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 未だに名も知らぬルナミリク嬢に案内されて入った部屋は食堂だった。

 十人程が座れるテーブルの一番奥、所謂上座に座る男性が目に入る。


 彼が彼女の父親で当主のルナミリク子爵か?如何でもいけど。


「よく来てくれたね、まあ座ってくれたまえ」


 こいつも人を呼びつけておいて名乗りもしない。

 王都で貴族達のこう言う所が嫌われていると気が付いていない、それ所か当然だと言う傲慢な上から目線の態度が更に鼻に付く。


「いえ、依頼内容を聞きに来ただけですので」


「そう言わずに座り給え。直昼になる、食事を用意しているので仕事の話はその後にしようではないか」


 依頼内容を聞きに来ただけだからと立ったまま口を開くと彼は一瞬驚いたような顔をしてから更に席を進めてきた。


「・・・ではこの話は無かったと言う事で。他の予定がありますので失礼します」


 こんな所に長居したくはないと依頼を断り頭を下げてから振り返ると兵士二人が入って来た扉の前で槍を構えて行く手を阻んでいた。


「済みませんが、帰るのでそこを通して貰えますか?」


「席に着け!」

「帰る事は許さん!」


 僕を睨む兵士から目を離さずに前へと足を踏み出すと兵士達が制止の声を上げた。


 はったりだ、僕自身の確保が目的だから危害を加えるなんて出来る筈がない。

 精々取り押さえる事位しか出来ない筈だ。

 何故ならそれを行う事は今以上に僕の不興を買い、完全な決裂を産む行為だからだ。


 兵士達から視線を扉へと変えて止まらずに進むと兵士達は僕に槍を向けたまま左右に分かれた。


 それ見た事か、僕を害する事も出来ない癖に武器をちらつかせれば言う事を聞くと思っていたんだろうけど甘いんだよ。


 困惑した表情で子爵と僕を交互に見る兵士達に鼻を鳴らして扉に手を伸ばした時背後から声が上がった。


「待ちたまえ!君は貴族に逆らうと言う事が如何言う事か解っているのか!」


「貴方こそご自分が何をしているのか理解していますか?今貴方達がしているのは脅迫と言って立派な犯罪ですよ」


「クックック・・・それは外に漏れればの話だろう?君をこの屋敷から出さなければいいだけの話だ。そして私にはそれだけの力がある」


 バレなきゃ犯罪じゃない、自分達は施政者側だからもみ消す事も出来ると言う考え方が一般人に受け入れられる訳がない事も解かってない。

 親が親なら娘も娘だ、二人とも黒い笑顔を浮かべたまま椅子に座っていた。


「・・・ただこの家に生まれただけの奴が偉そうな口利くんじゃねぇよ!俺は絶対にお前みたいな奴の言いなりになんかならねぇ!!」


「フン!生意気な口を利きおって・・・そ奴を捕らえよ!拘束して地下室へ閉じ込めておくのだ!」


「くっ!はなせええぇぇぇ!!」


 兵士達が僕の両腕を捻り床へと押さえ付け縛り上げて行く。


 こうなる事は解っていた。それでもこんな奴の言いなりになんてなりたくなかった。


 僕は顔を上げて子爵を睨みながら力が欲しいと心の底から願った。

 暴力でも、経済力でも、権力でも、自分の邪魔をするもの全てを蹴散らせるなら何でもいいと生まれて初めて願った時だった。

 頭の中、いや、心の中に何かが繋がった感覚がはっきりと感じられたんだ。


 ドクン―――


 心臓の鼓動がはっきりと聞こえ徐々に早くなって行く。


 カンカンカンカン―――


 ツーサイクルエンジンの甲高い排気音が頭の中と外から聞こえて来た次の瞬間に『ご主人様!只今参ります!!』と聞いた事の無い女性の声が頭の中に響き、部屋の外から叫び声が聞こえ轟音と共に部屋の扉が破壊された。


 床に押さえ付けられているから何が起こったのか解らない。

 それにご主人様ってなんだ?僕の事か?


 破壊された扉の破片がカラカラと音を立てて転がって行く。

 僕を押さえ付けている兵士達が誰何の声を上げた。


「何者・・・だ?」

「なんっ・・・・・」


「グアッ!」


 頭の中に声にならない叫び声が響き、激しい頭痛に襲われ呻き声を上げた次の瞬間、室内に眩い光が放たれた。


「「「「「ギャア!」」」」」

「「「「「グアアァァ!」」」」」


 突然の閃光に視界を失った者達の悲鳴が響き、光が収まると同時に僕を抑えていた兵士達がドサリと音を立てて床に倒れた。


 なんだ?一体何が起こってる?


 困惑する僕の両手を拘束していた縄が解かれてお礼を言いながら立ち上がった。


「あ、有難う御座います、助かりました」


「いえ、当然の事ですから」


 お礼を言う僕に笑顔で答えたのは小脇に僕のヘルメットを抱えた金色の髪と緑の瞳を持つ少し年上位の女性だった。


 誰だろうこのエルフ?は。


 彼女は笑顔のままヘルメットを僕に手渡した後、左手を真横に掲げると淡い光と共にバイクが、RS-01スレイプニールがその場に現れた。


「なっ?!」


「お話は後で、今はここを離れましょう」


 困惑する僕に彼女はここを離れるように言うとスレイプニールに跨った。

 僕は釈然としないままちょっと戸惑いながらタンデムステップを倒して彼女の後ろに跨った。


 え、え~っと・・・これ何処に掴まったらいいの?

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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