森の中で一夜を明かした上に、街道を通るのは魔導車だけと、ここまで誰とも接触する事が無かったために自分達の現在位置すら解らない絶望的状況だった。
まぁ、街道沿いの見た事の無い程に広い農場に気後れして近寄る事すら出来なかったせいでもあるのだが・・・・・
「なぁ・・・・・」
「なんだよ・・・・・」
「もう、無理にでも魔導車?を止めて乗せて貰わねぇ?」
「・・・見ず知らずの獣人を乗せてくれると思うか?」
「聞くだけでも聞いてみりゃいいじゃん」
「そう、だな・・・のたれ死ぬよかマシか・・・・・」
「もう意地とか見栄とか張ってる場合じゃねぇもんな・・・・・」
そうと決まれば行動が早いのが獣人で、北へと歩きながらも前後を確認しつつ魔導車に向かって手を振り声を掛ける事二時間程。
漸く一台の魔導車が止まってくれて事情を説明した。
「ん~・・・それは大変でしたねえ~・・・うちの牧場までなら荷台に乗せてあげてもいいんですけど、これ冷蔵車なんですよ~・・・かなり寒いと思いますけど大丈夫ですか~?」
「れいぞうしゃ?なんだか解からねぇけど恩に着る!寒いの位我慢すっから乗せてくれ!」
「ほんとは荷台に人を乗せちゃいけないんですけど内緒って事で~」
「ありがてぇ!助かったよお嬢ちゃん!」
「この恩は必ず返す!」
「有難うお嬢ちゃん!」
「いいえ~」
何にしても助かったと魔導車の後ろへ回り、運転していた女性が荷台の扉を開けると冷気が漂って来て三人は後退った。
「お、おい、乗るぞ」
「お、おお」
「ああ・・・・・」
三人は覚悟を決めて荷台へと乗り込むと、運転していた女性が荷台を閉めながら声を掛けて来た。
「出来るだけ早く帰るので少しの間我慢して下さいね~」
「おう、宜しく頼むわ」
ガチャリと音が鳴り扉の鍵が掛けられ荷台の中が暗闇に閉ざされ少ししてから振動が伝わり走り出したのを感じた。
「さ、さみぃ・・・・・」
「う、上着!お前等も上着を着ろ!」
「な、何か燃やすもん・・・・・」
「馬鹿野郎!火事になったらどうすんだ!」
「弁償以前に恩を仇で返す事になっちまうだろうが!」
「じゃ、どうすんだよ!」
「う、動け!動き回って体を温めるんだ!」
身を寄せ合ってと言う考えに至らなかったのは彼等が脳筋種族だからだろうか?
結果として魔導車が止まり荷台が開け放たれるまでの間彼等は暗闇の中で身体を動かし続け、これなら寒くない分歩いた方がましだったんじゃないかと気が付いたのは日の光を浴びて身体が温まって暫くしてからだった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




