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 ハビラ王国のもう一つの真実を聞かされ、学園で教わった歴史以上にアンモン家はニールさん達のために暗躍して来たのだと知った。


「それで、その・・・僕は如何したら・・・・・」


 そこが解らない。勿論ニールさん達に逆らう気は無いけどアンモン家が危険を冒してまで僕を庇護する理由を知りたかった。


「君とご家族には暫く我が家で過ごして貰う事になる。ご両親にも既に迎えを出しているから心配は無い」


「それはどれ位になりますか?後少しですけど学園にも行かないといけないですし」


「安心したまえ、数日で済む。御父上の職場にもこちらから話は通しておく」


「はぁ、有難う御座います・・・その、何でそこまでして下さるんですか?確かにニールさん達とは知合いですし、ゴタードに就職は決まってますけど、ここまでして貰う理由が解らないんです」


 僕や両親に王国最大の領地を持つ貴族がどんな価値を見出したのかがさっぱり解らない。


「父上からの手紙に書かれていたであろう?ニール殿が気に掛けていた、だから調べたと。そして我が領地に、ゴタードに有益と判断されて紋章を渡し、私に見守るようにと命を下した。まさかお二方の御息女と契約されていたとは思いもしなかったがな」


 ちらりと横目でリサを伺うと、彼女は何故か得意満面な笑みを浮かべていた。


「・・・僕が如何有益かは解りませんけど、僕に出来る事なんてたかが知れてると思いますけど・・・・・」


「ふむ・・・確かに『今のままでは』そうであろうな。ではこれでどうだ?もしだ、今まで以上に自由かつ際限なく魔導車に関わる全てに携わる事が出来るとしたら君は如何する?」


 アンモン様は『もし』と言ったがそれは僕に対する提案だと即座に気が付いてつい飛びついた。


「ッツ!そ、それは願っても無い申し出ですけど・・・・・」


「私達アンモン家の一番の懸念事項はあのお二方がハビラ王国を去る日が近いであろう事とゴタードの会長、デクス殿の後継者がいない事なのだ」


 ニールさん達が国を出る、ゴタードの後継者がいないと聞かされ困惑した。

 そして先程の提案が僕をゴタードの後継者に据えるためのものだと気が付いて更に困惑した。


「お二方はエルフの混血と言う事になってはいるが既にこの国で二百年近くあのお姿のままで活動している。後数十年は問題にならぬだろうが、流石に誤魔化しきれるとは思えん。そしてデクス殿は物作りにしか興味が無く、工房のあるご自宅から出る事すら稀だ。何度か女性を引き合わせた事も有るのだが、その時限りで相手の女性側から断られる始末だ」


 信じられない・・・いや、ニールさん達の事は理解出来るよ?何百年も見た目が変わらなければ怪しまれると言うか気味悪がられるだろうし。

 でもデクスさんの事は理解出来ない。領主様から紹介されたお見合い相手を完全放置するとか有り得ないだろ。


 いや、もしかしたら僕もアリサさんとの出会いがなければ・・・・・


「そこで先程の提案な訳だが、今ゴタード商会で新しい事業が始まろうとしている。正確にはもう始まっているのだが正式には来年に発表される。私はそこに君を推薦したいと思っている」


「あの、正直高く買ってくれるのは凄く嬉しいんですけど本当に僕でいいんですか?」


「我々は長年国内を探し続けて来たがここ数年では君以上に可能性を感じさせる者は見つからなかった。因みに君をゴタードに勧誘したハルト殿も移動する事が決まっているよ」


 ハルトさんって確かニールさんが王都でも一、二を争う腕の持ち主とか言ってたっけ。

 そんな人達と一緒に仕事が出来るなんて夢のようだ。


「その新規事業ってツォアルとゲベルの中間にある開拓地ですよね?何を始めるのか聞いてもいいですか?」


「ああ、魔導内燃機関による飛翔体の開発だ。最終目標は百人単位での大陸横断だそうだが・・・どうだね?この荒唐無稽な企画に君も携わってみないか?」


 魔導内燃機関による飛翔体の開発と聞いて暫くの間理解出来ずに呆けてしまったが、空を飛ぶ乗り物を作るのだと頭が理解した瞬間に全身の血が沸き立つような感覚に襲われ身震いした。


 空を飛ぶ?!人が?!魔導具で?!


 普通なら鼻で笑われてしまうような夢物語でしかない。

 でもあの人なら、ニールさんなら成し遂げてしまうと何の根拠もないと言うのに信じられた。

 そして、そこに僕も関わる事が出来ると聞かされれば否と言える筈がない。


「やっ!やります!やらせて下さい!!」


「君ならそう言ってくれると思っていたよ。近い内にゴタード商会から内示が届くようにしておく。勿論何不自由なく生活出来るように取り計らっておくので心配はいらないよ。ご両親の事は・・・そうだな、これから直接会うのだし、昼食を摂りながら希望を聞くとしよう」


「有難う御座います!」


 アンモン様の気遣いに満面の笑みで深々と頭を下げた。

 この時僕は完全に舞い上がっていて隣にいるリサが不機嫌な表情に変わっている事に気が付きもしなかったんだ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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